つい先だってこの原左都子が、あわや「振り込め詐欺」か? と勘ぐる電話を自宅で受けた。
電話の受話器を取る前に“ナンバーディスプレイ”画面に表示された電話番号を確認(我が家では安全確認のため普段よりそれが習慣となっている)すると、土地勘がまったくない地方の市外局番が表示されていた。
「見知らぬ地から我が家に何の用件だろう??」との若干の不信感を抱きつつも電話に出ると、「○○さんのお宅ですか?」との第一声だ。 その名は我が家の苗字と似ているのだが少し異なるため「違います」と返答すると、「すみません」との事で一旦電話が切れた。
この段階で私は、間違い電話とは言えども相手が呈示した名前が“我が家の苗字と似ている”点が大いに気になっていた。
間違い電話の相手の声が若い世代の男性かと想像できた事も気に掛かる。 何せ、我が家には年頃の娘がいる。 あの電話がもしも娘に何らかの危険が忍び寄っている前兆だったとするならば、親の責任でそれに対峙し排除せねばならない。
想像力豊かな私の脳内には様々な思惑が巡る。 もしも今回の電話に娘が出ていたとしたら、相手はそのまま自分の用件(セールスや詐欺、あるいはストーカー??等のろくでもない用件)を伝えたのかもしれない。 ところが電話に出た相手は“おばさん声”だ、これは母親に間違いない。ここはテキトーな名前を言って切った方が得策だ。
等々と、妙齢の娘を持つ母である私がバリアを張っても不思議ではないでしょ……
などと原左都子が持ち前の想像力を働かせていた時、また電話が鳴るではないか! そして受信音が一回鳴た後、電話の画面まで行く前に直ぐに電話は切れてしまった。
これは更に怪しいと私が恐怖感すら抱き初めたところ、執拗に三度目の電話が鳴るではないか!
こうなれば、娘を持つ母としてはもう覚悟を決めるしかない。 相手が如何なる悪党であれ精神異常者であれこの原左都子こそが対峙しよう!との強い覚悟で電話に向かうと、やはり上記の未知の地からの電話番号が表記されている。
受話器を上げると、今度は「○○さんですね」と我が家の苗字を尋ねる。
「そうですが、先程から幾度となく我が家にお電話を下さっていますね?」と半ば喧嘩腰に電話の返答を切り出す私だ!
話を中略してこの電話の真相結果を語ると、実は、原左都子本人への大学(大学院)の同窓ゼミ会への誘いの電話だったのだ。
そうとは言えども、この電話の不審点は他にも多数あった。
例えば、私のゼミ担当教授(既に退官されている)がこの度文化勲章(後に知った詳細は“秋の叙勲”であられのたが)を受章されたと電話の声は伝える。 そのような情報に関してはニュース報道等により詳しい事を自負している私だが、今回恩師が受賞された賞の詳細を知らずにいた事は確かだ。
その元教授である恩師の受章祝賀会も兼ねて、今回名立たるホテルの名立たる宴会場でゼミ総会を開催するのだと電話の主は言う。
このような電話に於いても、庶民の立場としてはまず “振り込め詐欺” を疑うべきと原左都子は心得るのだ!
そんな私は、電話相手の話を聞きつつも「振込み先」を唱え始めたなら即座に電話を切ろうと考えていた。
幸い電話の相手はゼミ会総会に出席するに当たっての「振り込み先」は伝えなかった。 ただ、それでも私の方は念を押した。 「今時、間違い電話や迷惑電話が数多い日常に於いて、このような連絡をいきなり電話で頂く事が如何なものか?」
これに対しては電話の相手から一応の謝罪もあった。
その後正式な「ゼミ総会」の案内書も到着して一件落着ではある。 ホッ
それにしても、未だ一般に流通している個人情報満載の「同窓会名簿」を濫用・悪用した“振り込め詐欺”がこの世に横行している現状のようだ。
この現象の背景を原左都子が一言で分析するに、どうも過去の一時の“栄光”に依存したい意図で個人情報を自主的に公開している輩が、特に年配者程多い現状ということではなかろうか?
