原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

国際線航空機の座席、改善不能なものか!?

2012年12月20日 | 旅行・グルメ
 (写真は、アルゼンチン ブエノスアイレス レコレータ地区に位置する Alvear Palace Hotel 近くの街頭 郵便ポストの横に立つ原左都子)


 日本国内から海外に旅に出る場合、船便を利用する場合を除きそのほとんどが航空便に依存することとなろう。

 先だっての12月10日に出発した南米アルゼンチン訪問は原左都子にとっては海外旅行歴十数回目となるが、そのすべてを航空便に頼った。

 (旅行先当地の時差にもよるが)空の旅も片道10時間程度以内であれば、もはや許容範囲である。 成田(あるいは羽田)から離陸し、座席で配られる機内食を食して眠りこけている間に現地に到着するのが空旅の常である。


 ところが、これが航空便乗継ぎ、あるいは他国空港経由となるとそうは簡単に事が運ばない。

 今から遡ること30数年前、私が20代前半の頃に訪れたヨーロッパ旅行がそうだった。 
 さしあたって英国を訪問するのに、当時は米国アンカレッジ経由便しか運行していなかった。(?) 現在に於いては、おそらく英国へは直行便が往き交っていることであろう。

 これが、大変だ。 
 当時何のためのアンカレッジ経由なのか理解していなかった私だが、もしかしたら航空機の燃料補給目的だったのだろうか?  あるいは、国際線ルートが現在のようにはまだまだ発展していない時代背景だった故だろうか??
 とにかく、その空旅は未だ若かりし我が身体にも実に厳しいものがあった。 結局ロンドン ヒースロー空港に着陸するまで24時間程度の長旅だったと記憶しているが、心身共に疲れ果てての我がヨーロッパ旅行の始まりだった思い出がある。


 さてさて今回のアルゼンチン旅行は、上記ヨーロッパ旅行の比ではない“超過酷な空旅スケジュール”が予定されていた。
 何分、日本から見て地球の真反対側の南半球南米の国への旅行だ。 現在に於いては進化発展した航空便ルートであろうが、それを最大限短小しようとてアルゼンチンに到着するには過酷なまでの長時間フライトをこなさねばならないことは私にも理解可能だ。

 ここで今回の我がフライトスケジュールを紹介しよう。
 今回はデルタ航空利用なのだが、まずは成田から出発して米国アトランタまで12時間のフライト。 アトランタ空港にて6時間を過ごした後、同じくデルタ航空にてアルゼンチン ブエノスアイレス空港まで10時間のフライト。  帰国便も同様にアトランタ経由だが、何故かアトランタから成田までの所用時間が14時間と往きよりも長時間である。

 今回私をアルゼンチンまで誘って下さった知人は、成田-アトランタ往復の座席を「エコノミーコンフォート」指定とされたようだ。 私も帰り便は「エコノミーコンフォート」指定としたのだが、往きは通常の「エコノミー」座席を指定した。
 今回のフライトは満席状態との情報は既にネットで得ていたが、成田から飛行機に乗り込んでみると、な、な、なんと、我が席の隣に巨漢の中国人男性が座っているではないか!!
 こうなると大変だ。 巨漢男性の手足が我が席の1/3まではみ出している。  現在厳しい状況下にある日中外交関係を視野に入れた場合、そんなことにいちゃもんは付けられない。 ただでさえ狭いエコノミー席であるが、私は12時間のフライトを2/3残された座席で耐え抜く決意をするしかない。 救われたのは、隣の中国人巨漢男性が比較的礼節を心得ておられたことだ。 私が眠りこけてその男性のはみ出た腕を枕に利用しても、叱り飛ばされることがなかったのが何よりだった…。

 それにしても、国際線航空機内に於いて満席状態のエコノミー席は実に実に過酷である。
 今回は特に満席故に「中席」しか指定できなかったのだが、トイレに立つ場合通路側で寝ている客を起こさねばならない使命が中席顧客に課せられる。
 加えて客席乗務員より食事が運び込まれた場面においては、それが終了してお膳がすべて回収されないと「中席」の顧客はトイレには行けない運命にもある。
 それを何とかこなしつつ無事にアトランタ及びブエノスアイレスに到着したのは何よりだが…

 「往きはよいよい、帰りは怖い」…  などと、日本の童謡にも歌われているが…

 往き航空機内道中の座席の過酷さを実感した私は、特にアトランタから成田への帰国便14時間のフライトに於いて、「中席」をリザーブしていた“エコノミーコンフォート”を権利放棄して、わざわざ“通路側”のエコノミー席に移る選択をした。  何故ならば、飛行中トイレぐらいは自由に行きたい事を最優先課題と判断したからに他ならない! しかも通路側は「中席」に比して寝る時にも通路にはみだせる自由度もある。
 往路のこの我が選択は大正解で自由にトイレには通えたものの、今度は「中席」のお隣さんに配慮する繊細さが問われるはめとなる…

 
 そうだとしても、国際便航空機内に於ける上記のごとく顧客に課せられる過酷なフライトが今後どうにか改善されないものなのか!?

 それが嫌なら「ファーストクラス」なり「ビジネスクラス」の座席をリザーブすれば済む話と心得ているのが、現在の航空機企業の現状であるのか?
 そういう事なのだろうねえ。 確かに、エコノミーの料金より多少の割増し価格を負担すればそれで事は済む話であろう。


 ただ、ここであえて原左都子は訴えたいのだ。

 世界中で人種差別を横行させている国家・地域は、残念ながら未だ数多い。
 そこへ旅する世界人民もそれに従い、狭い空間である航空機内でその差別的待遇を味わったところで大した損失もないであろうとの航空機会社の発想・魂胆なのか?
 エコノミー席の“虐待”に近い扱いとは、 「カネさえ払えば、いくらでも快適な旅を保障するぜ~」 と航空会社から紋切り型に喧嘩を売られているようで、私は何だか背筋が寒い思いすら抱く。

 最後に私論の結論を述べよう。
 世界各国の航空会社は「ファースト」や「ビジネス」クラスを特権扱いする事に重きを置き続けるのではなく、今の時代に及んでは世界市民が利用する「エコノミー」席の充実こそを目指して欲しいものだ。

 それ程に、現代は世界規模で国外旅行が一般化した時代背景ではなかろうか。