原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

卒業生全員強制参加の「同窓会名簿」作成に大いなる違和感

2019年03月19日 | 時事論評
 関連した物事とは次々と連鎖的に引き起るようだ。


 前回の我がエッセイテーマとして、「振り込め詐欺」を取り上げた。
 その中で、「学校の同窓会名簿」も犯罪者間で高額取引され、「振り込め詐欺」の“悪の温床”元凶になりかねない旨の私論を展開した。


 そうしたところ昨日タイムリーに、我が手元に「同窓会名簿発行(2019年下旬)のお知らせ」なる葉書が届けられるではないか!

 その文面を読むと、その“半強制参加要請”度合いが物凄い!


 以下に、葉書に書かれた文面を引用紹介しよう。

 同窓会の皆様へ
 このたび、2019年版〇〇会(同窓会の名称)名簿を発行する運びとなりました。
 名簿発行に慎重な声も聞かれますが、〇〇会活動を発展させていくためには、名簿の定期的な発行は必要不可欠なものです。
 そのうえで、まずは皆様に現在の登録内容をご確認いただき、本会への意思表示をご返信いただくことがなによりも大切であると考えています。
 今回の名簿発行は〇〇会で十分協議を重ねた結果、プライバシーマーク取得にデータ整理専門会社△△にデータ管理を委託し、名簿発行することといたしました。 整備されたデータは、母校、〇〇会の最大の財産です。
 より正確な名簿作成のために、確認葉書のご返信にご協力をお願いします。
          〇〇会会長  ●●●●

 追記 :  この会員名簿は本会の正式事業として発行します。 必ずご返信下さい。
       会員名簿は同窓生のみの完全予約限定出版です。

 (以上、昨日我が手元に郵送されてきた「同窓会名簿作成のお知らせ」葉書より引用したもの。)


 一旦、私見だが。

 何ともまあ、仰々しい記述だこと!  しかも、自己矛盾も含有した内容だ。

 同窓会の発展に“同窓会名簿”作成が不可欠だと!?! 更にはこの同窓会名簿に参加する事こそが本会への意思表示?!?

 まずは、この件から反論しよう。
 そもそも「同窓会」なる組織団体に会員全員の強制参加を煽る権利など、法的には一切無い。
 自由参加に決まっているではないか! 好きな者が集まって会を盛り立てればそれで済む話だ。

 ここでこの同窓会の実態を暴露するならば、我が郷里の卒業大学学部の同窓会だが…。
 現在の卒業生総勢は7,300名らしいが、実際に私がかかわったのは現役時代に出会った一部であり、その他大勢は見知らぬ人達だ。  何故それらの人々と単に出身大学学部が同じとの理由で、個人情報を公にして強制的に付き合わされねばならないんだ!?!
 まさに集団嫌いの私が一番に毛嫌いする「集団主義」の押しつけでしかない。 
 自分が付き合う相手は、一生賭けて自分で選別するよ!!


 次なる課題は、同窓会会長氏が民間データ管理会社を深き思慮なく信用している点だ。

 現在の〇〇会会長氏は、文面によれば昭和42年卒らしい。 という事は私よりも10歳程年上の現在70代前半のご年齢であろう。

 標題テーマから趣旨が大幅に外れるが、今後の人事として〇〇会会長を高齢者ではなく、ずっと若き世代から選出してはどうだろうか?
 何処の同窓会団体も高齢者を会長に選出する傾向にあるようだが、むしろ、若き世代より選んだ方が会の活性化に繋がるようにも考察する。
 ただ、我が出身大学は医学部だ。 卒業生の皆さんはパラメディカル分野の現役医学関係者として大いに活躍されていることだろう。 故に、どうしても現役を退いて時間に余裕がある人物が会長に選出される運命にあるのかもしれない。
 
 そうすると、補佐役として若き世代の人材を配置することも考えられよう。
 現役世代に生きている人材が、「民間データ管理会社」を深き思慮なく信用しないであろうと私は期待したいものだ。

 最後の、「会員名簿は同窓生のみの完全予約限定出版です。」の文言も気にかかる。
 この種の同窓会名簿を購入する人物とは、よほど出身校に思い入れがあるか、あるいは何らかの別ビジネスに直結したいと志す輩のみではなかろうか?  
 そうした場合、私が前回のエッセイで主張したように、作成した同窓会名簿が「高額で販売され世に出回る」事実も回避出来ないであろう。


 原左都子自身が当該大学卒業直後に郷里を捨て親を捨て上京後、既に40年以上の年月が経過している。
 現在郷里の高齢者自立支援施設にて(比較的元気に)暮らす実母があの世へ旅立った暁には、私にとっては郷里とは何らの係わりも無くなる。
 今更、その郷里出身大学の「同窓会名簿」へ現住所や諸情報を登録せよ! と言われても、それによる“恩恵”が何一つとして見当たらないのが正直な現状だ。

 いえいえ、郷里の大学医学部にての諸教育に十二分にお世話になった思いは、必ずや今も我が内面に存在し続けている。 その恩恵により私は上京後医学関係者として身を立て、(私なりの)繁栄の道程を歩めた事実には感謝申し上げたい。

 ただ、その事実と「同窓会名簿」に個人の現況諸個人情報を登録する事とはそもそも全く別問題だ。
 それを一緒くたにする過ちを犯し続ける事態を終焉するべき時代背景ではあるまいか?


 高齢者ご自身が、過去に卒業した“学びの舎”へのノスタルジックな思いを持ち続ける事自体はもちろん自由であろう。
 
 ただそのあくまでも個人的な思いを同窓生皆に拡大し、同窓会名簿への登録を強制する事態こそを。
 この「振り込め詐欺」が拡大し続ける厳しい社会の現実に直面している今現在、謹んで欲しいと考えるのは私だけだろうか?