不適切な表現に該当する恐れがある内容を一部非表示にしています

九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

熟議「国民投票法案」を望む。  小林正弥

2007年03月22日 09時09分00秒 | Weblog
  ■不公正な改定促進手続き法案――熟議国民投票法案を

 安倍内閣の実態は国民に知られて支持率の低下が止まらず不支持率が支持率を上回るに及んで、安倍首相は開き直り、当初のソフトムードを捨てて、居丈高に国民投票手続き法案を強行しようとしつつある。この法案は、もちろん、憲法改定への布石であり、憲法改定自体の前哨戦と言うことができよう。

 しかし、その内容たるや、不公正極まりない。国民投票法案制定の是非自体については、現行憲法を擁護する論者の間でも賛否両論がある。一方で、憲法改定の布石という政治的文脈に基づく反対論があるが、他方では「改憲の手続きを定めるのは主権者の意思行使の手続き制定だから論理的には正当である」という意見も存在する。しかし、共和主義的な人民主権の観点から後者の論理に立っても、現在の国民投票手続き法案は、主権者の理性的な意思行使を妨げて改憲を強行しようとする政治的法案であるが故に、反対せざるを得ないのである。

 例えば、自民党案(以下、昨年12月の修正案による)では周知期間が発議から「60日以降180日以内」しかなく、僅か3ヶ月で国民投票が行われることが可能である。さらに、最低投票率や有効投票率が定められていないから、周知期間が短く国民が十分に考える時間を持たなかったために投票に行く人が少なくとも改定は成立してしまう。さらに、投票総数を「賛成票+反対票」と規定しているから、白票など無効票が投票総数に入らず、“改定には投票総数の過半数が必要”という規定は実際には有効投票の過半数という意味となってしまい、改定派に極めて有利な規定である。このような「投票総数」の規定は、通常の用法に反しており、詐欺同然である。

 そもそもは、硬性憲法の趣旨から言えば、「改憲には有権者数の過半数50%)が必要」という規定でも不思議ではない。これに対し、例えば、周知期間の短さなどのために国民投票の重要性が浸透せず、通常の選挙の場合と同じように、60%が投票し、6%が無効投票だったとしよう。そうすると、僅か27%の賛成で改憲が成立してしまうのである。

 また、周知期間の間、公務員や教育者に対して地位を利用する運動を(訓示規定ながら)禁止し、(組合などを含めて)組織にする多数の投票者に対する買収と利害誘導を禁止する。前者は訓示規定ながら服務規程違反による懲戒処分の危険を孕むし、後者は、構成要件が曖昧だから利害誘導という名目で罰則適用が可能になりかねず、現行憲法を擁護すると思われるグループの運動に対して萎縮効果を持つ。

 他方で、政党などの無料意見放送・意見広告を定める広報協議会は、各会派の所属議員数の比率によって構成されるから、発議がなされている段階では、3分の以上が改憲派で占められる。そうすると、修正案では賛成派・反対派に同等の無料放送・広告を認めることになったものの、なお改憲派に有利な扱いがなされる危険がある。また、例えば法曹団体など政党以外の団体には無料放送・無料広告が認められず、メディアを通じた有料広告は自由だから、資金的に圧倒的に豊富な資本家団体や保守的団体に有利であり、改憲派は徹底した改憲キャンペーンをメディアによって自由に行うことができる。

 そして、発議の内容自体も、「内容において関連する事項ごとに区分して発議」することになっているが、規定が漠然としていて、別々に投票すべきものが一括される危険性がなお残る。個別に投票すると整合性を欠く場合を除き、条文ごと、項目ごとに投票するように明確に定めるべきである。

 以上を要するに、この手続き法案は、発議後は国民に憲法改定について熟考する機会を与えずに、しかも憲法改定反対派を罰則などで萎縮させて反対運動を行い難くさせ、改定派には有利な形で無料放送・無料広告を行わせる危険性が残り、さらに豊富な資金力によって有料キャンペーンを自由に行うことを可能にする。そして、投票者が少なくとも改定を可能にし、有権者の過半数はおろか、実際の投票総数の過半数の賛成がなくとも、有効投票の過半数があれば改定を成立させる。これが、改定を容易にするための不公正な手続き法案でなくて何であろうか。

 憲法改定は、主権者たる国民にとって最も重要な主権行使の機会であり、従て、もっとも徹底した十分な理性的熟議が保証されなければならない。しかるに、この法案では、周知期間が短いから、理性的議論は行われず、しかも無料・有料双方の手段でメディアによる改定促進キャンペーンを大々的に行うことを可能にするら、非理性的かつ扇動的な手法で改定を強引に実現することを可能にする。

 もし国民投票法案を実現するならば、現行案とは逆に、硬性憲法にふさわしく周知期間を1年以上とって、国民が十分に徹底した理性的議論を行うことを可能にする必要があろう。いわば「熟議国民投票」を可能にする公正な「熟議国民投票案」を作る必要があるのである。現在のような不公正な改憲促進国民投票法案を作ろうとしているところに、安倍政権の危険な非理性的性格が如実に現れている。

 このような法案が成立すれば、肝心の国民投票という決戦の時の前に、その戦いは改定派に著しく有利になってしまう。いわば、大阪の陣のように、最終決戦の前に城の内堀までも埋められてしまうことになる。改定派は家康のように腹黒く謀略に長けているので、人々はそれを見抜いてその企みを阻止することが重要である。

  

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

石原倒せ・・かって連立ち上がりまーす。    おんな組

2007年03月22日 08時57分39秒 | Weblog
連・決意文
江戸っ子と都民は立ち上がる!
もう黙っちゃいらんねえ!
お江戸に戦車は走らせねえ
弱いものいじめは許さねえ
やっぱり男は伊達だろう!
軍団野暮だね連がいい
副知事は町内の六ちゃんがいいんじゃない?
日本中が見ているぜ、いや世界中が見ているぜ

連絡先 おんな組いのち
  070-6637-6791
花林舎
 03-3406-0701

浅野史郎 事務所 TEL 03-5325-1460 FAX 03-5325-1461
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

共産党都知事候補者吉田氏の公約③  ネット虫

2007年03月22日 02時25分09秒 | Weblog
「くらしやすい東京をつくる6つの重点政策」

1.“黙っていられない”都政の私物化とムダづかい、ガラスばりの都政を実現し、税金の使い方を都民本位に切りかえます

(1)都政の私物化・トップダウン政治を改め、ガラスばりの都政を実現します

 都知事の海外出張や交際費のあり方を全面的に見直し、知事の公務日誌をはじめ、交際費の支出の全容をホームページで公開します。

 「お出かけ知事室」や「街かど相談会」を開き、都民の声を都政に反映するようにします。

 石原知事がトップダウンですすめたワンダーサイト事業の乱脈運営をただし、若手芸術家育成や都民の芸術活動を支援する事業を再構築します。

(2)税金の使い方を抜本的に転換し、都民のための行財政改革をすすめます

 大型開発や臨海副都心関連第三セクターなどに抜本的にメスを入れ、オリンピックの積立金や税収の増加分の使い方を転換し、くらし・福祉・環境・まちづくりなど都民本位の予算編成を大胆にすすめます。

 新銀行東京は、金融庁の検査をうけ、都の1000億円の出資金と預金者の保護を前提に処理をすすめます。

 知事の退職金は4分の1に引き下げます。

 公共サービスのはたすべき役割を明確にし、なんでも民営化するという立場をとりません。都の責任をはたし、都民サービスの改善をはかることを目的として、都民のための、行財政改革をすすめます。

 史上最高の利益を上げている大企業の法人事業税の超過課税を制限税率まで引き上げるなど大企業への適正な課税を検討します。

2.負担増と格差社会に苦しむ都民のくらしを応援し、安心して働きくらせる東京をつくります

 東京の貧富の格差はとりわけ深刻です。ところが、石原知事はフリーターやニートを「ごくつぶし」「甘え」と言い放つなど、格差を正当化してきました。

 都民のくらしをまもることこそ、都知事の役割だとの立場から、国にたいし、貧富の格差をひろげる間違った政策をやめて、ワーキングプアの解消をはじめ庶民のくらしをまもるよう強く働きかけていきます。格差社会が広がるなか、だれもが東京において健康で文化的な生活を営める都独自の基準(「安心して生活できる東京基準」)をつくり、国にも責任を果たさせ、この基準を達成するための総合的な支援制度を確立します。

