これ程就職難の今の世の中において、結婚したい相手が無職、あるいはそれに匹敵する低収入者、雇用上の不安定者である確率は高いことであろう。
現在の特に若い世代の夫婦間においては、男であれ女であれ働き口にありつける方が働いて収入源を確保して暮らしていくしか選択肢がない時代であるのかもしれない。
朝日新聞4月19日の「悩みのレッスン」の相談は28歳独身女性による “彼は無職…結婚は?” という題名であった。
早速この相談を以下に要約して紹介しよう。
私には付き合って2年になる2歳年下の彼がいるが、優しい心の持ち主で一緒にいると自然体で過ごせるし波長も合う。 だが彼は無職である。彼の就職のための試験勉強を応援しつつお互いに結婚の意思もあるが、彼が無職であるため現実的に結婚は程遠い。 私は結婚願望が強く子どもも2人欲しいので20代で結婚したい。 就職するから待ってくれと言う彼を信じて待っていいのか。あるいは別れて新しい人を探すか。 とはいえ、この彼ほど気が合う人がいるのか、振ったら後で後悔するのか、悩んでいる。
早速私事に入るが、原左都子が相談者と同じちょうど28歳の若かりし時、(その後長~い独身を貫いたこの私にも)当時こちらから積極的に結婚したいと思える相手が存在した。
上記朝日新聞の相談者とはそのシチュエーションが大きく異なるのだが、この相談を読んでその時の影像が我が脳裏に鮮明にフラッシュバックしたため、ここでその恋愛談議を少し語らせていただくことにしよう。
そのお相手は「原左都子エッセイ集」のバックナンバーに幾度か登場している。(「偶然の再会」「デザイナー誕生!」「別れた恋人との再会」等々…) 我が恋愛遍歴史上、もしかしたら最高にインパクトを与えてくれた人物であったかもしれない。
この彼とはとにかくお互いの思想や生き方、将来像等々すべてにおいて価値観がピタリと合っていて、いつ会って何時間語り合っても話が尽きないほど充実した時間を共有できる相手であった。 しかも、生育歴や学業的バックグラウンド、そして自分達自身の職業経験による経済力の背景的要因においてもバランスが取れている相手でもあった。 結婚願望がさほどなかったこの私が、これだけ諸条件が一致している彼とならば結婚してうまくやっていけると冷静に実感していたのだ。
付き合いが1年程経過した頃であろうか、結婚話を持ち出したのは私の方からだった。
そんな私に対して、彼はきっぱりと答えた。
「僕は今後将来に渡って“結婚”をする気はない」 私の前で、開口一番そう言い切った。
これには結婚願望がさほどなく決して結婚に焦っている訳ではなかった私にとっても、いきなり“大打撃パンチ!”をくらわされた思いだった。
こういう場面において、負けず嫌いな私としてはどうしても売り言葉に買い言葉となる。
「私ももう28歳、結婚願望が一切ないと言い切るあなたとは付き合っている時間がもったいないから、もし私と付き合いたいという男性が他にいたらそっちと付き合ってもいい?」
彼曰く、「仕方ないと思う…」
その後ギクシャクし始めた2人は距離と時間を置き始め、私は一時期新しい彼氏と付き合うこととなるのだ。
ところがお互いの思いは冷めないままである。
結局、私と新しい彼氏との関係を偶然目の当たりにして取り乱して介入してきた元彼に、心を揺さぶられた私の方にもその後自然と「結婚」の意識が遠のき、元彼との間に価値観一致の付き合いが再燃したのである。
(参考のためこの彼との恋愛関係は、30代を目前とした私が自らのために企てた新たな学問を志す人生設計と共に終焉する運命にあるのだが…)
話を朝日新聞の相談に戻そう。
私がウン十年前に青春を生きてきた時代とは明らかに異なる厳しい時代を生きる力を、今の若い世代の人々は要求されている。
それ故に、今思えばいい時代に青春を好き勝手に謳歌してきている私のような人間が、厳しい現状を自分なりに打開して生き抜こうとしている若い世代の人々相手に安易に物申せないことは重々承知の上である。
その上で、やはり「結婚」とは人間にとってビッグイベントであることには間違いない。
どうでしょう。 この相談者の独身女性に少しでも経済的余裕があるのならば、思い切って少しの期間、結婚を“棚上げ”してみては?
