原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

生活保護者を量産する前に行政がやるべき事

2012年05月28日 | 時事論評
 本日昼のNHKニュースによると、東京都板橋区とは「生活保護者」を特異的に数多く抱える自治体であるらしい。
 その現状を受けて、先だって板橋区在住の「生活保護者」を対象に就労意欲及び就労活動の実態に関するアンケート調査が実施されたとの事である。 その結果、就労活動を行っている「生活保護者」は4割にしか満たず、しかもその活動をハローワーク等公的機関に頼っている市民は数少ないとの報道であった。(私の記憶に頼っているため正確でない場合お詫びします。)

 このニュースを見聞した私は、先程ネット上で上記実態に対する板橋区の対策に関して検索し以下の記述を発見した。 早速紹介しよう。
 東京都板橋区は、増え続ける生活保護受給者の就労支援策の強化で区内3福祉事務所で相談から職場紹介まで一貫して支援する仕組みを整備することを決めた。 年150人程度の就職者の増加を目指す。 2012年1月30日に発表した2012年度当初予算案で関連経費6285万円を計上した。
 3福祉事務所の無料職業紹介事業所の機能を生かし、4月以降、求人開拓や職場紹介を積極的に進める。 これと並行して、個別相談やセミナー、開拓職場での就労訓練などを効果的に組み合わせ、就職を実現していく。 
 板橋区内の生活保護者は12年度、前年度比7.1%増の1万9000人超(月平均)に達する見込み。 新年度予算案に生活保護費約334億円(前年度当初比4.7%増)を盛り込んでいる。 板橋区の2012年度当初予算案は、一般会計の総額が1815億3000万円(前年度当初比3.2%減)。区民税減収などの歳入不足を補うため、財政調整基金から約52億円を繰り入れる。
 (以上、ネット上の情報より転載)


 原左都子も「生活保護」に関する情報を巷で時折耳にする機会がある。 次にその事例の一部を紹介することにしよう。

 「今の時代、下手に働くよりも生活保護を受けた方が楽チンだし、その審査は結構簡単に通過できるようだ。 自分もそうしようかなあ。」 (発言主は冗談半分だったようだが、都内に不動産物件を所有しているものの現在収入源がなく多少生活に困っている人物の談話である。)

 「原左都子エッセイ集」バックナンバーのコメント欄にも、医学分野の仕事上実際に生活保護受給者と係った人物より、「比較的豊かな生活をしている」とのレポートを頂いている。

 我が身近にもその実例に近い人物が存在する。
 いわゆる“玉の輿”に乗って裕福な相手と婚姻した当該女性本人は現在“左団扇”の暮らしをしているのだが、その女性の遠方に暮らす実家一族が皆「生活保護受給者」であるとの事だ。
 こういう事例の場合、行政上如何なる判断が下されるのであろうか?
 本人には何らの所得も資産もないこの“玉の輿”女性には、「生活保護者」である血縁家族を援助する義務は法律上発生しないのだろうか?? 
 と考察した場合、現行法上では確かに“玉の輿”女性にその法的義務はないと判断されそうな気が原左都子もする。 女性のご亭主が自主的にその援助を申し出れば話は別だろうが、そうでない限りこの女性(子供は一生産まない主義のようだが)は、ご亭主亡き後の遺産を自分の家族に分配するとの方策となろうか?

 これに近い話題が、人気お笑いコンビ「次長課長」河本氏のニュースだったのではなかろうか。 
 ところが、こちらは「生活保護者」である対象が河本氏のご実母すなわち“血縁親族”であるため、法的な判断が上記事例とは異りそうだ。
 私は“お笑い系”には疎いため河本氏に関する知識がない上に、氏に現在一体どれ程の“稼ぎ”があるのかも一切存じていない。  それにしても今回河本氏が実母の「生活保護受給」に関して “めちゃくちゃ甘かった、一部返還します” とメディアを通して詫びる姿を辛い思いで見守った私である…。  お母上が現在生活保護者であるということは、ご本人もそれなりの人生を歩みつつ芸能界で現在の成功を勝ち取ったのではあるまいか?
 ご実母の「生活保護」の実態を見逃していたと本人は言うが、芸能界の不安定要因を優先してあえてその対応をお母上に続行させていたとも考察できる河本氏の心情を思うと、少し切ない思いにもなる……


 ここで少しだけ「生活保護」制度について補足説明をすることにしよう。
 
 「生活保護」制度とは、人間が「生きる権利」を市民の税金で守ろうとする制度である。
 「日本国憲法」は、国民が「健康で文化的な最低限度の生活」を送る権利を保障している。 これに基づく「生存権」の一つとして「生活保護」制度が存在する。 

 ところが現在、国の政治経済の失策混乱により全国で200万人を超過する「生活保護者」を行政は量産してしまっている。 これら政治経済の失策混乱は今後益々増強するとの見通しである。

 そうなると、今後一体「生活保護者」の面倒を誰がみるの?  との議論となろう。

 野田総理率いる現在の民主党政権幹部は、早い話が手っ取り早く「消費税」を増税して今まで以上に国民市民よりの血税投入を強化するとの手段で、国民全体の社会保障をしていこう! と主張していることは皆さんご存知であろう。
 もちろん、税金の種類によってそれが「国庫」財源となるか「地方」財源となるかは異なる。 そうとはしても、上記東京都板橋区の事例のごとく特異的に数多い「生活保護者」を抱える自治体には、「国庫」「地方」関係なく結果として市民の巨額の血税が投入され続けるのだ。


 今回、表題に掲げた 「生活保護者を量産する前に行政がやるべき事」 の私論に移ろう。

 対象が何であれ行政が一旦「社会保障」との名目を掲げさえすれば、それが庶民に“正当化”されるはずと安直に判断し、それにお金を注ぎ込む政党は「よき政党だ」と信じさせよう、とのその単純思想自体から見直すべきではないのか。
 そんな訳はない。 我が国において政権政党が劇的に変わろうとも結局その政権施策が国民に受け入れられず、経済難が続行している我が国の現状をもっと鑑みるべきである。


 「生活保護者」対策に関しては行政が突っ込んで個人情報調査を強化するべきだ。

 例えば上記に紹介したが、我が知り合いには都内有数の立地条件下に資産価値が高そうな不動産物件を所有しているにも係らず、現在収入がないことを理由に「生活保護」の申請をしようかと冗談半分ながらもたくらんでいる人物が存在する。
 あるいは、自身は“玉の輿”に乗って「左団扇」の生活をしつつ、田舎の血縁家族の「生活保護者」を放置している人物もいる。
 この種の事例の場合、公的財源に優先して個人財産や家族の財産を救済策に当てるさせるという手立ては打てないのであろうか?

 具体的に言うと、自治体市民よりの「生活保護」申請に当たって特に個人財産に関してはその調査を厳密に行うべきではなかろうか。 高価値資産を所有している場合など、当然それを売却して生活費に当てさせる事から行政指導を始めるべきではないのだろうか?
 それに加えて、当人への就業指導も欠かせない行政の役割であろう。

 東京都内23区内に住んでいる原左都子としても、「生活保護者」を数多く抱えている板橋区に於いては、その現実に甘んじ放置することなく今後共区を上げて対処して行く事に期待したい。