(1)医療・介護・くらしへの応援で、安心できる老後を保障します

◇石原知事がこわした福祉をたてなおし、新たな福祉の第一歩を踏み出します

 都独自の新たな医療費助成制度を創設します。都として、65歳?69歳の高齢者の医療費自己負担を2割におさえ(1割助成)、老人保健法改悪で来年4月から実施される予定の70歳以上の高齢者の医療費値上げを中止するよう政府に働きかけ、実施された場合は負担増にならないよう助成します。

 誰もが、必要な介護を受けられることをめざし、介護保険料、利用料の減額免除の制度と寝たきり高齢者のための新たな福祉手当を月1万円からスタートします。

 住民税課税者は1000円から一気に20510円にはねあがるシルバーパス制度は、3000円、5000円パスを導入するなど所得に応じた負担制度とし、多摩都市モノレールなども対象にします。

◇介護施設をととのえ、孤独死をなくします

 介護予防のとりくみをつよめるとともに、要支援や軽度要介護高齢者の福祉用具、家事援助、通所介助などへの支援を充実します。4万人をこえる待機者解消をめざし、緊急計画をつくって特別養護老人ホームや老人保健施設などの整備を3倍化します。グループホームの家賃助成をおこないます。孤独死ゼロをめざし、区市町村や住民と協力し、「ひとりぐらし見守りネットワーク」づくりを支援します。

(2)生活保護の改善・拡充をはかります

 憲法25条にもとづく「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保障するため、国にたいし老齢者加算の復活、母子加算打ち切りの中止など生活保護の水準の拡充をつよく求めます。都独自の法外援護を拡充します。

(3)がん・難病対策など医療対策の充実と都立病院の強化をめざします

 緩和ケアなどのがん対策、脳卒中専用病床の整備、リハビリテーションの強化をすすめます。大気汚染による健康被害については、メーカー、国とともに、被害を受けたすべての人を対象に健康被害救済制度をつくります。ウイルス肝炎に対する医療費助成、難病医療費助成を拡充します。都立病院や福祉施設の統廃合をやめ、都立看護学校を拡充し、看護師の確保をめざします。

(4)障害者のいのちとくらしを守ります

 障害者自立支援法による利用者の原則1割応益負担の中止を政府に働きかけます。国の制度改正まで都として負担増をおさえ、住民税非課税の人の負担はなくします。障害者施設への都の助成を拡充し、サービス水準が低下しないようにします。精神障害者も障害者福祉手当の対象にするなど、身体障害者・知的障害者との福祉水準の格差是正をすすめます。

(5)安心して子育てできる環境をつくります

 女性が一生に生む子どもの数をあらわす合計特殊出生率は、1.00と全国の1.26を大きく下まわり、東京の少子化問題はとりわけ深刻です。しかし、東京の子育て条件は石原知事のもとでは改善されないばかりか、廃止された母子保健院につづき都立小児病院3院(清瀬、八王子、梅が丘)の廃止計画がすすみ、私立保育園への補助が削られ、経験豊富なベテラン保育士の削減など保育の質の低下がすすんでいます。石原知事は認可保育所には「金がかかる」と言って背をむけているのです。

 次世代育成支援計画は「子どもの権利条約」を実行する立場で抜本的に見直し、子どもの医療費助成の拡充をはじめ東京を「子育て安心都市」にしていきます。

◇中学生までの子どもの医療費を無料にします

 「安心して子どもを医者にかからせたい」これは都民共通の願いです。そのために、中学3年生までのすべての子どもの医療費を所得制限なしで無料化します。

◇出産費用・妊産婦検診を無料にし、妊産婦医療費無料化をスタートさせます

◇都立小児病院の廃止を中止し、安心できる医療体制をめざします

 都立小児病院の廃止計画を撤回します。地域ごとに24時間、365日対応できる小児救急病院を確保します。不足している小児科・産科などの医師の育成・確保対策を強化します。妊娠後期から新生児早期まで総合的な医療体制を備えた周産期医療センターを増やし、産科医療や助産師外来への支援をおこないます。

◇保育の充実、育児休業の保障の改善をはかります

 認可保育園への補助を大幅に引き上げて、新増設と保育水準の向上、延長保育や産休明け保育を充実する緊急5ヵ年計画をつくり、待機児ゼロをめざします。私立幼稚園の保護者負担を大幅に引き下げます。認定こども園は、認可保育所と認可幼稚園の基準を満たした基準にします。

 育児・看護休業や妊娠・出産による不利益な取り扱いの禁止などについて、都の基準をつくり、企業に遵守を働きかけます。中小企業には必要な助成をおこないます。気軽に子育て相談ができる窓口をたくさんつくります。

◇学童保育・児童館を増やし、子どもの居場所づくりをすすめます

◇児童相談所を充実させるなど、親が相談に駆け込める場をふやします

(6)雇用・賃金などの条件について、都独自の「東京ルール」をつくり、働く人の仕事・くらしを守り、ワーキングプアをなくします

 ワーキングプアの原因になっている時給719円という低すぎる東京の最低賃金を大幅に引き上げ、国と巨額の利益を上げている大企業にリストラ規制などを強力に働きかけます。残業代をゼロにし、労働者を過労死・過労自殺に追いこむ「ホワイトカラー・エグゼンプション」などの労働法制の規制緩和に反対します。

◇雇用対策室をつくり、労政事務所を復活させるなど、都の労働行政を強化します

 最低賃金の引き上げ、不当な解雇、異動などの規制、非正規雇用に対する差別や男女差別の是正を企業に働きかけます。都の公共事業の一部が「安かろう、悪かろう」で安全性や品質の悪化、劣悪な労働条件の原因になっています。すでに他県で実施されている派遣労働、偽装請負などの実態調査をおこない、是正にとりくみます。異常な低入札を改善し、下請け、労働者の適正な単価、賃金などを保障するために公契約条例をつくります。

◇若者の雇用と生活を応援する緊急対策をおこないます

 教員、消防隊員、看護師をはじめ都職員を積極的に採用し、とりわけ若者雇用の拡大に努めます。若者を採用した中小企業に助成をおこないます。都が採用するアルバイト、派遣職員などの賃金、待遇を大幅に引き上げます。若者に「ポケット労働法」を無料で普及します。若者への家賃助成や都営住宅建設をおこないます。

◇ワーキングプアや無(低)年金者など生活保護基準以下の生活を余儀なくされている人の生活を応援します

 ワーキングプアなど、生活保護基準以下の収入を余儀なくされている人の中で、とくに困難な人に、月1万円の「緊急生活応援手当」を支給します。

(7)労働、福祉、教育などすべての施策を男女平等の視点で見直し、女性と男性の平等を保障するために全力をつくします

 女性副知事の実現をはじめ、都の行政委員会、審議会への女性の参加機会を増やし、意思決定への参加を積極的にすすめます。

(8)公共料金の引き下げにつとめます

 都立の大学、高専、高校などの授業料を2割程度引き下げ、上下水道料金の引き下げや減免制度の拡充など公共料金の引き下げにとりくみます。看護学校の授業料を大幅に引き下げます。

3.子どもたちのすこやかな成長をはぐくむ教育に改革します

 石原知事のもとで、東京の教育は、教育基本法の改悪を先取りして大きくゆがめられています。30人学級の実現など全国でおこなわれている教育条件整備を拒否するだけではなく、学校と教育の格差をひろげる競争主義教育をあおり、夜間定時制高校をはじめ都立高校を減らすなど教育条件を悪化させています。その一方、やってはならない「日の丸・君が代」の強制など学校への干渉をすすめています。

