原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

「大阪都構想」 住民投票決着の顛末

2015年05月19日 | 時事論評
 大阪維新の会 橋下徹代表が掲げた「大阪都構想」の是非を問う住民投票が5月17日実施され、反対派が僅差で賛成派を打ち負かした。
 この住民投票により都構想は廃案となり、橋下氏は同日夜の記者会見で政界引退の意向を表明した。


 冒頭より、話を基本に戻そう。

 「大阪都構想」とは一体何だったのか?
 これを実行する事により誰が得して誰が被害を被り、はたまた今後の大阪ひいてはその内外に如何なる影響を及ぼしたのか??

 原左都子の素人考えに過ぎないが、要するに「大阪都構想」とは現在東京都が採用している“23区方式”同様、大阪市内の区を自治体として独立させ(橋下案によれば5特別区に分割する予定だったようだが)、政令指定都市である大阪市を廃止する。 それにより大阪府と大阪市の自治体機能が重複している部分を一つにまとめ、無駄な税金投入を削減するところにメリットを見出す事が目的の一つだったようだ。
 昨夜のテレビニュースで垣間見たが、確かに大阪府及び大阪市共々自治体庁舎として“ご立派”な超高層ビルを建造してしまっている。 あれがもしも一つで済んでいたならば、何百億円もの無駄な税金投入を防げたことだろう。

 もしも「大阪都構想」が採択された場合のメリットとして、これまた原左都子が素人考えで思いついたのは「議会議員」の削減である。  ところがこれに関しては我が考えが甘かった事に後で気が付いた。 大阪都構想が実現されたとて、結局新たに独立する5特別区がそれぞれ区議会を設立した場合、現在の大阪市議会よりもっと数多い議員達に区民の血税から報酬をバラ撒かねばならない。 その報酬額とは、もしかしたら現在大阪市議に支払っている報酬総額より多額になる事も想像可能だ。
 この発想が出るのも、現在私が居住している東京都内某区自治体区議会議員どもが、一体全体何の働きをしているのか図り知れない故だ。 どうせ選挙で選んでくれた縁故者が住む地域に少しばかり恩を売っておきさえすれば、自分の議員としての身が安泰なことなど見え透いている。 こんな奴らが、自治体公務員以上の報酬を懐に入れている事態こそが、許し難い思いだ。

 そんなこんなと自治体議会議員への庶民よりの血税のバラ撒きに対し、私が捨て置けない怒りを抱いていたところ、やはり大阪府に於ける都構想に於いても、当該議会議員達が我が身息災に動いている情報を目にした。
 今回の「大阪都構想」実現により、一番被害を被るのが大阪市議会議員達の様子だ。 彼らは住民投票の事前に、特に弱者である高齢者や子供を持つ世代に対し都構想“反対派に回るよう”根回しをした模様である。
 中でも到底許し難いのは、基本政策が180度異なる「自公与党及び民主党・共産党」議員どもがこんな場で“結託”し、大阪住民にあの手この手と都構想「反対」に回るように街頭演説しまくった事実だ。 (例えば、都構想に賛成すると今まで無料だった高齢者バス乗車が有料になりますよ、等々と……)


 ここで一旦「大阪都構想」に関する情報をウィキペディアより、特に原左都子の上記懸念と関連する部分を引用して紹介しよう。

 橋下徹大阪市長を中心とする大阪維新の会が、大阪府と大阪市の双方によってばらばらに行われてきた広域行政を一本化するとともに、「住民から遠い市役所から、『権限・責任』を住民に身近な区役所に移し、公選区・区議会のもと、地域のことを決定できるようにする」ことを実現させる為に掲げる構想である。
 この構想の目的は、政令指定都市の大阪市を廃止して中核市程度の権限と財源を持ち、公選制の区長を置く特別区を設置し、旧市の行政機能・財源のうち広域行政に関わる部分を「大阪都」に、地域行政に関わる部分を「特別区」に、それぞれ移譲・統合することである。これにより、従来から議論となっていた「大阪府と大阪市の二重行政」の解消、大阪都市圏というより広範な地域を対象とした行政ニーズへの対応より小規模な自治体である特別区による、地域の実情に応じた小回りの利く地域サービスの実現を達成しようというものである。
 大阪市に代わって設置される特別区の区議会議員の数は、大阪市議会議員の議員の数と同数とされ、議員の増員はされない。区議の報酬は市議の報酬額から3割減額される。 なお、大阪市地域にはそれぞれ区議会が設置されるが、大阪府議会では定数削減後の88議席中27議席が配分されることとなり府議会全体の約31パーセントを占めることとなる。


 一昨日(5月17日)大阪都構想住民投票により、僅差ながらも「敗北」結果を突き付けられた橋下徹氏が発した言葉が素晴らしい。
 「権力者は使い捨てがいい」

 ここからは原左都子の私論だが、橋下徹氏が実質「権力者」であったか否かに関しては、今後の氏の活動動向を見守るべきだろう。
 それにしても今回の「大阪都構想」住民投票が、結果として狭い意識の権力者達(実際問題如何なる政治権力を有しているのか図り知れず単なる“勘違い”議員達)の私欲により操られていた事実が、おぞましくもある。

 ただ橋本徹氏が今回の住民投票結果に対し素直に敗北を認め、政界引退表明を提出した事実は、今後の政界にいくばくかの影響を及ぼす事であろう。
 事実、「維新の会」代表だった江田氏は既に代表辞任を表明している。 既にメディア報道にても見聞する通り、今後野党側も多少の混乱期を迎えるであろう。
 自民党とて安倍政権が目指す憲法改正戦略上、今後大きな打撃を受けそうだ。

 今回の「大阪都構想」住民投票に際しその結果の程が「僅差」だったことを、(国会議員も含め)関係自治体議員達こそが真摯に受け止めるべきだ。
 
 橋下徹氏のやり方は極端だったかもしれないが、彼は「大阪都構想」を住民投票に持ち込んだ事で、大阪府民のみならず全国の国民皆に、何某かの“今後の自治体や国家のあり方”を提示したような気もする…。