この対策として、個人情報保護法が施行されている現在に於いては「同窓会名簿」など作成しない事が第一義と心得る。 ところが、どうもこの種の名簿を作成したがる人種が今尚数多い現状のようだ。
どうしても「同窓会」等を開催したい人種が取るべく代替案とは、実際に参加した同窓生同士で個人情報を交換し合って小規模同窓会を開催すれば済む話であろう。 決して、人づてに第三者の個人情報を収集して勝手に名簿に記載、公開するような事は法的にもあってはならないはずだ。 にもかかわらず、名簿作成時に「ご知人同窓生の住所等をご存知の場合併記をお願いします」の文面を未だよく見かける。 私自身もこれによりあえて非公開にしている個人情報を本人の承諾なく名簿に記載、公開された経験がある。
同窓会を開催するため人を集めたい人種が取るべき対策とは、安易に名簿に頼るのではなく、自分自身で日頃から個人的にまめに連絡して一人ひとりの相手とある程度の人間関係を築いておく、これしかないのではなかろうか?? それが迷惑な相手からは一切の返答がないはずだよ。 (相手が迷惑なのをわきまえず幾度もアクセスする行為が“ストーカー”と判断される場合もあることを覚悟した上で、それを実行すればよいのだ。)
原左都子の私事が長引いてしまい恐縮である。
今回このエッセイを綴り公開しようとしたきっかけとは、朝日新聞2月5日付「男のひととき」コーナーへの
64歳男性よりの “長電話の息子、正体は” と題する投稿だった。
この男性の新聞投稿を一読し、実は私は 「なごみ」 のようなプラスの心のひだをもらった感覚を受けたのだ。
投稿内容を以下に要約して紹介しよう。
31歳会社員の息子は川崎市に一人で暮らしているが、3ヶ月に一度「米(コメ)送って」と電話をしてくる程度だ。 便りが無いのは元気な証拠とあまり気にしていなかった。 ある日、そんな息子から「携帯電話をトイレに落としてしまった」との電話があった。 いつもは一言で切れる電話が今回はおしゃべりなため、こちらもその気になって息子の仕事や健康そして彼女の事など数分話をした。 しかし途中で何となく声がおかしいと思い尋ねると「ゴホン、ゴホン」と咳をして風邪を引いたと言う。 まだ少し話を続けた後、やはり声の質が違うためもう一度尋ねると「ガチャン」と電話を切られてしまった。 そこで初めて“オレオレ詐欺”の息子であったことに合点した。 その後、本当の息子に電話すると「アハハ」と笑っていた。 我が家は“オレオレ詐欺”の息子に送る程の経済的余裕がないため簡単には騙される心配はないが、3ヶ月に一度の本当の息子からの「米送れ」には茨城産のコシヒカリを送っている。
誤解を恐れず原左都子の感想をここで述べるならば、この64歳男性の投稿には、3ヶ月に一度コシヒカリ米を送っている実の息子さんと同等に“オレオレ詐欺”の息子に対しても“ほのぼのとした”愛情がある事を感じるのだ。
こういう人間味のある相手って“電話詐欺”の犯人には実は一番苦手な対象なのかもしれないと、今回初めて私は実感させられた思いである。
原左都子のごとく元々人を疑ってかかる人種程“電話詐欺”犯人の反感を買い、もっと被害に遭わせてやろうとの反発心を煽るのかもしれない、とも考えさせられる投稿である。
まあそれにしても、現在の“オレオレ詐欺”“振り込め詐欺”等々 電話による詐欺行為は人の心理のひだを突きつつもより巧妙に“進化”を遂げている様子だ。
やはり、年配者、若者を問わず不審電話は頭から疑ってかかるのが一番の得策であろう。
元々“人が悪い”天邪鬼の私は、今まで通り不審電話には厳しく対応しシャットアウトするつもりであるぞ!