(1)どの子にもゆきとどいた豊かな教育条件の整備を緊急にすすめます

◇緊急に30人学級を実施し、子どもの豊かな成長と安全をまもります

 すべての子どもの基礎学力を保障するためにも、いじめ自殺や不登校をなくすためにも、30人学級を緊急に実施します。スクールカウンセラーのすべての学校への配置・充実など、「心のケア」対策をすすめます。校舎の耐震化を支援します。

◇「勝ち組」「負け組」にふるいわける競争主義教育をあらためます

 学校間格差を広げる「一斉学力テスト」と、その結果の公表は中止します。子どもの心を傷つける習熟度別授業の強制はやめさせます。

◇夜間定時制高校をはじめ都立高校の統廃合をやめ、希望するすべての子どもの高校全員入学をめざします

 学校間格差をなくし、子どもたちが身近な地域で学べることができるようにします。

◇障害児学校を増設し、教室不足の解消やスクールバスの増発などにとりくむとともに、小中学校の障害児教育への支援を拡充します

◇「日の丸・君が代」の強制や学校現場への干渉をきっぱりと改め、憲法にもとづいた教育行政を推進します

 「日の丸・君が代」の強制を「違憲・違法」と断じた東京地裁判決を受け入れ、控訴を取り下げます。子ども中心の入学式・卒業式を大切にします。命令と管理至上主義の教育をあらため、子どもを中心にした教職員・保護者・住民、の共同・協力と自主的な学校づくりを支援します。学校の教育と運営に介入している都立学校経営支援センターは、廃止します。

◇私学助成を拡充します

◇首都大学東京については、学生・教職員・都民の声をいかして、学問の自由と大学の自治を守り、教育・研究条件の改善・充実をはかります

(2)文化・スポーツ・社会教育行政を充実させます

◇スポーツ・文化予算を大幅に増やします

 イベント中心のスポーツ行政ではなく、公立スポーツ施設の全国最低の設置率を脱却するため、都民が気軽に使える低料金のスポーツ施設を増やします。老朽化した施設を建て替えるため市町村を支援します。
多様な文化・芸術活動への支援を強化します。

◇都立図書館の拡充をはかります

 蔵書の廃棄処分を中止し、1タイトル2点購入にもどします。区市町村の図書館への協力貸し出しをもとにもどし、連携と支援を強めます。

4.中小企業を応援し、地域経済の活性化をすすめます

 石原知事がすすめる「世界都市東京」構想のもとで、東京の産業構造は、金融、サービスなどの集積がつよまる一方、製造業や地域小売業などが衰退するという2極構造化がすすんでいます。しかし、石原知事のもとで、中小企業予算は4割も減らされ、ほとんどの中小企業対策は、大幅に後退させられてきました。私は、工業、商業、建設業など中小企業対策をつよめ、農林漁業などとともに、総合的な経済発展の道をめざします。

(1)中小企業が地域経済の主役にふさわしい役割を発揮するよう支援をつよめます

◇中小企業振興条例をつくり、緊急実態調査をおこない、分野別、業種別の特別支援をおこないます

◇制度融資を抜本的に改善・拡充します

 制度融資は、融資限度額を引き上げるとともに、使いやすいメニューに拡充し、1.5%程度の低利におさえます。借り換え融資は、民間からの債務もふくめ対象とするなど拡充します。

◇モノづくりへの支援を拡充します

 機械金属、印刷・製本、アパレルなどの集積した工業地域を地場産業と位置づけ、活性化事業をすすめます。中小企業や商店街・個人経営者の相談にのれる体制と機能を強化するために、商工指導所を再開します。産業技術研究センターは直営とし、拡充をはかります。

◇商店街を地域コミュニティの核として活性化させます

 地域商店街は、大型店や駅中店などの出店ラッシュ、消費税課税の強化などに苦しんでおり、大型店・チェーン店などの規制をつよめ、商店(会)への支援を拡充します。ショッピングセンターや量販店、大型店、駅中店の身勝手な出店・閉店をおさえ、商店街に協力させる「大型店規制東京ルール」をつくります。

 「新・元気出せ!商店街事業」を拡充するとともに、区市町村が策定した振興プランを支援するしくみをつくり、空き店舗の活用、駐車場設置、共同宅配などへの助成、支援をつよめます。

 「輝け個店事業」を復活・拡充し、店のレベルアップや業種転換を支援します。

 新規事業のたちあげなどへの創業支援をつよめます。

◇建設業など地元業者への仕事を増やします

 公共事業を福祉施設の建設をはじめ都営住宅や公園、歩道整備など生活密着型に転換します。住宅の耐震工事助成や1戸10万円のバリアフリー化助成などで町場の仕事をふやします。東京都の公共事業への中小企業の入札の参加を拡充し、下請けや建設労働者へのコスト、賃金の不当な切り下げをおさえます。

(2)農業を基幹産業の一つとして位置づけ、都市農業の振興、林業・漁業への支援をつよめます

5.緑と環境を優先し、災害につよい東京へ、都市政策を転換します

 石原知事の都市政策は、超高層ビルを乱立させ高速道路網を幾重にもはりめぐらせる、超過密、経済効率至上の東京づくりです。このため、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の発生量は減るどころか、ふえつづける一方です。また、住宅やマンションの耐震・不燃化、総合治水対策など防災対策はきわめて不十分で取り残され、なおざりにされています。

 東京とりわけ都心への過度の集中をおさえ、環境に優しく、都民が安全・快適にくらせる街づくりを最優先した都市づくりにかじを切りかえます。

(1)オリンピックの名による大型開発計画を抜本的に見直します

 都民のくらしがたいへんなときに、莫大な税金を使うような石原知事のすすめるオリンピック計画はやめるべきです。それは、競技施設の整備などに1兆円以上の資金がかかるだけでなく、オリンピックをテコにして、首都圏中央連絡道、外郭環状道路、首都高速中央環状品川線のほか、羽田?築地間のトンネル道路や臨海部の広域幹線道路などの7兆円を超える基盤整備事業を、一気に完成しようという計画だからです。また、地震にもっとも弱いと言われる臨海部地域に競技施設を集中させることは、防災上きわめて危険であり、無謀だからです。

◇2016年のオリンピック招致計画は白紙にもどし、スポーツ予算を拡充します

 石原知事のオリンピック招致計画を白紙にもどし、都民の参加で再検討します。オリンピックのために毎年積み立てるという積立金はとりやめ、都民のくらし応援、都民が気軽につかえるスポーツ施設の充実のために使います

(2)水と緑、大気などの自然環境を改善し、環境優先の都市づくりをめざします

◇緑の都市づくり、オフィスビルや自動車走行量の規制と誘導で、地球温暖化、ヒートアイランド現象をおさえます

 ヒートアイランド現象や集中豪雨対策、地球温暖化対策はまったなしです。ところが、 石原知事は、ディーゼル規制にとりくんだものの、超高層ビルや幹線道路建設の推進でヒートアイランド現象を激化させ、地球温暖化の原因である二酸化炭素は減らすどころか24%も増やすありさまです。

 都市の成長を管理する方向に切りかえ、二酸化炭素をおしあげているオフィスビルや自動車などの排出削減計画をつくり、強力にすすめます。再生可能エネルギーの活用を促進します。立ち遅れている都市計画公園の整備、市街地の緑地保全と植栽の推進、里山の保全などを抜本的につよめます。

◇三環状道路などの建設を抜本的に見直します

 三環状道路を凍結し抜本的に再検討するとともに、道路の右折レーン、鉄道との立体化、公共交通と水上交通の整備などを優先させた交通政策をすすめます。町なみや景観に配慮した修復型まちづくりを重視するとともに、緑の宝庫である高尾山の自然を守ります。

◇「都民の台所」といわれる築地市場を、環境基準をはるかに超える有害物質で汚染されている豊洲地域へ移転させようとしている計画は見直します

(3)都市型災害から、都民のいのちと財産を守る緊急総合対策をすすめます

◇地震被害を最小限にするという予防の立場で、東京都の震災対策を抜本的に転換します

 東京直下型地震の発生の確率は、10年以内に30%、30年以内に70%と予想されています。震災対策はまったなしの緊急対策が求められています。

 耐震診断をおこない、毎年1万戸の木造住宅耐震化をすすめます(上限1戸75万円助成)。マンションの耐震助成をすすめ、低利の融資をおこないます。長周期地震動対策、大規模複合施設、地下鉄、地下街、臨海部埋め立て地対策、帰宅困難者対策などを確立します。

