原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

Mc付録「人間 体の不思議」と我が1986年発刊の著書

2019年04月09日 | 医学・医療・介護
 (写真上は、娘がマクドナルドの付録として貰ってきた「小学館図鑑 人間・体の不思議」。 下は、私が医学・免疫学分野の業務に従事していた時代に所属企業の仕事の一端として発刊した医学冊子。)


 昨日娘の部屋を掃除していた時のことだが、真新しい小冊子を発見した。
 それぞ、冒頭写真上の「小学館図鑑 人間・体の不思議」だが。

 最初にこれを発見した時、本の片隅にMcのロゴがあるのにまったく気づかなかった私は、何故娘がこの種の本を所有しているのか訳が分からなかった。
 医学書ならば古いので良ければ我が書棚に沢山あるし、そもそも娘の専門は医学とはかけ離れているし…
 一体どうしたというのかと不思議に思いつつ、本の中を一覧してみると。

 なかなか端的に良くまとまった“立派な”医学書なのだ!

 目次を引用すると。 感覚器・脳と心臓・消化器・じんぞう・心ぞうと血管・骨と筋肉・人間の体クイズ・その答え  とある。

 上記写真の「心ぞうと血管」のページを紹介するなら。
 全身のおもな血管 : 心ぞうから血液を送り出す血管を動脈といいます。血液を心ぞうに戻す血管を静脈といいます。全身の血管をつなぐと、長さは9万キロ(地球を2周と少し)にもなります。 (中略)
 血液は何でできている? : 血液は、体重60kgの大人で5リットルぐらいあります。そのうち半分以上が血しょうという血液成分で、ほかには赤血球、白血球、血小板があります。赤血球は酸素を運びます。白血球は5種類あり、病気のもとになるばい菌とたたかいます。血小板は血がでたとき、きずをふさいで血を止めます。(以下略)

 後に娘に確認して、この小冊子の発刊者がマクドナルドだと判明したのだが。

 私見だが、いいんじゃないだろうか!
 マクドナルドも付録に「キティちゃん」「ドラえもん」「ピカチュー」「リカちゃん」等々、子供だましのキャラクターばかり配っていないで、この種の付録にもっと早期に着眼するべきだった。
 たとえ親が教育熱心でなくとも、マクドナルドで偶然貰ったこの小冊子をきっかけに“人間の身体”に子供本人が興味を持つかもしれない。 そんなちょっとした経験が将来の職業選択肢として「医学分野」に結びつかないとも限らないだろう。


 娘がMcから貰って来たこの小冊子中の特に「血液」の記述を見て、私は自分の過去に記した著書を思い出したのだ。
 
 それが、写真下の全200頁に及ぶ小冊子だが。
 いやいや、今の今まで何十年も思い出さなかったなあ。 故にこの著書の事をエッセイ集内で公開するのも今回が初めての事だ。 免疫学関連の学会抄録等は既に公開しているのに、なぜ思い出さなかったのか自分でも不思議だ。

 この我が著書に関して少しだけ説明しよう。
 これはあくまでも我が過去の所属企業(東証一部上場企業だが)の仕事の一端として執筆したものだ。
 医学関連企業ではあるものの、例えば間接部門や営業部門等、医学経験が希薄な社員を対象とし、所属企業の医学事業に関連する詳細の学習を煽る目的で執筆・発刊したものだ。
 この著書は私の単独執筆なのだが、実際この200頁のすべてを私一人で書き上げた。 当時「社員教育部門」に所属していた私に執筆の白羽の矢が当たり、それを快く引き受けた私だったものの。 実際の社員教育業務の合間を縫い超多忙な中1年がかりで完成させた。

 と言う訳で、一般発売されていない非売品ではある。
 一応“社外秘”扱いだったものの、営業マンが営業先の病院等々医学施設へ持参していったところ、現場の医師達から「これが分かりやすいので欲しい!」との数多くの要望が届けられたとの事だ。 その要望に水面下で応えつつ結果として増刷分も含め2500部程が刷られ、医学臨床現場を中心として外部に数多く流れたようだ。


 我が手元にも数冊保存してあるのを、つい先程書棚で発見した。
 発刊後長い年月が流れてはいるが、一応当時“社外秘”だった事実を鑑み、今回は当該著書の一ページのみを紹介しよう。

 冒頭写真下がそのページだが、まさに我が医学現役時代に我が専門として執り行った業務である。
 血液細胞中の「免疫細胞」を扱っていた私だが、白血球の種類の一つであるリンパ球のサブクラス研究を実施し、臨床レベルでその検査を導入するべく様々な試行錯誤を繰り返したのが思い出深い。
 一応、国内では初めてその「免疫細胞サブクラス」のルーチン化に成功したのが我が社の業績であり、我々研究者の業績でもあった。(当時としては“特許”を取得しなかったのか、それによる特別収入は皆無だったが…
 
 ただ医学分野の進化とはその後それはそれは急激・かつ画期的な進展を遂げ、今となっては我が社(及び私の)業績も過去の所産であろう。


 それにしても娘がマクドナルドで貰って来た一小冊子のお陰で、私は“過去の所産”である我が執筆本の存在を思い出すことが叶った。

 いやいやこのマクドナルドの付録本、子どもの医学教育目的に於いては実に良く出来ていますよ!