原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

人は何故詐欺犯にお金を差し出すのか?

2015年06月20日 | 時事論評
 「日本年金機構システムサイバー攻撃問題」(日本年金機構職員のパソコンが外部から送られた電子メールでウイルス感染し、年金受給者や加入者の氏名、個人を識別するための基礎年金番号など約125万件の個人情報が流出した問題)発生以降、国内で便乗詐欺被害が相次いでいる。

 以下に、それに関するネット情報を要約して紹介しよう。
 情報流出が発表された6月1日以降、読者センターには「年金がもらえなくならないか」など不安の声が多数寄せられている。これまでも企業の顧客情報流出はあったが、今回は国民全般に関係する年金の情報流出であることから関心が高いようだ。
 年金機構によれば、約125万件のうち、基礎年金番号・氏名・生年月日・住所の4情報がすべて流出したのは約5万2000件。
 基礎年金番号と氏名、生年月日の三つの情報が分かれば本人になりすまして住所変更が可能で、第三者に郵便物が送られるなどして個人の年金記録が知られてしまう恐れがある。 年金機構は、流出した対象者の住所変更が行われようとした場合は、警告が出る仕組みを導入するとしている。
 一方で、6月12日には神奈川県内の女性が、この情報流出に便乗したとみられる詐欺被害にあったことがわかった。 実在しない「国民年金機構」職員や弁護士を名乗る男から、「個人情報が流出している。キャッシュカードのデータを消して元通りにするため預かる」などと女性に電話があり、自宅を訪れた弁護士秘書を名乗る男にカード4枚を手渡したところ、複数の口座から計約300万円が引き出されたという。女性は、個人情報が流出した約125万件の該当者ではなかった。
 情報流出が発表された1日から15日午後3時までに、年金機構職員などを名乗る不審な電話は41都道府県で313件に上っている。 年金機構から個人に対して直接電話で問い合わせをすることはない。 年金機構は専用電話窓口を開設し、問い合わせに応じている。
 (以上、ネット情報より引用。)


 ここから、原左都子の私事及び私論に入ろう。
 
 先日、上記年金機構個人情報漏洩便乗詐欺被害に関するニュースを、亭主と一緒にテレビで見ていた。
 国民から預かっている貴重な巨額年金保険料を死守せねばならない立場の国家年金保険機構が、何故サイバー攻撃になど易々と引っかかってしまうのか!? その愚かさ及び無神経さ加減が一国民として許容範囲をはるかに越え腹立たしいのはもちろんだ!

 と同時に、ニュースを見て開口一番私の口から出たのは次なる言葉だ。
 「今時の年寄りって、随分と金持ちだね。」
 これを聞いて亭主曰く、「詐欺に騙されるのは大抵高齢者故に皆そこそこの老後資金を蓄えているよ。」
 私が応えて、「それは分かるけど老後資金とは自分のために使うカネであり、それをまんまと詐欺ごとくに騙し取られる訳にはいかない故そもそも手渡すはずがないよ。 要するにそれが判断不能なまでに認知力が低下しているとの事かなあ。」
 亭主曰く、「それよりも詐欺犯の手口が、万人の予想以上に巧妙だと思うよ。」

 最近は、「わたしわたし詐欺」(「オレオレ詐欺」に対して名付けられたのだろう。)も出没しているとのニュース報道でもある。
 これは娘を持つ母である私にとっても強敵かもしれない。 ただ我が家の場合娘が若干の事情を持って生まれている事があり、その特質性より鑑みてほぼ95%の確率で(?)今後も娘側から家に電話を寄越すことはないであろう。 そんな事情及び娘の“喋り方の特徴”に助けられ、我が家の場合はもしも「わたしわたし詐欺犯」から電話があったとして、「あなた誰なの!??」とすぐさま撃退可能な気がする。

 それよりも、問題を元に戻そう。
 私の推察では、どうやら詐欺犯に引っかかる高齢者は例外なく“ある程度のお金を持っている”のではなかろうか?
 それを犯罪者側から考察すると、“ある程度のお金を持っている”高齢者に関する個人情報を綿密に調査し尽くした上で、犯罪に臨んでいるとも判断可能だ。

 ところがこれが特に「オレオレ詐欺」分野の場合、もしも可愛い我が子が何らかの事件に巻き込まれた故に“直ぐカネが必要だ!”と電話口で言われたならば、すぐさま要求額を振り込もうとの感情が湧き・行動に移してしまうのは何故だろうか。
 私論だが、その実態とは親子関係が既に事実上“形骸化”している証拠ではなかろうか。
 特に被害者が高齢者である場合、上記の通りご本人が認知力を無くしている場合が多々あるであろう。 
 そうでないとして、何故立派に育ち自立している(はずの)子孫を高齢親が多額の金を支払うとの手段で被害から救い出さねばならないとの発想に陥ってしまうのか。 これぞ親子関係とは形ばかりで、その中身が成り立っていないに他ならない現象であろう。

 ここは、身内のお年寄り高齢者が溜めこんでいる財産を「すべて自分のために使い切るように。」と子孫から積極的に促し、日頃より決してその財産を当てにしないのが肝要ではなかろうか?
 そうして高齢者を安心させられたならば、例え振り込め詐欺犯から年寄り親に電話が来ようが、「我が家の子孫は経済力がありますから私ではなく本人に電話をして下さい。」と悠々と電話を切って、ゆったりと老後を過ごせるのではあるまいか?

 あるいは、早めに「公証役場」に出向いて公認の「遺言書」を作成しておく事もお勧めしたい。
 (振り込め詐欺犯より財産を狙われるレベルの)ある程度の資産を保有している親族内に於いて、それを作成している場合、振り込め詐欺犯のターゲットとなった高齢者が騙される以前の問題として、「公的遺言書を既に作成しているから、私の勝手な判断で電話の要求には応じられません。」と言えるかもしれない。??

 多少の痴呆症状が出ようが、例えば我が義母にも公証役場で「遺言書」を作成した記憶は脳裏にあるのが事実だ。
 要するに、若年身内に何らかのトラブルが発生したとて親族高齢者が(たとえ詐欺であれ)安易におカネを差し出せないシステム作りを家庭内で早急に施してはどうか、と言いたいのが私論だ。

 いやいや鳩山家程の巨額財産親族をお持ちなら、それは必要ないのかもしれないねえ……