◇防災に不可欠な消防力を強化します

 ハイパーレスキュー隊の増強、消防団の施設や処遇の改善など消防体制を強化します。雨水浸透対策、河川改修の抜本的強化など、集中豪雨にそなえます。

(4)都営住宅の増設など、快適で住みよい住環境をととのえます

 都営住宅に50倍以上の応募が殺到しているのに、石原都政は都営住宅の新規建設は8年間ゼロでした。石原知事の住宅政策は、住宅供給における公共の役割を否定するところまで踏みこんでいるのです。

 都営住宅を1年に1000戸増やすことからスタートし、大幅な新規建設をすすめます。高齢者、障害者にとどまらず青年や若年ファミリー向けの都営住宅を計画的にふやします。都営住宅の家族への使用承継制度を存続し、家賃の減免制度を拡充します。都民住宅・公社住宅の市場家賃制度をやめ、高い家賃を引き下げます。民間賃貸住宅の高齢者、青年、若年ファミリーへの家賃助成制度をつくります。

(5)多摩・島しょ地域の格差解消をすすめます

 23区と多摩・島しょ地域の税収には大きな格差があり、それが子どもの医療費助成や学校の耐震対策など都民サービス水準の格差につながっています。ところが、石原知事は「格差はない」といいはり、手を打とうとしません。

 都民がどこでも一定水準の文化的生活をおくれるよう振興計画をつくり、財政力の弱い多摩・島しょ地域への援助をつよめ、福祉や医療、くらし、教育、消防、交通網などの23区との格差を解消します。多摩地域の文化・スポーツ施設の整備を支援します。多摩・島しょ地域の観光対策と産業を応援し、三宅島の噴火災害の復興支援を強化します。

6.憲法を守り、基地のない、平和な都市東京をめざします

(1)東京都「憲法都市宣言」「非核・平和東京都宣言」をおこないます

 石原知事の「私はあの憲法認めません」「命がけで憲法を破る」などという発言は、それだけで知事の資格がないと言わなければなりません。憲法改悪に断固反対し、憲法を守り都政にいかします。

 「憲法都市宣言」「非核・平和東京都宣言」をおこないます。建設計画が中止された「東京都平和祈念館」(仮称)はすみやかに建設をすすめ、都民がとりくむ平和事業への支援をおこないます。

(2)米軍基地の強化や永久化に反対し、早期撤去を求めます

 戦後60年以上たつのに、3500万人という密集した人口をかかえる首都圏に、いまなお横田、横須賀などの米軍基地があることは異常です。韓国でもドイツでも、世界の流れは米軍基地の縮小・撤去です。私は、横田など米軍基地の早期撤去に全力をあげます。また、政府の米軍と自衛隊による共用化であれ、石原知事の米軍と自衛隊、民間機の共用化であれ、基地機能の強化・永久化、爆音被害のさらなる深刻化につながるいかなる計画にも反対します。

(3)アジアと世界から人々がつどい、にぎわう国際都市をめざします

 東京は36万人を超える外国人が登録され、都心3区の人口を超える人々が住んでいます。様々な国の人々がつどい、多様な文化が交流する都市をめざします

ご意見、ご感想、お問い合わせは吉田万三ホームページ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

共産党都知事候補者吉田氏の公約②   ネット虫

2007年03月22日 02時18分47秒 | Weblog
 いま、国政からは、憲法改悪をはじめ、庶民への増税と負担増、ただ働き残業の合法化をねらう労働法制改悪など、平和と民主主義、くらしをおびやかす危険な大波が押しよせてきています。こういうなかでたたかわれる今度の政治戦は、都民のくらしを守るうえでも、国の悪政を打ち破るうえでも重要な政治戦となっています。

 石原都政の8年間は、住民のくらしや福祉を守るという自治体の仕事をあとまわしにして、さまざまなゆがみを広げています。

 私は、憲法を都政にいかし、税金のムダづかいをやめて、くらし・福祉最優先の都政への転換こそ、大多数の都民の願いにかなうものだと確信しています。そのために、吉田万三の「都政改革プラン」―3つの転換と6つの重点公約―をかかげ、その実現のために全力をあげる決意です。

都民本位で元気な東京へ3つの転換

1.都政の私物化、税金のムダづかいを許さず、都民の声が生きる都政に転換します。

 都政の私物化、税金のムダづかいを許さず、都民の声を大事にする都政が必要です。

 石原知事の超豪華海外出張や税金を使った飲み食い、ワンダーサイトという都の文化事業を利用した知事の四男重用問題が明らかになり、「都政の私物化は許せない」という都民の批判の声がひろがっています。

 住民に奉仕すべき地方自治体の長が、自分と身内には税金を惜しげもなく使う一方、寝たきり高齢者のための福祉手当や盲導犬のえさ代補助など数十万円単位のわずかな予算も、ばっさり削って平然としている。私は、こういう石原知事には都民を代表する資格はないと思います。

 私は、都政の私物化と税金のムダづかいを一掃し、なによりも都民の声を大事にする都政をつくる決意です。

2.大型開発中心の都政から、くらし・福祉優先の都政に転換します。

税金の使い方は、くらし・福祉優先に使うべきです
 石原知事は、「何が贅沢(ぜいたく)かといえば、まず福祉」と公言し、この間、福祉関係費を450億円も減らしました(99年~05年度決算)。全国一の福祉の制度を次つぎ廃止・改悪し、「福祉後進都市」への道を歩みはじめました。中小企業予算は4割も削り、予算に占める比率は全国水準の半分に落ちこみました。こんなひどいことは都政史上初めてであり、全国でも石原知事だけです。「財政がきびしいから」というのが、切りすての理由でした。しかし、実際は、石原都政8年の都の税収は、見込みよりも3兆円以上も多かったのですから、福祉やくらしを切りすてる理由はなかったのです。

 石原知事は、福祉やくらしを切りすてる一方、大型開発を中心とした投資にはバブル前の2倍、毎年1兆円近いお金をつぎこんでいます。都財政の「負の遺産」といわれてきた臨海開発には、この間6兆4000億円もの都財政をつぎこんできました。さらにいま重大なことは、石原知事が唐突に持ち出してきたオリンピック招致の名で、大型開発をいっそう拡大しようとしていることです。10年後のオリンピック招致をテコに、高速道路や大会関連投資だけで8兆円規模の投資をおこなう、そのために毎年1000億円も積み立てるというのです。このため、来年度の都税収入は、5000億円も増収になるとされているのに、それを都民の福祉やくらしに使わず、もっぱらオリンピック基金などの巨額な積立と大型開発につぎこもうとしています。

 こんな税金の使い方は許せません。私は、伸びた税収の多くを都民のくらし応援に使います。東京都の財政規模は12兆円、インドの国家予算に匹敵するほど巨大なものです。税金の使い方を切りかえれば、都民の切実な要求の多くは実現できます。「世界都市」というなら、なによりも都民のくらしの質の高さで世界に誇れる東京をつくる、これが私の信念です。

3.憲法否定の石原都政から、憲法を都政の中心にすえる都政に転換します。

憲法をいかし、悪政からくらしを守る新しい政治を東京からつくりましょう
 「憲法を破る」と公言する石原知事の身勝手な考え方が都政に持ちこまれて8年。いま都政のあらゆる分野で矛盾が吹き出しています。

 石原知事は、国連憲章を否定し、女性や障害者、アジアの人々を蔑視する発言をくりかえし、都民の批判を受けました。石原知事が税金を1000億円もつぎこんではじめた「新銀行東京」は、中小企業に役に立たないばかりか、不良債権をかかえた都財政の新たな「負の遺産」になろうとしています。石原知事と都教育委員会による生徒と教師への「日の丸・君が代」の強制は、東京地裁からも「違憲・違法」という判決がくだされました。

