原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

1月埼玉私立中学受験の真相

2007年12月04日 | 教育・学校
 師走に入り、受験生の皆さんは最後の追い込みの時期を迎えていらっしゃることであろう。
 首都圏私立中学の場合、2月1日一斉受験スタートの東京、神奈川に先立ち、1月には埼玉、千葉、茨城が早くも受験日を迎えるため、この時期は学校の説明会も終盤を迎える。保護者の方々は受験票の作成や写真撮影、報告書が必要な場合は担任への報告書作成の依頼、あるいは通知表のコピー等、着々と受験準備を進めている頃とお察しする。

 さて、我が家でも2年前に子どもが私立中学受験を経験した。受験指導は教職経験のある母の私が主に担ったのであるが、親以外の第三者にも指導を依頼したいことと受験情報入手目的もあって、受験塾にも通わせた。
 受験塾に通っていらっしゃる方は既にご経験のことと思うが、子どもの志望校以外に埼玉の私立中学受験を塾から強制される。(参考のため我が家は東京23区内にあるが、埼玉寄りであるため埼玉の中学を強制された。)
 我が子の場合、第一志望と第二志望2校の受験を目指していたのであるが、両校共に東京23区内の学校を予定していた。当初より埼玉まで通わせるつもりは毛頭なかったため、塾からのこの強制には困惑した。そこでその旨塾に伝えると、「行く行かないにかかわらず、練習の意味合いもあり塾生全員が埼玉を受験します。これを拒否する保護者はいません。」との回答でやはり埼玉受験を暗に強制するのだ。さらに、子どもの偏差値に合わせて埼玉の受験校を塾が指定してくるのである。私はこの塾からの強制がどうしても納得できず、我が家は最後まで拒否を押し通し埼玉受験はしなかった。

 我が家は拒否したとは言え、この塾からの埼玉受験の強制の実態に私は大いに不審感を抱いた。塾業界と埼玉(千葉、茨城)私学との癒着を疑ったのだ。そこで、私は塾本部にその旨確認したのであるが、まさか、塾本部が「はい、癒着があります。」と応える訳はない。「強制と受け取られたのであれば担当者の説明のし方に落ち度があった。決して強制ではなく、ましてや癒着はない。」との回答ではあった。

 この塾業界からの強制による1月埼玉私立中学受験者数は凄まじいものがある。例えば、U女子中学の場合、ある日の受験者数は定員100名に対し受験者数約1700名、同じくJ中学の場合定員80名に対し受験者数1100名、同じくR中学の場合定員100名に対し受験者数1800名、・・・ 例を挙げればきりがない。しかも受験日は1日のみではなく2、3日ある。一回の受験料を2万円として計算しても、総受験料収入は1億円に達する学校もあると推測する。 皆さんはこの現状をどのように捉えられるだろうか? 

 私立の学校運営も容易ではないことは理解できるが、資金繰りを受験料収入に頼るのはいかがなものか。しかも塾と癒着し、受験者の心理の弱点をつくこの方法が正当で道理にかなっているとは言い難い。表向きにはどんなに立派な教育理念をお持ちの学校であろうが、これではあまりにもお粗末である。
 どうかこのような悪慣習が速やかに撤廃されることを願い、警告させていただく次第である。