◎映画『アスファルト・ジャングル』(1950)を観た
一週間ほど前、コスミック出版のDVDで、ジョン・ヒューストン監督の『アスファルト・ジャングル』(MGM、一九五〇)を鑑賞した。たしか、これが三回目である。
やはり傑作だと思った。特に、「ドク」を演じたサム・ジャッフェの演技がよい。主演のスターリング・ヘイドンを完全に喰っている。
「ドク」を中心とする強盗団が、宝石店の金庫から大量の宝石を盗み出そうとする。金庫破り担当はルイ(アンソニー・カルーソ)、運転手担当はガス(ジェイムズ・ホイットモア)、用心棒担当はディックス(スターリング・ヘイドン)。
金庫から宝石を奪うことはできたが、警報が作動するという誤算があって、ルイが警備員に撃たれてしまう。四人とも何とかその場を離脱するが、ルイは、その後、自宅で息を引きとる。
悪いことが重なる。宝石を買い取ることになっていたエメリッヒ(ルイス・カルハーン)が、現金が用意できなかったと言い出す。その場での口論の際、エメリッヒが雇った私立探偵ボブ(ブラッド・デクスター)とディックスが拳銃を撃ち合う。ボブは即死、ディックスも脇腹を撃たれて出血する。
タクシー運転手の通報が発端となって、警察は、犯行の全容をつかむ。ガスが逮捕され、エメリッヒは、逮捕直前に自殺。
面白くなるのは、実は、ここから先である。ドクとディックスは、ディックスの愛人「ドール」(ジーン・ヘイゲン)の部屋を訪ね、そこで獲物の宝石を分けたあと、別々に逃走することになる。
ドールの部屋を出て、夜の街を歩いてゆくドク。その後ろ姿を窓から見おろすディック。ディックスはドールに向って、「肝のすわった男だ」と言う。印象に残る場面である。
タクシーをつかまえたドクは、クリーブランドに向かう。途中で、休憩のために食堂に寄る。若い男女が、ジュークボックスの音楽に合わせて、派手に躍っている。それを、真剣な表情で見つめるドク。運転手がドクの肩を叩き、「お客さん、そろそろ行きましょう」と言う。ここも印象に残る場面である。
ディックスとドールは、車を調達してケンタッキーの牧場に向かったが……。映画の結末は、あえて記さない。