 石原知事にこれ以上都政をゆだねたら、都政も都民生活も取り返しのつかないことになります。

 都議会では、この石原都政を自民、公明、民主、ネットなどが支える状態が続いてきました。いま求められているのは、都政の根本的な改革ではないでしょうか。

 私は、都民のみなさんと力をあわせて都政に憲法をいかし、国の悪政から都民のくらしと福祉を守るため、自治体本来の役割をとりもどすために全力をあげます。

 私は、強引で専制的なリーダーシップではなく、都民のくらしに目をむけ、都民の声をくみ上げる真のリーダーシップを発揮する決意です。ごいっしょに、都政を都民本位に転換させ、東京から新しい政治の流れを全国に広げ、悪政を打ち破ろうではありませんか。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

共産党吉田万三都知事候補の公約 ①  ネット虫

2007年03月22日 02時05分03秒 | Weblog
「都民本位で元気な東京へ3つの転換」

1.都政の私物化、税金のムダづかいを許さず、都民の声が生きる都政に転換します。
2.大型開発中心の都政から、くらし・福祉優先の都政に転換します。
3.憲法否定の石原都政から、憲法を都政の中心にすえる都政に転換します。

(写真をクリックすると大きくなります)

「くらしやすい東京をつくる6つの重点政策」

1.“黙っていられない”都政の私物化とムダづかい、ガラスばりの都政を実現し、税金の使い方を都民本位に切りかえます
(1)都政の私物化・トップダウン政治を改め、ガラスばりの都政を実現します

(2)税金の使い方を抜本的に転換し、都民のための行財政改革をすすめます

2.負担増と格差社会に苦しむ都民のくらしを応援し、安心して働きくらせる東京をつくります
(1)医療・介護・くらしへの応援で、安心できる老後を保障します

◇石原知事がこわした福祉をたてなおし、新たな福祉の第一歩を踏み出します
◇介護施設をととのえ、孤独死をなくします

(2)生活保護の改善・拡充をはかります

(3)がん・難病対策など医療対策の充実と都立病院の強化をめざします

(4)障害者のいのちとくらしをまもります

(5)安心して子育てできる環境をつくります

◇中学生までの子どもの医療費を無料にします
◇出産費用・妊産婦検診を無料にし、妊産婦医療費無料化をスタートさせます
◇都立小児病院の廃止を中止し、安心できる医療体制をめざします
◇保育の充実、育児休業の保障の改善をはかります
◇学童保育・児童館を増やし、子どもの居場所づくりをすすめます
◇児童相談所を充実させるなど、親が相談に駆け込める場を増やします

(6)雇用・賃金などの条件について、都独自の「東京ルール」をつくり、働く人の仕事・くらしを守り、ワーキングプアをなくします

◇雇用対策室をつくり、労政事務所を復活させるなど、都の労働行政を強化します
◇若者の雇用と生活を応援する緊急対策をおこないます
◇ワーキングプアや無(低)年金者など生活保護基準以下の生活を余儀なくされている人の生活を応援します

(7)労働、福祉、教育などすべての施策を男女平等の視点で見直し、女性と男性の平等を保障するために全力をつくします

(8)公共料金の引き下げにつとめます

3.子どもたちのすこやかな成長をはぐくむ教育に改革します
(1)どの子にもゆきとどいた豊かな教育条件の整備を緊急にすすめます

◇緊急に30人学級を実施し、子どもの豊かな成長と安全を守ります
◇「勝ち組」「負け組」にふるいわける競争主義教育をあらためます
◇夜間定時制高校をはじめ都立高校の統廃合をやめ、希望するすべての子どもの高校全員入学をめざします
◇障害児学校を増設し、教室不足の解消やスクールバスの増発などにとりくむとともに、小中学校の障害児教育への支援を拡充します
◇「日の丸・君が代」の強制や学校現場への干渉をきっぱりと改め、憲法にもとづいた教育行政を推進します
◇私学助成を拡充します
◇首都大学東京については、学生・教職員・都民の声をいかして、学問の自由と大学の自治を守り、教育・研究条件の改善・充実をはかります

(2)文化・スポーツ・社会教育行政を充実させます

◇スポーツ・文化予算を大幅に増やします
◇都立図書館の拡充をはかります

4.中小企業を応援し、地域経済の活性化をすすめます
(1)中小企業が地域経済の主役にふさわしい役割を発揮するよう支援をつよめます

◇中小企業振興条例をつくり、緊急実態調査をおこない、分野別、業種別の特別支援をおこないます
◇制度融資を抜本的に改善・拡充します
◇モノづくりへの支援を拡充します
◇商店街を地域コミュニティの核として活性化させます
◇建設業など地元業者への仕事を増やします

(2)農業を基幹産業の一つとして位置づけ、都市農業の振興、林業・漁業への支援をつよめます

5.緑と環境を優先し、災害につよい東京へ、都市政策を転換します
(1)オリンピックの名による大型開発計画を抜本的に見直します

◇2016年のオリンピック招致計画は白紙にもどし、スポーツ予算を拡充します

(2)水と緑、大気などの自然環境を改善し、環境優先の都市づくりをめざします

◇緑の都市づくり、オフィスビルや自動車走行量の規制と誘導で、地球温暖化、ヒートアイランド現象をおさえます
◇三環状道路などの建設を抜本的に見直します
◇「都民の台所」といわれる築地市場を、環境基準をはるかに超える有害物質で汚染されている豊洲地域へ移転させようとしている計画は見直します

(3)都市型災害から、都民のいのちと財産を守る緊急総合対策をすすめます

◇地震被害を最小限にするという予防の立場で、東京都の震災対策を抜本的に転換します
◇防災に不可欠な消防力を強化します

(4)都営住宅の増設など、快適で住みよい住環境をととのえます

(5)多摩・島しょ地域の格差解消をすすめます

6.憲法を守り、基地のない、平和な都市東京をめざします
(1)東京都「憲法都市宣言」「非核・平和東京都宣言」をおこないます

(2)米軍基地の強化や永久化に反対し、早期撤去を求めます

(3)アジアと世界から人々がつどい、にぎわう国際都市をめざします

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

石原氏の「宣戦布告」        ネット虫

2007年03月21日 00時57分57秒 | Weblog
石原氏の公約

①東京から日本を変える」をスローガンに掲げ、横田基地返還、新債券市場創設、大気汚染対策、教育改革など数々の独自政策を打ち出し、それは目に見える変化として現れている。

②首都移転に「NO」 肝心なことが何も議論されていない首都移転問題。石原は首都移転の白紙撤回を求めつつ、道路整備を始めとする都市再生を行い、東京圏の潜在力を掘り起こし、日本の再生を手がけている。

③財政再建推進プラン 財政再建団体への転落を阻止すべく、給与カット、定数削減などの内部努力を始め様々な再建計画を展開。同時に都庁職員にコスト意識と経営感覚を持たせることを狙いとしている。

④外形標準課税 これを機に独自課税を検討する自治体が全国で続出。国も形は違えど長年検討してきた外形標準課税の導入に踏み切ることになる。現在、最高裁で真の地方自治を賭けた戦いに挑み続けている。

⑤宿泊税 日本は世界第2位の観光赤字国である。石原は観光を産業として捉え、東京を世界の観光都市にするために改革に着手する。宿泊税はそのための財源に充てられている。

⑥東京再生都債 個人向けの都の債券。資金は公共交通網の整備に充てられる。背景にはペイオフ全面解禁を控え、預貯金以外の金融・投資に対する感覚をより身近なものにして欲しいという想いがある。

⑦空港問題解決策 近い将来、我が国の空港事情は深刻な事態を迎える。横田基地と羽田空港を有効的に活用することにより、問題の解決を図り、世界最大のメガロポリス東京圏を最大限機能させ国益を守る。

⑧東京しごとセンター  近年、雇用情勢の悪化が著しい。国のハローワークだけで この状況を改善するには限界がある。そこで石原は東京都独自の 職業紹介に着手。2004年(平成16年)7月中に「東京しごとセンター」 が開設される。

