原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

不動産賃貸の落とし穴

2008年02月08日 | 仕事・就職
 私は長~い独身時代に単独で分譲マンションを購入し、結婚までに独力で住宅ローンを全額返済したことについては、既に当ブログのバックナンバーで述べた。(“雑記”カテゴリーの「住宅ローンの早返し」をご参照下さい。)
 私は20歳代半ば頃から“結婚しないかもしれない症候群”であった。ブランド物で身を固めたい等の欲求は若い頃よりあまりないのだが(どうしてもプレゼントしたいとおっしゃるならば、いただいてもよろしいのですが…。)、自分が住む家ぐらいは独力で購入したいという思いは早くから抱いていた。30歳代に入ってまだ独身だったため、いよいよ購入に踏み切った。既に全額現金購入できる程度の蓄えはあったのだが、税務対策上の理由等で住宅ローンは組み、結婚までの7年間で独力で全額返済したといういきさつである。

 その不動産物件はまだ手元に所有しており、現在、賃貸物件として活用している。私の単独所有物件であるため、当然ながら賃貸借にかかわる手続業務は一切私が担当、管理し、賃貸収入も全額私の懐に入るという訳である。要するに私にとっては、今流行の“おこづかい稼ぎ”の手段ということになる。

 別宅として使用することを考慮してしばらく空室にしておいたのであるが、昨年また賃借人を募集した。
 不動産賃貸収入とは言わずと知れた不労所得である。賃借人の募集、入室や退室、また賃借人とのトラブル時以外は、何もせずとて自動的に賃貸料が口座に入金されてくると言う美味しい収入源ではある。
 ところが、この賃借人募集、入室、退室、トラブル処理業務が結構大変なのである。不動産仲介業者に仲介依頼はしているのだが、意思決定は当然ながらオーナーがすべて行う。

 今回はまず、賃借人募集にてこずった。首都圏人気No.1私鉄の急行停車駅徒歩4分と立地条件は最高なのだが、何分、物件の築年数が経過しているため諸設備面で不人気なのである。 今時の人々の暮らしは内的志向だ。エアコン等の空調完備やシステムキッチン、お風呂や洗面所の広さ、インターネット接続やセキュリティの充実を要求される。室内をリフォームしてきれいにしただけでは太刀打ちできないのである。 私が独身の頃は外的志向の時代だったため、交通の利便さ等の立地条件を一番要求し、極端な話、家は寝るだけでよかったのだが、時代の変遷を痛感させられる。 結局、途中で不動産仲介会社を変え、募集から半年以上が経過してやっと法人契約で単身赴任者が入居してくれた。

 やっと賃貸料も入りはじめ安心していた矢先、今度は賃借人からのクレームである。給湯器の老朽化により湯の温度が低いとのことである。仲介会社とも相談の上給湯器本体を取り替えたのであるが、これでは済ませてもらえないのだ。 なんと、賃借人から湯が出なかった期間の損害賠償を請求されてしまったのである。こういう経験は初めてのことであった。当然ながらこの種のトラブルは法律に基づき処理するべきなのであるが細かい規定がなく、しかも今は賃借人の法律上の権利が強い時代である。私はおそらく相手は訴訟にまでは持ち込まないであろうと判断し、仲介会社を通して賠償要求額を確認してみた。思ったよりもずっと小額であったため、その金額で支払うことで決着した。賃借人との今後のよき関係を保つためには、こういう時には騒ぎ立てずに冷静に処理するに限る。オーナーとしては老朽化により多大な迷惑を掛けたことを賃借人に詫び、頭を下げた。すんなりと一件落着し、胸を撫で下ろした。

 不動産賃貸収入とは不労所得ではあるが、どんな所得であれ収入を得ることには何がしかの苦労を伴うものである。不動産賃貸のオーナーは普段は確かに楽して収入を得てはいるが、それなりの力量を要求されるものでもある。


 さて、確定申告期間も近づいている。税務申告の一仕事が待ち構えている。頑張ろう。 
Comments (9)