原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

アルゼンチンの物価と通貨ペソの謎

2012年12月24日 | 旅行・グルメ
 (写真は、アルゼンチンブエノスアイレス レコレータ墓地にて。 たまたま写っている右側の女性は中国人団体観光客のようだ。  参考のため、現在のアルゼンチンでは中国人観光客を見かけるものの日本人にはまったくと言ってよい程遭遇しない。 
 レコレータ墓地とはブエノスアイレスの主要観光スポットの一つである。 墓地が観光スポット??と驚かれるかもしれないが、墓地には数々の彫刻やアーティスティックな建造物が並んでいる。 エビータの墓があることでも有名。)


 ブエノスアイレスでの一番のお楽しみと言えば、何と言っても市街の至る所に所狭しと立ち並ぶ小店舗にての買い物やカフェでのティータイムではなかろうか。
 今回の旅行の大半をそれら店舗とカフェめぐりで過ごしたと言って過言でない。
 
 ブランド志向の日本人が海外旅行に出かけた場合、免税店で安物ブランド品を買い漁るのが常のようだが、元々原左都子はブランド志向ではないためその種の行動にほとんど興味がない。 
 私の海外旅行の一番の興味・楽しみとは、地元の人々が如何なる暮らしを営んでいるか、その日々の生活の一端に触れる事に尽きる。
 そういう意味では、ブエノスアイレスという街は実に楽しい旅行先であった。

 地下鉄を利用し、市の各所に容易に出かけられるのが魅力的である。
 ただし、一般市民の皆さんのほとんどは英語がまったくと言っていい程に通じない。 スペイン語一辺倒の様子だ。
 旅行に旅立つ前に得た情報としても、やはりブエノスアイレス市民には英語が通じないのに加えて、態度が横柄で“つっけんどん”な対応をする人が多いとのことであった。  ところが前者は真なりなのだが、後者の“つっけんどん”に関してはとんでもない誤解であり、今回の我が旅行中に関しては市民の皆さんに実に親切に対応していただいたものだ。

 その一例を挙げよう。

 街角で小店舗を経営している男性に「花屋さんはどこですか?」と英語で尋ねたものの、“flower"がどうしても通じない。 なんで flower ごときの簡単な英語すら通じないの??と多少イライラしつつ、たまたま店舗に花の絵があるのに気付きそれを私が指差すと、“Oh! Florence!”と叫ぶや否や、一人で経営している自分の店を放り投げて我々旅人を自ら“Florence shop" に連れて行ってくれたのである! もちろん満面のスマイルで感謝を表現した原左都子だ。

 あるいは地下鉄の駅で切符を買い求めるにあたり、その駅名をスペイン語で駅員氏に告げるのに手間取った私だ。(実はブエノスアイレスの地下鉄は行き先の駅名を告げずに切符が買えるのだが…)  後ろには長蛇の列ができている。 こういう場面において日本の地下鉄では、迷惑な奴!と冷たい視線を投げ掛けられるのが落ちであろう。
 ところがブエノスアイレス市民の対応は違ったのだ。 よく分からないものの「彼女は○○駅と言っているではないか!!」と、後ろに並んでいる皆が私のヘボいスペイン語をそれぞれに聞き取り、それを大声援で反復して応援してくれるのだ! 実に感激の場面だった。   お陰様で無事に目的地に辿り着けることが出来た。
 

 今回のブエノスアイレスの旅は、上記のごとく地元の親切な市民の皆さんとの出会いの連続の集結体だったとも言える。
 いつも海外旅行をして思うことだが、旅行先の国や地域にかかわらず、地元の人々を信じることを優先して言葉は通じずとて“一生懸命”何かを伝えようとする相手に対しては、そんな旅行者の思いに報いようとの感情が自然と市民に湧き出るのではなかろうか。
 
 反面、最初からこの国は危険だ、治安が悪いから要注意などとの警戒心を抱いて訪れる外国人など、現地の人々にとっては鬱陶しさの極みであり排除するしかないのが現実であろう。
 それだからこそ、海外旅行に出かけられる皆さん、行き先の市民の皆さんの「好意」こそを信じた態度を取ろうではありませんか!!
 (最低限、笑顔は必須と私は思うのだが。)


 ところで原左都子にとって、今回アルゼンチンに旅立つにあたり一番懸念していたのは当地の物価の程であり、アルゼンチン全体を鑑みた場合の地域貧富差の実態であった。

 ブエノスアイレスに限って言えば、日本と同程度の物価水準だったといったところであろうか。

 帰国後見聞した12月12日付朝日新聞記事によると、現在のアルゼンチンにおいては政府が故意に「物価操作」を実施しているとのことである。
 確かに私が今回実際訪れたアルゼンチンに於ける「特別区」の位置付けのブエノスアイレスの市民達の暮らしは一応平穏であったようだ。 ところが国全体の経済力を考察すると、失礼ながら農業主体のアルゼンチンとの国家が経済的に安泰であるはずもない。 上記朝日新聞記事によれば、国家によるインフレ率操作の目的の一つとして国内に蔓延る貧困を隠す狙いもあるとのことだ。 
 アルゼンチンという国全体を見渡した場合、日本の比ではなく許されざるべく貧困層が存在する事実にもっと思いを馳せるべきとも省みる、今回の我がアルゼンチン旅行でもある。


 最後になるが、アルゼンチン国内の通貨である「アルゼンチンペソ」の両替が国際間において実に不自由である事実をご存知であろうか?
 今回私が経験した事実を伝えると、日本国内でのアルゼンチンペソへの両替は全面的に不能。 アトランタ空港で両替を試みたところ、手元には数少ないペソしか保管されていないとのことだ。 やっとブエノスアイレス空港でアルゼンチンペソへの両替を実施できた。 
 ところが、帰国時点空港でアルゼンチンペソを他国通貨に両替しようとしたところ、“Bank only" との回答である。 これはアトランタ空港然り、成田空港然りの現状だ。

 という訳で、南米アルゼンチンへ旅立つ場合、通貨であるアルゼンチンペソは必要分のみ両替するのがベストとの原左都子のアドバイスで今回の旅行記の幕を閉じよう。