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新自由主義経済は終わらせられる  文科系

2021年06月14日 11時07分19秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 一面ちょっと不謹慎とは感じつつも今回のG7が面白くて仕方なく、僕は噴飯しきりになる。トランプで一つの頂点に達したここ40年程のアメリカ世界戦略の流れに対して、重大な「反省」が急すぎるからだ。それも、中ロの世界戦略に対抗せざるをえぬという形で強いられた策ばかりと見えるから噴飯物なのだ。G7、因みに今回の実際は、豪、韓、インド、南アを加えてG11だがそこにおいて、こんな事が起こっている。「ワクチン10億を交換条件無しに世界に提供!」というのは「中国の3・5億や、ロシアのスプートニク提供」が無ければ起こりえなかったものだろうし、「途上国にインフラ40兆ドル」なども一帯一路やロシア原油安売りに対抗せざるを得なかったのだろう。その中国に対してわざわざ「中国は偽の多国間主義である」などと声明で叫んでいるのも、多国間主義を投げ捨てたトランプの保護貿易、国境厳重閉鎖やパリ協定離脱を意識しているのが露骨すぎて噴飯なのである。ちなみに、豪、韓、インドを加えたG11というのも、対中戦略が露骨すぎて、噴飯。国連を無視してきたアメリカは多国間主義などすでに放棄しているはずだがというわけだ。国連採決ではもうすでに、アメリカはいつも中国に負けるのである。

 と言ってもすでにもう、アメリカのこれらの姿勢がそのまますんなり他国に受け入れられるわけはなく、ドイツはロシアの石油パイプライン引き込みを止めないのだし、フランス、イタリアも一帯一路同伴をひかえる素振りも無いのである。加えるにアメリカがまた、これまでから見れば信じられぬことを米国内でやりだすという。株式時価総額がドイツGDPをとっくに超えたというGAFAへの「規制法」に、ついに踏み切ろうというのだ。これはまー、世界の顰蹙・巨大ITに「15%税」などの動きに堪り兼ねて国内での規制もということなのだろう。

 こんな中ロ対策で大童の今回G11において、わが無能宰相が「オリンピックをよろしく」とだけにペコペコ頭を下げ回って溜飲を下げているその姿が笑える。「無能をサラしたコロナそっちのけ」『「2%目標放棄」など国民生活そっちのけ』のただ総選挙対策だけと笑われているのを知らぬはご本人だけ。去年春の「無理無理」学校閉鎖辺りと平行して政権がワクチン確保に走っていれば、こんな苦労はしないで済んだはずなのだが。

 さて、こんな折だからこそ、以下の旧エントリーを改めて再掲したい。

 

【 新自由主義経済は誤っていた!  文科系 2019年12月5日

 以下の旧稿は、12月1日「米経済学者達の反省が深刻」に対応して再掲するものです。経済学者も経済ジャーナリストも全米経営者団体でさえ今や、「グローバリゼーション・新自由主義経済は誤っていた」と言いだしたのはなぜか。アベノミクスの生みの親同然のポール・クルーグマンは、こう語っているのだが。
『アメリカの製造業を支えてきた中間層が経済・社会的な大変動に見舞われることに気付かなかった。中国との競争でアメリカの労働者が被る深刻な痛手を過小評価していた、というのだ』
 もっとも、米主流経済学者らや全米経営者団体がこう語り出さなくとも、何よりもこの歴史的事実こそ、グローバリゼーションが誤っていたとの証明。トランプ・アメリカが事もあろうに保護貿易に走ったことが。新自由主義経済の本家が形振り構わず保護貿易に走って、数々の貿易障壁を設けるとは! そもそもこんな姿は、グローバリゼーション競争で自国が負け始めてからその誤りを認めるという醜すぎる醜態でしかないのだ。アメリカ経済は、中国に負けつづけるのか!