⑨日本外交協会の愚行 拉致問題が白日の下に晒され、日朝交渉が暗礁に乗り上げている最中に都民の税金で購入した備蓄米が北朝鮮へ。石原は即座に都の提供した食料を北朝鮮に送らないよう要請。

⑩認証保育所制度 女性が働きながら安心して子供を産める体制を整えることこが、少子化対策となり、ひいては国力の維持に繋がる。認証保育所の拡充と共に、国に保育行政の抜本的改革を迫っている。

⑪都庁展望台の有効活用 都庁展望台から見える夜景の最大限の活用を。イタリア料理の老舗「サバティーニ」が都庁45階にオープン。西東京の夜景を眼下に傾けるカクテルは格別。

⑫ラッピングシリーズ 都バスや都電・大江戸線などの車体にカラフルで巨大な広告が掲載可能となった。都の保有する財産を有効に活用し、それによって利益を生み出すこの政策を通して都庁職員に経営感覚を訴えたのだ。

⑬知事公館貸し付け 知事公館の民間への貸し付けは全国初の試み。都が未曾有の財政危機に際し、爪に灯ともすような努力が必要とされる中で、非常に合理的な試みである。

⑭ネーミング・ライツ スポーツ施設などの名称に、スポンサーの社名などを付与する権利のことで広告手法の一つ。公共スタジアムの経営基盤を安定させるために導入された。この後、他の自治体でも導入が相次ぐことになる。

⑮東京国際アニメフェア 日本のアニメ産業の市場規模は全世界の約65%を占めており、その内の約70%もの作品が東京で制作されている。しかし課題は多い。そこで石原は「日本のアニメーションを世界に発信し、商取引の場を」と世界でも類を見ないアニメの見本市を実施。

⑯ベンチャー企業・中小企業支援策 中小企業の資金繰り対策としてCLO(ローン担保証券)、CBO(社債担保証券)を 発行。実現不可能と揶揄された新債券市場の創設を果たす。 他にもオフィスの提供や投資組合の設立などの支援策を実施。

⑰若手芸術家支援策 若手芸術家に作品展示場所の無償提供を実施。「芸術家はのたれ死ね」と言って憚らない石原だが、これらの政策の背景には、芸術家に対する逆説的な優しさが見え隠れする。

⑱東京ロケーションボックス 東京を世界のシネマスクリーンに発信すべく、煩雑な撮影許可の行政手続きを簡略化を目的に設置された。相談者の第1号は映画『WASABI』の製作・脚本を担当したリュックベッソン。

⑲ヘブンアーティスト 大道芸人などに公共の場での活動を認める資格制度。公共の場でのパフォーマンスは、他ならぬ行政が禁じている。故に行政が認めなければ活動ができない。大道芸につき物の、投げ銭も勿論OKだ。

⑳ビッグレスキュー東京2000 陸海空3軍が参加した日本史上、最大規模の画期的な防災訓練。国民の財産と生命を守ることこそが政治の大眼目である。危機を想定し、最善の策が執れるようこれまでにない規模の訓練を実施した。

ビッグレスキュー東京2001 計7箇所で行われた訓練には米軍横田基地も含まれていた。敗戦以来50年の長きに渡り、日本の中の外国として君臨し続けている米軍基地に石原は颯爽と踏み込んだのである。


21警察官増員 石原は東京の治安回復には警察力の強化が不可欠と判断。国に警察官の増員を図る他、東京都の職員を警視庁に派遣するなど複合的な施策により、1000人規模の警察官がパトロール可能となった。

22東京都レンジャー 環境省は小笠原を世界遺産の候補地にあげておきながら、自然保護官(レンジャー)を一人も常駐させていない。故に自然破壊が進んでいる。そこで石原は東京都独自のレンジャー制度を発足。初年度は小笠原と奥多摩に3人ずつ配置される。

23東京発『環境革命』 大気汚染の元凶であるディーゼル車の条例による規制と、脱税の温床にもなっている不正軽油の撲滅作戦を実施。これを機に国は排ガス規制強化の2年前倒を決定。石油連盟など業界も都の要望を受け入れた。まさしく東京から日本を変えた象徴的事例である。

24カラス対策プロジェクト 激増するカラス。都民からの苦情も年々増加していた。異常に増殖したカラスの生態系を正常に戻すために、「ゴミ対策」と「カラスの捕獲」を中心とした取り組みが行われている。

25国立公園革命 国立公園の監督者である国はその保護のために何もしていない。小笠原も例外ではなかった。そこで石原はエコツーリズムを導入。並行して国に自然保護法の改正を迫っていた。結果、国は東京都の構想に追随して自然保護法を改正。

26東京ER 様々な症状に対して、診察・入院・緊急手術・救命措置などトータルな救急医療サービスを365日24時間、施すことのできる救急医療施設。それが東京ERだ。国に先んじて救急医療体制のモデルを発信している。


27教育改革 現在の教育行政は歴史的に齟齬をきたしている。そこで石原は教育改革に着手。 都立高校では学区制撤廃を行い、様々なタイプの高校を作り上げている。 大学においては、都立大学をを統合してまったく新しい大学「首都大学東京」 を創設。東京発の教育改革に取り組んでいる。

28心の東京革命 昨今の子供は人間の行動原理をつかさどる脳幹が弱っている。我慢することの重要さを学びとってもらい、現代の子供達の痩せ細った脳幹のトレーニングに繋がることを期待してこの運動は開始された。

29アジア大都市ネットワーク21 再び都知事として政治の世界に戻った石原は、長年抱き続けてきたアジアとの共生を都市レベルから構築していく大胆な外交政策を打ち出す。それがアジア大都市ネットワーク21である。

石原慎太郎公式ウェブサイト

コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

国民投票法案について         天木ブログより

2007年03月20日 16時05分08秒 | Weblog
どうやら安倍首相は国民投票法案を強行採決する腹を固めたようだ。いかなる法案であれそれを強行採決するということは民主主義の根幹を踏みにじるものであるが、小泉前首相の国会軽視と、それにだまされた国民の総右傾化は、自公政権のごり押しを容認する無力感を国民に植え付けてしまった。国民の無力感は国会の論戦を不毛化させる。100%虚偽答弁をしている閣僚を弁護する安倍首相を、国会は追及できない。こんな国会は今までにはありえなかった。もはや自公政権がその気になればどんな重要な法案でも、最後は強行採決をすれば通ってしまうのだ。

 しかし私はこの国民投票法案だけは通させてはいけないと思う。それはその内容があまりにも改憲に傾き過ぎた不公平なものであるからだ。これは改憲に賛成したり、反対したりする以前の問題である。この事をズバリと指摘しているのが3月16日の読売新聞に見られる西修駒沢大学教授の寄稿論文である。西教授は、「公正なルール作り必要」という見出しの「論点」というコラムの中で、次のように自民党が自らの国民投票法案を強行採決しようとしている事を危惧している。

 すなわち憲法改正の手続きを定める国民投票法は、「本来ならば、もっとはやくこの法律が制定されているべきであり、(遅ればせながらであっても)立法府の不作為を解消できる点では評価できる」という、改憲論者の持論を展開しながらも、それは「政争の駆け引きの材料とすべきものではなく、全有権者が参加する憲法改正論議の土俵を設定するという極めて重要」なものであるが、「与党修正案の内容を見る限り公正なルール作りになっていない」と明言しているのだ。西教授が指摘する次の二点は特に重要である。

 その一つは、公務員法で禁止されている「政治的行為」が、国民投票法案については、それに当たらないとして自由に放置されている点である。裁判官、検察官、警察官などを含むすべての公務員が一般国民と同じく憲法改正の賛否に、自由に、積極的に、組織的に活動できるとなれば、それが改憲に向けて大きな影響を与えていくことは誰でもわかる。憲法は公務員が国民全体の奉仕者であることを明記し、「政治的中立性」を求めている。このことは最高裁の判例も認めている。この基本的な「枠組み」を外せば、「社会全体が喧騒と混乱に陥ることになろう」とさえ西教授は警告しているのだ。