電話の受話器を取る前に“ナンバーディスプレイ”画面に表示された電話番号を確認(我が家では安全確認のため普段よりそれが習慣となっている)すると、土地勘がまったくない地方の市外局番が表示されていた。
「見知らぬ地から我が家に何の用件だろう??」との若干の不信感を抱きつつも電話に出ると、「○○さんのお宅ですか?」との第一声だ。 その名は我が家の苗字と似ているのだが少し異なるため「違います」と返答すると、「すみません」との事で一旦電話が切れた。
この段階で私は、間違い電話とは言えども相手が呈示した名前が“我が家の苗字と似ている”点が大いに気になっていた。
間違い電話の相手の声が若い世代の男性かと想像できた事も気に掛かる。 何せ、我が家には年頃の娘がいる。 あの電話がもしも娘に何らかの危険が忍び寄っている前兆だったとするならば、親の責任でそれに対峙し排除せねばならない。
想像力豊かな私の脳内には様々な思惑が巡る。 もしも今回の電話に娘が出ていたとしたら、相手はそのまま自分の用件(セールスや詐欺、あるいはストーカー??等のろくでもない用件)を伝えたのかもしれない。 ところが電話に出た相手は“おばさん声”だ、これは母親に間違いない。ここはテキトーな名前を言って切った方が得策だ。
等々と、妙齢の娘を持つ母である私がバリアを張っても不思議ではないでしょ……
などと原左都子が持ち前の想像力を働かせていた時、また電話が鳴るではないか! そして受信音が一回鳴た後、電話の画面まで行く前に直ぐに電話は切れてしまった。
これは更に怪しいと私が恐怖感すら抱き初めたところ、執拗に三度目の電話が鳴るではないか!
こうなれば、娘を持つ母としてはもう覚悟を決めるしかない。 相手が如何なる悪党であれ精神異常者であれこの原左都子こそが対峙しよう!との強い覚悟で電話に向かうと、やはり上記の未知の地からの電話番号が表記されている。
受話器を上げると、今度は「○○さんですね」と我が家の苗字を尋ねる。
「そうですが、先程から幾度となく我が家にお電話を下さっていますね?」と半ば喧嘩腰に電話の返答を切り出す私だ!
話を中略してこの電話の真相結果を語ると、実は、原左都子本人への大学(大学院)の同窓ゼミ会への誘いの電話だったのだ。
そうとは言えども、この電話の不審点は他にも多数あった。
例えば、私のゼミ担当教授(既に退官されている)がこの度文化勲章(後に知った詳細は“秋の叙勲”であられのたが)を受章されたと電話の声は伝える。 そのような情報に関してはニュース報道等により詳しい事を自負している私だが、今回恩師が受賞された賞の詳細を知らずにいた事は確かだ。
その元教授である恩師の受章祝賀会も兼ねて、今回名立たるホテルの名立たる宴会場でゼミ総会を開催するのだと電話の主は言う。
このような電話に於いても、庶民の立場としてはまず “振り込め詐欺” を疑うべきと原左都子は心得るのだ!
そんな私は、電話相手の話を聞きつつも「振込み先」を唱え始めたなら即座に電話を切ろうと考えていた。
幸い電話の相手はゼミ会総会に出席するに当たっての「振り込み先」は伝えなかった。 ただ、それでも私の方は念を押した。 「今時、間違い電話や迷惑電話が数多い日常に於いて、このような連絡をいきなり電話で頂く事が如何なものか?」
これに対しては電話の相手から一応の謝罪もあった。
その後正式な「ゼミ総会」の案内書も到着して一件落着ではある。 ホッ
それにしても、未だ一般に流通している個人情報満載の「同窓会名簿」を濫用・悪用した“振り込め詐欺”がこの世に横行している現状のようだ。
この現象の背景を原左都子が一言で分析するに、どうも過去の一時の“栄光”に依存したい意図で個人情報を自主的に公開している輩が、特に年配者程多い現状ということではなかろうか?