 NHK・BSが、こんな番組!  文科系 2018年01月04日 | 書評・番組・映画・演劇・美術展・講演など

 3日の21~23時、こういう題名の放送があった。
『闇の力が目覚める時・・・成長無き時代を生きる世界の知性のシナリオ』


 この放送の結論は題名の通りで、資本主義自身が内部にこれを破壊する闇の力を育て、やがて自壊するだろうというもの。このことを、マルクスの思想でもあり、その後の経済学者シュンペーター、ケインズの言葉にもこうある通りにと再三にわたり紹介するという形で、解説していくというもの。
 もちろんこの結論を主として、現代世界の経済学者、哲学者らに、金融グローバリゼーションが現代の闇の力をここまで育ててきて、「この今の闇の力の行く末は、(新たな)創造か死か」という形でも語らせていく。
 最もよく出てきたのがフランスのダニエル・コーエン、そしてイギリスのスキディルスキー、ドイツのウルリケ・ヘルマン、さらにはアメリカのジョセフ・スティグリッツやチェコの二人に、加えてニューヨークのあるトレーダーまでが、それぞれ何度も何度も出てきたものだ。

 聞き終わって僕はこんなことを感じていた。僕がここに12年間展開してきた金融グローバリゼーション世界支配の現状批判論やその行く末論と、ほとんど同内容であると。この同内容は、言ってみれば必然なのだ。この番組の骨子となる歴史的経済理論が、マルクス、シュンペーター、ケインズらのそれであってみれば。なによりも、闇の力とその目覚めに関わる社会現象として、これらのことが上げられていたこと。

 金融によって雇用が奪われて給料、購買力がどんどん下がっていること。ポピュリズムというのは政治的(危機)用語であって、危機はむしろグローバリゼーションが作った格差、不平等にあること。1980年のちょっと前のレーガニズムとサッチャリズム政治以降、金融資本主義が「悪徳の栄え」のように育って来たこと。これを擁護すべくレーガンが唱えた「トリクルダウン」も、嘘だったこと。銀行と政府とが結託して全てを動かす「富が固定した」社会になったということ。
 ちなみに、最後の方でケインズのこういう予言をスキディルスキーに語らせていた所までが、ここで僕が述べてきたことと同じだった。いやそれ以上にキツイ表現とも言える。
「長期的に見れば、1930年代にケインズが予言したとおりに、週20~25時間労働にならざるをえないだろう」


 感想の最後である。金融資本主義の株売買を通じた世界企業支配の問題点(今の日本では、東芝を見よう)について今のような隠蔽状態が続けられるわけが無く、やがては世界のマスコミが実態調査報道、報告などを次々と始めるに違いない。この支配の結果が、世界に溢れる失業者や不安定労働者の大群、大変な格差の問題などであってみれば、そうならないはずがないのである。NHK・BSのこの特集番組のような報道が、近く世界にどんどん増えていくはずだ。この点で同番組では、アメリカのお膝元、米大陸の大国ブラジルにおける世界有数の酷い格差が、大きく強調されていた。凄まじい格差とは、大金持ちも居るということであって、それと対照をなす超大規模なブラジルのあの貧民地域の酷さを思い浮かべられたい。

 その上で残る最後の問題、決戦の場は、その時にアメリカの国連「実質支配」もしくは「国連無視」が今のように持続できるかどうかだと、愚考していた。金融グローバリゼーションは各国では規制できないからである。むしろ、各国でこれを規制できないからこそ、世界金融による世界企業支配がここまで進んできたのではなかったか。GAFAの時価総額がドイツのGDPを超えるだとか、まだ製造車の数も知れているテスラの時価総額がトヨタの何倍かだとか。どこにもまともな投資先が無い大金がバブルに集まって支え合っているだけの世界主流経済! 国連でこの本格的規制論議が始まって、米英などがその金融専横を諦めてこれに従うしか、世界諸国民が普通に職業を確保していく道はないのだと思う。

 ちなみに、僕には、現在のアメリカ・トランプ体制は、こんな専横を世界に通してきた米国政治勢力による最後の抵抗のようにも見えたものである。

 このBS2時間番組は、普通なら再放送があるはずだ。ここの常連読者200名ほどの方々には、是非ご覧になることをお勧めしたい。ただし、どこかから待ったが掛かって、再放送が無くなるかも知れないなどとも、愚考していたものだ。
コメント (5) 』


 書き終わって今思う。アメリカの本音は、理論ではなく、むしろ、自然成長的経済実力で敗れたところから出てきたのだろうと。少々前までは、米金融でもって中国株式を買い占めることができるから、米金融の世界支配は可能と振る舞ってきた。どうやらこれが無理と認識したらしい。でも、キッシンジャーやネオコンのような政治屋は決して諦めないだろう。そこに現世界の明日、米中衝突という非常な難しさがあるのだ。】

コメント (5)
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