 第二点の不公正さとして、西教授はマスコミ報道についての一切の規制を設けていない点を上げている。周知のように今日におけるマスコミの国民に対する影響力は絶大なものがある。とくにテレビ、ラジオの影響力は大きい。マスコミが権力者側に組して改憲を扇動するような報道をしたら、憲法について確固とした定見の無い国民は、やすやすと改憲になびくであろう。だからこそ「公平な報道を促す規定が必要ではないか」と西教授は強調しているのである。

 実は強行採決されようとしている自民党の国民投票法案は、そのほかにも多くの点で改憲しやすい法案になっている。それどころか手続法の枠を超えて憲法解釈に影響を与えるような制度変更の規定さえ盛り込まれている。その逐一をここで説明する余裕は無いが、ここで指摘したいのは、冒頭でも指摘したように、あらゆる重要法案が国民に十分知らされないままに、無気力で低次元の国会において次々と強行採決されていくという現実である。

 改憲を行おうとする安倍政権にとっては、公正さを捻じ曲げてでも改憲しやすい手続法を作り、いつの日か憲法改正法案を国会に上程する時は、それが国民の過半数の支持で承認される事を、100%の確立で確保しようとする作戦を立てるであろう。その一方で改憲に反対する人たちは、いかなる内容で、国民投票法案を成立させてしまえばあとは一気に改憲まで突き進んでしまうからと、手続法である国民投票法そのものが悪であるとして、その成立を阻止しようとする。

 私はこのブログでは、敢えてその両者のいずれの立場にも立たずに、改憲を支持する学者の間からさえ、自民党が強行採決しようとしている国民投票法案が危惧されている、この重大性を指摘したかったのである。これから強行採決までの間にメディアのなすべき事は何か。それは改憲、護憲の意見の対立を繰り返し報道する事ではない。まともな改憲論者さえ疑義を呈する自民党の国民投票法案の不備を徹底的に報道し、国民に周知させ、議論の尽くされないままに重要法案を強行採決させようとする安倍政権の誤りと、それを許す機能不全の今の国会を追及する事なのである。

※ 天木直人ブログについては、当ブログの「ブックマーク」に載っています。

                          ネット虫
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

どこまで米国の不法行為を見逃すのか。  天木ブログより

2007年03月20日 15時49分29秒 | Weblog
 3月17日の読売新聞が16日の衆議院外務委員会での照屋寛徳議員(社民)の質問とそれに対する国側の返答を報じていた。それによって赤坂の国有地にある米国大使館(敷地約1万3000平方メートル)の土地賃貸料を、米国大使館が1998年以降9年間も日本側に支払っていない事実が判明した。財務省が確認したのである。

 しかも97年まで米国が支払っていた賃貸料も年間1平米当たりわずか200円弱であるという。日本側が1998年に賃貸料アップを米側に求めたところ、米側は合意しなかったばかりか、それ以来支払いを拒否したというのである。驚くべき屈従だ。しかも未払いはこれだけではない。これをフォローした日刊ゲンダイ(3月20日)は「嘉手納基地の爆音訴訟の賠償金も、NHKの受信料も納めていません」という照屋寛徳事務所のコメントを掲載している。

 「明らかに公平を欠いている。きちんと調べて(米国側と)交渉したい」(麻生外相)

 「米国側と交渉中で、その中身は言えない」(財務省理財局)


 「日本政府とは真剣に協議を続けている」(米国大使館ボイル報道官)


 我々はこの関係者の言葉を忘れてはならない。照屋議員には近いうちに再度質問をしてもらって、この問題の顛末の落ち着く先を、国民に代わって追及してもらわなくてはならない。そして何よりも日本のメディアはこの米国の不法行為の事実とその後の交渉経過を国民に知らしめる努力をしなければならないのだ。

※天木直人ブログは「ブックマーク」に載っています。  ネット虫
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

どうなる都知事選?  落石

2007年03月20日 15時06分31秒 | Weblog
昨日だったか、世論調査で石原氏リードとのこと。
でも20%以上の人がまだ決めていないとも。

もう実質、終盤戦。
どなたか予測を教えて下さい。
コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

なぜ今、中国脅威論?  落石

2007年03月19日 19時30分53秒 | Weblog
日本、アメリカ、豪州などで中国の脅威ということが言われるようになりました。
日本は中国の省のひとつになるだろう、と言った自民党の高官もいます。
こうした言説の背景について考えてみました。


中国の経済大国への道

中国は世界中からお金を集めて、工場を建設、工業製品の輸出によって
経済発展の道を進んでいます。
日本、韓国、マレーシア、タイが歩んだ道です。
そして現時点では、さまざまな矛盾を拡大させながらも、成功しています。
日本の中国(アジアを含む)との貿易は、完全にアメリカを凌いでいます。

日本産業の空洞化が第一歩

こうした事態はいつから始まったのか?
ひとつの転換点は、プラザ合意にあるのではないでしょうか?
日本の工業製品の輸出攻勢に対抗するためにアメリカの採った金融面での反撃です。
円高によって、日本からのアメリカの借金は激減しました。
また、日本の輸出産業は大打撃を受けました。
この危機を脱するために、日本の工場はアジアに移転していきました。
いまも続いています。

アジアの工業化が進む

日本から工場が移転してきたアジアは、経済発展を続けました。
アメリカ・日本・アセアンという経済循環が生れ、
現在のアセアン経済圏が誕生していきました。
ソビエトの崩壊後、中国は、アジア諸国の成功に刺激され、同じ道を進みました。
経済的にみれば、アジアはひとつの経済圏として、
ヨーロッパ、アメリカに肩を並べるほどに成長してきました。

古くて新しい問題 アジア農業の衰退

労働力の安いアジアへの進出は、日本国内の給料を下げました。
日本国内のアジア化です。これは日本の経済構造を輸出依存からの脱却を妨げたままです。
もうひとつ、農業問題です。日本の国内で経済成長が続いた時に起こったこと。
農業の衰退です。出稼ぎ、労働災害、三ちゃん農業・・・
この問題がアジア全体に広がっています。
農民が都会に流れでて、スラムをつくる。
(日本はこうした事態になりませんでした。自民党が農村に基盤を置いたため、
手厚い保護を与えたからです。)
しかしアジアのなかには、こうした政策をとる国は少なく
新しい貧困層が生まれ、治安が悪化しています。
(テロというレッテルを貼って対応しようとしています。)

環境問題のアジア化

日本の経済成長が生み出した鬼っ子に環境問題があります。
これは農村の衰退と同時に起こってきました。
第一次産業を食い物にして工業化が行われたからです。
この環境問題もアジア全体にひろがっています。
とくに中国の水問題は深刻で、21世紀の世界経済に暗い影を落としています。

中国は経済大国に?

こうした問題を含みながら、アジアは経済発展をすすめています。
中国は、近い将来、大国になります。
そこでアメリカとの間で摩擦が激しさを増しそうです。
一番、大きな経済問題は元の切り上げ。
いずれ日本と同じ様に、変動相場へと変わっていきます。
中国はアメリカと金融面で対決することになります。

円独立に失敗した日本

日本も経済大国となった時、ドル経済からの独立を目指しました。
しかし、これはアメリカの強硬な反対で失敗。
(ヨーロッパはユーロの独立を目指し、実現。)
日本は、経済でアメリカに勝っていても実現しなかったのは、
軍事・政治でアメリカに従属しているからです。
とくに安全保障面での従属は致命的です。

中国の軍事大国化の背景

中国は日本の失敗から学んでいますから、十分に対抗策を考えています。
とくに軍事面でアメリカに対抗できる力を持つことは大きな目標でしょう。
こうした動きに一番神経を尖らせているのがアメリカです。
(アメリカの戦略は軍事同盟と自由貿易協定です。
それもアメリカと各国とは一対一の関係です。
強いアメリカにとって有利ですから。)
元が独立の経済圏となってはヨーロッパに二の舞ですから。

2つの道

経済の成功を背景に、アセアンは安全保障の面でも新しい安全保障への道を歩み始めています。
これに中国も加わって東南アジアでの軍事緊張は著しく緩和されました。
南沙諸島をめぐる軍事紛争は影をひそめています。
中国をふくめて経済協力による新しい開発へと進んでいきそうです。
このアセアンが中心となって東アジア共同体構想が生れています。
ヨーロッパに学ぼうということです。
アジアの南のほうでは、新しい時代が始まっています。
一方、アメリカは、これを阻止しようとしています。
中国の軍事大国化という言説は、こうした経済構造を背景に持っています。
日本政府はアメリカと、同じ立場に立っているようです。
国内の中国脅威論は、まさにアメリカの論理にそったものです。

21世紀の分かれ道

近い将来、アジアは世界一の経済圏に成長する可能性が大きいでしょう。
その時、ヨーロッパのような共同体方式なのか?
アメリカ中心のこれまでの道を歩むのか?
あるいは、これらとは違った道なのか?
それはまだ分かりません。
それは第一に中国、第二に日本が鍵を握っているように思えます。

新しいアジアの原動力は?