この対策として、個人情報保護法が施行されている現在に於いては「同窓会名簿」など作成しない事が第一義と心得る。 ところが、どうもこの種の名簿を作成したがる人種が今尚数多い現状のようだ。
どうしても「同窓会」等を開催したい人種が取るべく代替案とは、実際に参加した同窓生同士で個人情報を交換し合って小規模同窓会を開催すれば済む話であろう。 決して、人づてに第三者の個人情報を収集して勝手に名簿に記載、公開するような事は法的にもあってはならないはずだ。 にもかかわらず、名簿作成時に「ご知人同窓生の住所等をご存知の場合併記をお願いします」の文面を未だよく見かける。 私自身もこれによりあえて非公開にしている個人情報を本人の承諾なく名簿に記載、公開された経験がある。
同窓会を開催するため人を集めたい人種が取るべき対策とは、安易に名簿に頼るのではなく、自分自身で日頃から個人的にまめに連絡して一人ひとりの相手とある程度の人間関係を築いておく、これしかないのではなかろうか?? それが迷惑な相手からは一切の返答がないはずだよ。 (相手が迷惑なのをわきまえず幾度もアクセスする行為が“ストーカー”と判断される場合もあることを覚悟した上で、それを実行すればよいのだ。)
原左都子の私事が長引いてしまい恐縮である。
今回このエッセイを綴り公開しようとしたきっかけとは、朝日新聞2月5日付「男のひととき」コーナーへの
64歳男性よりの “長電話の息子、正体は” と題する投稿だった。
この男性の新聞投稿を一読し、実は私は 「なごみ」 のようなプラスの心のひだをもらった感覚を受けたのだ。
投稿内容を以下に要約して紹介しよう。
31歳会社員の息子は川崎市に一人で暮らしているが、3ヶ月に一度「米(コメ)送って」と電話をしてくる程度だ。 便りが無いのは元気な証拠とあまり気にしていなかった。 ある日、そんな息子から「携帯電話をトイレに落としてしまった」との電話があった。 いつもは一言で切れる電話が今回はおしゃべりなため、こちらもその気になって息子の仕事や健康そして彼女の事など数分話をした。 しかし途中で何となく声がおかしいと思い尋ねると「ゴホン、ゴホン」と咳をして風邪を引いたと言う。 まだ少し話を続けた後、やはり声の質が違うためもう一度尋ねると「ガチャン」と電話を切られてしまった。 そこで初めて“オレオレ詐欺”の息子であったことに合点した。 その後、本当の息子に電話すると「アハハ」と笑っていた。 我が家は“オレオレ詐欺”の息子に送る程の経済的余裕がないため簡単には騙される心配はないが、3ヶ月に一度の本当の息子からの「米送れ」には茨城産のコシヒカリを送っている。
誤解を恐れず原左都子の感想をここで述べるならば、この64歳男性の投稿には、3ヶ月に一度コシヒカリ米を送っている実の息子さんと同等に“オレオレ詐欺”の息子に対しても“ほのぼのとした”愛情がある事を感じるのだ。
こういう人間味のある相手って“電話詐欺”の犯人には実は一番苦手な対象なのかもしれないと、今回初めて私は実感させられた思いである。
原左都子のごとく元々人を疑ってかかる人種程“電話詐欺”犯人の反感を買い、もっと被害に遭わせてやろうとの反発心を煽るのかもしれない、とも考えさせられる投稿である。
まあそれにしても、現在の“オレオレ詐欺”“振り込め詐欺”等々 電話による詐欺行為は人の心理のひだを突きつつもより巧妙に“進化”を遂げている様子だ。
やはり、年配者、若者を問わず不審電話は頭から疑ってかかるのが一番の得策であろう。
元々“人が悪い”天邪鬼の私は、今まで通り不審電話には厳しく対応しシャットアウトするつもりであるぞ!