原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

発達障害、職場に特性を伝えるより本人が持てる能力で仕事を精一杯頑張るべき!

2023年06月08日 | 仕事・就職
 少なくとも私は親の立場として、発達障害の一人娘の教育を冒頭表題のごとくの徹底したポリシーの下に実行してきている。


 それ故に 私は今までの娘の人生に於いて、本人に向かって直接「貴方は“発達障害児(者)”だ」と告げたことはただの一度も無い。
 ただし、娘が子ども時代にその専門研究指導機関へ連れて行ったりした経験があるため、娘本人がそれを薄々感じ取っている可能性は否定できない。

 通学した学校に関しても。
 さすがに小学生時代には、娘小5まで「発達障害」がある旨を担任に伝えた。
 小6時の担任はその分野に関する力量が無い教員と私が推測したため、むしろそれを伝える事が娘に悪影響を及ぼすと母の私が判断して一切公開しなかった。 それが功を奏し、我が娘は無事私立中高入試合格が叶い進学した。
 中高・大学に至っては 娘本人の能力を信じつつ、私は家庭内のみで娘の支援を続けた。 この我が家庭内支援(要するに我が“サリバン力”)が、娘が立派に成長する“大いなる陰なる力”だったと自負している…

 娘が30歳を迎え一人立ちしている現在、もはや、その“サリバン力”の出番も極少なくなっている。
 たまに我が家へやって来た時には、必ず仕事をはじめとする娘の生活状況を確認するのだが。 多少のアドバイスをする程度で、今のところは事無きを得ている。




 ここで、2023.06.07付朝日新聞記事「発達障害の特性伝え 入社したのに 配慮求めた末突然雇い止め」と題する記事の一部を、以下に引用しよう。

 40歳女性は、子どもが発達障害と診断されたのをきっかけに自分もADHD(注意欠如・多動性)とASD(自閉スペクトラム症)だとわかった。 5年前、障害者雇用の枠で東京都のIT企業に契約社員として採用された。 だが、配属された部署は、業務補助という役割以上の仕事を振られることもあった。 女性は「仕事の連絡は文字に残るものでしてほしい」など、配慮してほしいことを文書で伝えた。 
 2016年に施行された改正障害者雇用促進法は、障害者が必要な配慮を伝えた場合、過重な負担にならない範囲で対応する「合理的配慮」を企業に義務付けている。 (中略)
 10月中旬、「11月30日をもって契約更新を行わない」とする雇止め通知書が届いた。 女性は弁護士を通じて雇い止め撤回を求めたが「業務遂行能力に大きな懸念がある」と会社は契約を更新しなかった。
 21年7月、女性は会社を相手取り。労働者としての地位確認と、「合理的配慮」の提供義務違反に当たるとして損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。 (途中大幅略)
 発達障害の人は障害の特性がわかりにくく、配慮を受けにくい実態がある。訴訟も長びくが、誰もが働きやすい職場環境はどうやるべきなのか。

 (以上、朝日新聞記事より一部を引用したもの。)



 我が娘に話題を戻そう。

 娘が小1の時に、同じく発達障害にて研究所へ通っている小1男児親子と出会った。 その母親氏曰く、「この子は既に役所へ“障害児”登録を済ませ“障害者手帳”を持たせている。 そうした方がすぐに障害者である事実が分かり易く周囲の理解が得やすいと考えてそうしている。」

 これを聞いた私は実に驚いた!
 確かに親の立場としては、その方が何事も“手っ取く”物事が進むのかもしれない。 未だ息子さんは小1。その小ささでは本人も「障害」の持つ意味もさほど分からないかもしれない。
 ただ、子どもとは大きく成長していくものだ。(障害児登録を後で取り消せるか否かに関しては私は周知していないが) もしも本人が大きくなるにつれ障害の程度が軽くなりそれを取り消したいと考えたとして、それが可能だとよいのだが…

 私など、まるで逆の考え方のスタンスを貫いた。
 娘には たとえ発達障害を抱えていようが、とにかく最大限の努力をしつつこの世を渡って欲しい。 そのためのサリバン教育は一貫して厳しかった。
 その成果があり、娘は普通(いやむしろ優秀だったかも??)に大学までの教育課程を通り行き。 大学卒業後は正社員(中小企業だが)のIT技術者正社員として身を立て、現在は自ら転職を志しその職場にて活躍中の身だ。

 今後の事は、母親の私にも分からない。
 もしかしたら 転職先で躓くかもしれないし、うまく行くかもしれないし…


 それでも、発達障害を抱える娘に対する母親の私なりの確固としたスタンスはある。
 職場では、培ってきた自己能力を最大限発揮せよ!
 何らかのトラブルがあった場合は、必ずやひとまず上司の指示に従うように。
 職場の皆さんとは、出来得る限りのコミュニケーションを取るように。(実はこれが我が娘が抱える発達障害の一番苦手な部分なのだが。)
 それでもサリバンの指示に従って、少なくとも我が娘の場合は周囲に悪態を突いたり反抗したり、ましてや訴訟を起こすなどとの“悪戯”を働くことがないため、身が持っていると言えるだろう。


 たとえ「発達障害」であれ障害を抱えているという事実が生易しいものではないことを、私は娘の今までの人生を通して十二分に理解できているつもりだ。

 それでも私は主張したい!

 訴訟を起こし物事を荒げて敵を増やすよりも。
 とりあえず職場内では本人自身が出来得る限りの努力を惜しまず仕事に励み、少しでも職場のお役に立てるよう目指すことこそが。

 たとえ発達障害者であろうが 最優先課題ではなかろうか!?!