原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

五千年の砂嵐に耐えたピラミッド

2008年05月04日 | 旅行・グルメ
 エジプト、ギリシャ方面旅行記の記事が続くが、エジプトのピラミッドに関する前回の記事の続きを綴っていこう。

 エジプトのピラミッドは、前回の記事で述べた通り五千年近い歴史があるにもかかわらず今まで一度も崩れることがなく、さらにこの先五千年から一万年も崩れないであろうと推測されている。
 今回の記事では、五千年もの昔のエジプト古王国時代に建造されたピラミッドが、なぜそんなに丈夫で崩れないのかについての仮説を立て、検証してみることにしよう。
 仮説検証の方法として、ピラミッドが如何なる条件の下で造られたかを探ることにより結論を導き、さらなるピラミッドの謎を解き明かすこととする。


<仮説の第1点目>
 第一条件として建造物の土台である地盤が肝心?

 前回の記事で既述した通り、ピラミッドはギザ地区をはじめナイル川の西側のみに建造されている。
 西側(日が沈む向こう側)が死後の世界に向かっているため、という説も存在するが、実はナイル川西側の岩盤が大変しっかりしているのだそうだ。事実、毎年7月から10月までのナイル川の氾濫期に、水が上がってきても冠水しない場所にピラミッドは造られてる。

<仮説の第2点目>
 ピラミッドのあの形に崩れない秘密がある?

 四角錐状のあの形にやはり大きなポイントがある。
 ピラミッドは最初からあの形で造られた訳ではなく、何世紀もかけて現存する完成形に練り上げられたきたのだそうだ。階段ピラミッド、屈折ピラミッドと段階を経ながら、建設途中で勾配が急過ぎて崩壊したりもしたらしい。
 現存するピラミッド(真正ピラミッド)は、長さと高さの比が「黄金比」になっている。(「黄金比」というのは世の中で最も美しいとされる比であり、例えば、このピラミッドをはじめギリシャのパルテノン神殿等の歴史的建造物や、自然界における巻貝や植物の葉の並び方や、皆さんが使っている名刺の縦横比等もこの「黄金比」になっているのだ。)
 この「黄金比」が、美しさのみならず崩れない強さをも兼ね備えていたのである。

<仮説の第3点目>
 用いられている岩石が頑丈なのか?

 さらに崩れない理由として重要なのは、ピラミッドを造るのに用いた岩石の種類であろう。
 ところが、岩石とは頑丈過ぎて硬過ぎても積んだときにぶつかって反発するためかえって崩れやすいそうである。
 石の中でも柔らかいものと言えば堆積岩で、この岩は時間をかけてゆっくりと砂が石になった岩石だ。この堆積岩の中でも一番上質の石灰岩がピラミッド造りに用いられているそうである。

<仮説の第4点目>
 上質の岩石を用いても水平に積まないと崩れるはず?

 せっかくの上質の岩石を用いても、水平を保たなければ崩れてしまう。
 水が水平を保つ原理を利用して、ひとつひとつの岩石に水を流し込み岩石を削るという手法を用いることにより水平を保ち、ピラミッド全体の水平が保たれているということである。(上記写真を参照下さい。岩石が水平に削られている様子が見て取れます。ひとつひとつの岩石は想像以上に大きくて、その高さは人の身長位ありました!)
 この削る作業がし易いという面からも、柔らかい岩石の方が優れているそうだ。

<仮説の第5点目>
 岩石同士を何らかの手段で結合させている?

 最後に検証したいのは、岩石同士の結合の手段である。これに関してはどこを探しても文献が見当たらない。
 現地ガイドさんの解説によると、決して接着剤を用いる等の化学的手段で岩石同士を貼り合わせた訳ではなく、ひとつひとつの岩石をうまく噛み合わせることにより結合させているとのことである。

 
 実は今回の記事は、昨年旅行から帰国後、我が子が夏休みの課題として取り組んだ理科の自由研究「ピラミッドはなぜ崩れないのか」よりの引用である。(子どもには承諾を得た上での本ブログへの引用である。)
 我が子がこの自由研究を成し遂げるにあたっては、エジプトでお世話になった現地ガイドのMohamed Abd Hafez さんの博学ぶりによるところが大きいのであるが、改めてこの場で感謝申し上げたい。
 なお、エジプト研究者の吉村作治氏の文献も上記自由研究で引用している。


 余談になるが、このエジプト現地ガイドのMohamedさんの子どもさんが、参加者のうちで一人だけ未成年かつ最年少であった我が子と年齢が近いということもあり、エジプト滞在中始終気にかけて下さり親切にしていただいた。 子どもがギリシャで急病をした後エジプトへ戻った時にも、Mohamedさんは真っ先に駆けつけて下さりご心配いただいたといううれしい経緯もある。帰国の際にも子どもに暖かい声をかけて下さり、メールアドレスも教えていただき、子どもが連絡を取らせていただいている。
 旅行というのは、何といっても人との出逢いが一番印象深いものである。 
Comments (2)