愚かだった若かりし頃の私のようにすぐさま“次の男”をゲットする必要はないが、この際彼氏から距離をおいて彼を客観視してみてはいかがかとも思えるのだ。
そうすると、あくまでも結婚にこだわったり、どうしても子どもは2人欲しい、しかも20歳代に産まねば!等の旧態依然とした意味のない独りよがりの観念から解放されて、彼の本来の姿が素直に見えてくるのではなかろうか。
確かに出産は早い方が安全性が高いのは医学的観点からも否定はしないが、もしも相談女性が特殊体質でもない限り、後数年の猶予期間はあるのではなかろうか。
それ以前の問題として、結婚とはやはり、結婚相手に自分なりに納得することからスタートした方が成功率が高いようにも思えるのだが…
時代がどのように変遷しようと人生におけるビッグイベントである結婚に際しては、この相談の回答者であられる あさのあつこ氏 も述べられているが、最終的には自分自身で相手を吟味して決断するしかないということであろう。
現在の特に若い世代の夫婦間においては、男であれ女であれ働き口にありつける方が働いて収入源を確保して暮らしていくしか選択肢がない時代であるのかもしれない。
朝日新聞4月19日の「悩みのレッスン」の相談は28歳独身女性による “彼は無職…結婚は?” という題名であった。
早速この相談を以下に要約して紹介しよう。
私には付き合って2年になる2歳年下の彼がいるが、優しい心の持ち主で一緒にいると自然体で過ごせるし波長も合う。 だが彼は無職である。彼の就職のための試験勉強を応援しつつお互いに結婚の意思もあるが、彼が無職であるため現実的に結婚は程遠い。 私は結婚願望が強く子どもも2人欲しいので20代で結婚したい。 就職するから待ってくれと言う彼を信じて待っていいのか。あるいは別れて新しい人を探すか。 とはいえ、この彼ほど気が合う人がいるのか、振ったら後で後悔するのか、悩んでいる。
早速私事に入るが、原左都子が相談者と同じちょうど28歳の若かりし時、(その後長~い独身を貫いたこの私にも)当時こちらから積極的に結婚したいと思える相手が存在した。
上記朝日新聞の相談者とはそのシチュエーションが大きく異なるのだが、この相談を読んでその時の影像が我が脳裏に鮮明にフラッシュバックしたため、ここでその恋愛談議を少し語らせていただくことにしよう。
そのお相手は「原左都子エッセイ集」のバックナンバーに幾度か登場している。(「偶然の再会」「デザイナー誕生!」「別れた恋人との再会」等々…) 我が恋愛遍歴史上、もしかしたら最高にインパクトを与えてくれた人物であったかもしれない。
この彼とはとにかくお互いの思想や生き方、将来像等々すべてにおいて価値観がピタリと合っていて、いつ会って何時間語り合っても話が尽きないほど充実した時間を共有できる相手であった。 しかも、生育歴や学業的バックグラウンド、そして自分達自身の職業経験による経済力の背景的要因においてもバランスが取れている相手でもあった。 結婚願望がさほどなかったこの私が、これだけ諸条件が一致している彼とならば結婚してうまくやっていけると冷静に実感していたのだ。
付き合いが1年程経過した頃であろうか、結婚話を持ち出したのは私の方からだった。
そんな私に対して、彼はきっぱりと答えた。
「僕は今後将来に渡って“結婚”をする気はない」 私の前で、開口一番そう言い切った。
これには結婚願望がさほどなく決して結婚に焦っている訳ではなかった私にとっても、いきなり“大打撃パンチ!”をくらわされた思いだった。
こういう場面において、負けず嫌いな私としてはどうしても売り言葉に買い言葉となる。
「私ももう28歳、結婚願望が一切ないと言い切るあなたとは付き合っている時間がもったいないから、もし私と付き合いたいという男性が他にいたらそっちと付き合ってもいい?」
彼曰く、「仕方ないと思う…」
その後ギクシャクし始めた2人は距離と時間を置き始め、私は一時期新しい彼氏と付き合うこととなるのだ。
ところがお互いの思いは冷めないままである。
結局、私と新しい彼氏との関係を偶然目の当たりにして取り乱して介入してきた元彼に、心を揺さぶられた私の方にもその後自然と「結婚」の意識が遠のき、元彼との間に価値観一致の付き合いが再燃したのである。
(参考のためこの彼との恋愛関係は、30代を目前とした私が自らのために企てた新たな学問を志す人生設計と共に終焉する運命にあるのだが…)
話を朝日新聞の相談に戻そう。
私がウン十年前に青春を生きてきた時代とは明らかに異なる厳しい時代を生きる力を、今の若い世代の人々は要求されている。
それ故に、今思えばいい時代に青春を好き勝手に謳歌してきている私のような人間が、厳しい現状を自分なりに打開して生き抜こうとしている若い世代の人々相手に安易に物申せないことは重々承知の上である。
その上で、やはり「結婚」とは人間にとってビッグイベントであることには間違いない。
どうでしょう。 この相談者の独身女性に少しでも経済的余裕があるのならば、思い切って少しの期間、結婚を“棚上げ”してみては?
愚かだった若かりし頃の私のようにすぐさま“次の男”をゲットする必要はないが、この際彼氏から距離をおいて彼を客観視してみてはいかがかとも思えるのだ。
そうすると、あくまでも結婚にこだわったり、どうしても子どもは2人欲しい、しかも20歳代に産まねば!等の旧態依然とした意味のない独りよがりの観念から解放されて、彼の本来の姿が素直に見えてくるのではなかろうか。
確かに出産は早い方が安全性が高いのは医学的観点からも否定はしないが、もしも相談女性が特殊体質でもない限り、後数年の猶予期間はあるのではなかろうか。
それ以前の問題として、結婚とはやはり、結婚相手に自分なりに納得することからスタートした方が成功率が高いようにも思えるのだが…
時代がどのように変遷しようと人生におけるビッグイベントである結婚に際しては、この相談の回答者であられる あさのあつこ氏 も述べられているが、最終的には自分自身で相手を吟味して決断するしかないということであろう。