原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

いっそ東京に米軍基地を移設したら?

2010年04月20日 | 時事論評
 とでも言いたくなるくらい、鳩山政権の普天間基地移設政策には呆れる程にポリシーがない。

 沖縄がダメなら、今度は徳之島…。 まるで過疎地に住む国民には人権無きのごとくに短絡的な決断である。
 しかも現地住民の大規模反対運動が起こるや否や、政権は徳之島への受け入れ要請は保留にして出直し、5月末までには再度結論を出すと言うけれど… (本日昼間のNHKニュースより見聞)

 ならばいっそ東京永田町の国会議事堂の隣か首相官邸の近くにでも米軍基地を移設して、政治家が率先して基地周辺住民の痛みを味わってみたらどうか、とも言いたくなる。 東京に住む原左都子もその痛みに付き合おうではないか!  そうでもしなければ、こんな短絡的な移設政策では沖縄と徳之島の住民の方々に一国民として申し訳が立たない思いである。
 東京は既に都市化により環境破壊や騒音公害が進んでいることだし、ついでに米軍基地の面倒を見てもさほどの環境破壊の拡大はなかろうし、都心に暮らす住民は騒音公害にも長年慣らされて来ているとも言えるしね…   (これはあくまでも新政権に対する“皮肉発言”の域を超えないのだが…) 

 沖縄、徳之島、と来ると、その次は太平洋側に面する我が出身の過疎県あたりが米軍基地移設先の候補地となり得るのか??  だとすると、「原左都子エッセイ集」のバックナンバーで記載済みなのだが、この春郷里帰省中にタクシー運転手氏から小耳に挟んだ “4月に開港した(我が郷里の)新空港は、政府と米軍とのからみもあり滑走路を拡張する目的でこの不況の時期にあえて建設された” との裏情報の話が信憑性を帯びてきて、背中が薄ら寒くなる思いである。

 数の原理で過疎地の国民をいたぶる政策からは本気で卒業して欲しいものである。 
 沖縄の各自治体長も発言しているが、“米軍普天間移設問題は沖縄県民のみが苦悩するのではなく、国民全体の問題として考えて欲しい”…、 これは徳之島とて同様であるためあれ程大規模な反対集会が成立したのであるし、(海外も含めて)他の候補地と成り得る地域の住民もその思いは同じであろう。


 鳩山政権の内閣支持率は下げ止まりを知らず、先だっての世論調査によると20%台にまで落ち込んでいる。 一方で不支持率がさらに増加を続け60%台の高率を記録するに至っている。
 昨年夏の政権発足後、民主党はその当選者の“数”に有頂天となって“実体の乏しい国民の支持”に頼り、自らの票取り目的のみで政策面でのポリシーが何らない“マニフェスト”にいつまでもこだわり続け、7ヶ月にも及んで世の動向を省みることも忘れ国民不在の国政を続行した結果がこの有り様である。  
 ここまで内閣支持率が落ち込んだのは、未だにけじめをつけずうやむやにやり過ごそうとしている小沢氏や鳩山氏やその他の“政治とカネ問題”も大いにその根源としてあろう。 だが今となっては、それ以前の問題として政権の政策の立て続けの失策と、その背景を形作っている鳩山首相をはじめとする閣僚のリーダーシップ力の無さにあるのを把握しているのは、どうやら仙石氏だけであるようだ。

 仙石氏曰く、「鳩山首相が普天間問題で5月末までに結論を導けない場合、鳩山内閣は解散し夏には衆参同時選挙となろう」  新政権の閣僚にして勇気ある発言であり、民主党内の現在の危機感を物語っている。 いくら他の閣僚がこの発言が不適切であると批判しようとも、自らのリーダーシップ力がないことを世間に晒して墓穴を掘るのみである。 
 (若手の前原氏や枝野氏には民主党を立て直すべく多少期待していた原左都子であるが、何故、何の圧力でここにきて弱体化するのだろうか…、 とても残念だなあ……)
 結局、民主党内には真にリーダーシップが取れる人材がただの一人として存在しなかったからこそ、短期間にして滅亡に繋がりつつあるものと厳しくも考察できそうである。  


 民主党を主体とした政権発足後、既に7ヶ月が経過しようとしている。
 新政権にとって外交面での要である米国との外務交渉において最大の関門である普天間移設問題を、何故に後回しにしてきているのか?

 そもそもこの問題は、50年前の日米安保条約にまで遡って考察されるべきであろう。 現に、普天間移設問題に関しては日本に米軍基地が必要なのかの議論からなされるべきとの見解も一部の国民の間で存在する。 アジアにおける北朝鮮の核開発の脅威や中国の軍事面での進展も考慮しつつ、鳩山新政権は日本の国際軍事面における立場を政権交代した今こそ再度明確にするべきではないのか。
 ところが鳩山政権は米軍基地を普天間から何処の地へ移転させるかの狭い見識の政策のみで、7ヶ月間右往左往している有り様である。 これでは国民からそのリーダーシップ力の無さに幻滅されて当然であるし、また米国よりの対日不審を募って今後の日米関係が悪化するのもやむを得ない現状である。

 いっそ東京に米軍基地を移設したら、 などと突拍子も無いたわ言を一国民が吐き捨てたくなる程の、鳩山政権の“成れの果て”を実感させられる今日この頃である… 
           
Comments (7)