本日の新聞に、小さな記事だが、米外交の身勝手、悪辣を余すところなく示す国連総会決議事例が載っている。中日新聞によるその見出しは「対キューバ制裁解除要請を決議 国連総会」というもの。書き出しはこうなっている。
『国連総会は23日、米国によるキューバへの経済制裁を解除するよう求める決議案を賛成多数で採択した。同様の決議の採択は29回連続。
賛成は日本を含む184か国、反対は米国とイスラエルの2か国だった』
これに続く内容を要約すれば、こうなる。同じ米のキューバ制裁解除につき前回の決議から反対がブラジルなど3か国抜けて、棄権に回っている。一方、アメリカのこの決議への態度も、こう変遷してきたとあった。
2015年キューバと国交回復したオバマは2016年に、棄権。トランプになって反対にまわって、バイデンはトランプのこの姿勢を引き継いでいる、と。その反対理由は、このようなものだと言う。
『制裁はキューバの民主主義や人権尊重を促進するための手段だ』
総会決議には法的拘束力はなく、米制裁解除には米議会の承認がいることから、米制裁はまだ続いていくのである。この手の国連における制裁問題論議でいつも思うことは、これ。これはアメリカによる一種の革命輸出政策である。「独裁国」に生まれた国民は、このコロナ下で死にかけていても、国際社会から一切顧みられないのが当然であるとしているような。新自由主義経済の波に乗って自由な貿易の恩恵を受けてきた米国が、こういう所では極端に政略的に動く。民主主義の根幹である人道を無視した身勝手なだけの蛮行というそしりを免れぬはずだ。