アジアは2種類の国家があります。
ひとつは、アセアン、中国、韓国など植民地を体験した国々。
もう一方は、植民地をもつ側に立った国、日本。
どちらがアジアの未来をつくる原動力になれるのでしょうか?



コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「歳々年々人同じからず」終回  文科系

2007年03月18日 21時51分08秒 | Weblog
(四)
 ボケが咲き続けている間に、白木蓮が開き、散りかけ、庭の一角がユキヤナギで白くなり始めた。透明に通り過ぎていった大気が今は、この大都会に生き残った土や草木そして人の中へも、入り込んでいくようだ。そんな季節、日曜日の昼近く。
 「お祖母ちゃん、一番だけ訳せたよ」
 太一が、離れの加代子の家を訪れてきた。
 「ほんとに、ありがと。すぐに読んでくれるかな。というより、好きなように朗読してもらおうかね」
 太一は何も言わず、一句一句を切り、抑揚もなくゆっくりと読み始めた。〈照れてるんだ、この子。でも、まんざらでもないみたいで、ほんとに良かった。心臓の辺が暖かくなったな〉、加代子は心臓の上に本当に手の平を押し当て、やせた肉の下の弾みを確かめてみた。
 懐かしいバージニアへ、俺を連れ戻してくれ
 そこには、綿やトウモロコシやジャガイモが生えている場所がある
 春に鳥たちがさえずり交わす場所も
 年寄りの黒んぼのこの俺の心が、行きたいと疼いている場所も
 黄色いトウモロコシ畑で来る日も来る日もあんなに汗流して
ご主人にお仕えしたその場所も
 俺が生まれたバージニアほどに心底好きな所は
 この世のどこにもありゃしない (注)

 「やっぱり太一くんに頼んでみて、良かった。そのままの訳をしてくれたみたいで、この歌の感じがほんとによく出てるんじゃないかなぁ。二番は?」
 「ちょっと考えてるとこがあって。もう少し待ってくれる?」
 「ご主人様夫婦もずーっと前に死んじゃったし、私が朽ち果てるまであそこで暮らさせてくれとかいう所があるでしょう?ほんとに良い歌ねぇ。それに太一くんきっと、文学の才能があると思うわ」
 「この歌の、そこの所が好きなわけ?」
 「自分の死ということを考え始めた人って古今東西、どういうわけか故郷を考えるらしいんだね。何故だろうねぇ。この歌はその見本みたいなものだけど」
 ちょっとの間を置いて、太一。「無邪気に遊んだ頃の風景や物が懐かしいんじゃないかなぁ」
 「それをどうして特に八十過ぎてから、よく思い出すんだろう?」、問う加代子。
 「お祖母ちゃんは、渥美半島の田原だった?その何を思い出すの?」、太一の逆質問だ。
 「町で遊んで帰る川沿いの道から見た夕焼けの蔵王山。何でもないことでもね、例えば、遊び途中の雨宿りで、ガラス戸越しにうらめしく外を見てる私。その目の前で、板ガラスをするすると落ちてく雨垂れ」、ゆっくりと今朝の夢を話すような、加代子である。
「夕焼けは何となくわかるなぁ。そう言えば、山ん中の小っちゃいなんか、お墓が村全部を見渡せる丘なんかによくあるね。それこそ、夕焼けに照らされてたりして。死んだ人がそうしてくれと言ったのか、残った人が村全部を見続けさせてやろうと思ったんだろうか?」、太一が立ち入ってきた。
 「残った人がちょっと顔を上げると見える場所だから、逝った人の、いつも思い出してねという願いなんじゃないかねぇ」、加代子がゆっくりと、応えた。
 「死んだ人の思い出は、残っても後の三代までで、以後は跡形もないよ!」、珍しく強い調子の、太一の言葉だ。
 「ちょっと庭に出ない?手伝って欲しいことがあるんだけど」、一瞬間を置いた後、ふるえているような細い声で加代子が話の方向を変えた。
 「うん、いいよ」
 加代子は、その返事に口許をゆるめ、曲がった腰で足早に庭へ出て行く。その後を、ひょろっとした太一がやはりまんざらでもないといった顔をして大股でついて行く。

 ついさっきから、春休みで家に帰っている千草にピアノを頼んで、恵子のフルートと省治のバイオリンとのトリオが始まっていた。省治は三年ほど前から三十年ぶりくらいで本格的にこの楽器に触ってきた。そして、娘の上手くなったピアノや恵子のフルートと合わせるとき、むかし母にこれを習わされたことがこんなに幸せなことだったかと、初めて振り返ることができた。
 他方、庭に出た加代子の方は、耳にトリオの音が届くようになったとき、こんなことが頭をかすめていた。
 〈夫婦二人だけのいつものように、昔懐かしい世界愛奏歌集ってところだけど、三人になると恵子さんの音が躓くのがはっきりしちゃうね。四十半ばからの手習いはリズム合わせがどうしても壁になるんだねぇ。それにしても恵子さん、共稼ぎなのによく頑張る、普通の曲ならもう初見で吹けるようになったものなぁ。千草は、曲の好き嫌いもろ出しで気の向くままにアドリブやってるけど、不思議とタンゴは乗るみたいだね〉

十分ほど後、脚立から白木蓮の古木に登り込んだ太一が、太目の枝にのこぎりを引いていた。
 ジャージ姿に着替えている。不器用に曲げられて持て余される長い膝、両頬の横に垂れている数本の汗、懸命な顔だ。省治が、外の物音を聞きつけ、二階から顔を出して、笑っていた。〈下の加代子さんの方は、両手を傘のようにして、目を細め、落ちてくる花の残骸を避けるように右往左往してるけど、太一を心配して心底おろおろしてるんだね、あれは〉

 夕方近くなった。窓辺に加代子がビールを出し、太一と飲み始めている。
 「さっき、夕焼けは何となく分かるなぁって言ったけど、じーんと来たような夕焼けが何かあったのかい?」
 加代子の先ほどの話の続きらしい。
 「ちょっとはね」
 「他に、山とか川とか、それに海とかで、そんな体験はある?」、さりげなく話しているが、緊張した加代子の質問だ。
 「そりゃぁ、いくつかはあるよ。例えば、父さんに渓流釣りに連れてかれて、山の斜面を下るすごく急な流れを登ってく時、下から見上げた空なんか」
 「どんな空?」
 「五月頃の、新緑ってのかなぁ、とにかく上に大木の葉っぱやごろごろした大岩があって、その向こうにあった空なんだけど」
 「私はねぇ、私のそういう景色のいくつかの中で、こんな所でなら、あの歌の二番にあるようにそこで死んでそのまま腐ってってもいいなぁと、そんなふうに思うことがあるんだよ」、加代子は言い切った。太一は、加代子の目を一瞬見つめ、黙っていた。
 「松尾芭蕉の辞世の句って知ってるかね?」、加代子の追加、ずっと考え、探してきた質問なのだ。
 「うん、旅に病んで夢は枯野をかけめぐる、でしょう?」、誇らしげに答え終えたそのとたん、うんっと、太一。加代子が黙っているのを確かめるようにして、そのまま続けた。
 「この辞世の句、お祖母ちゃんがいま言ったことに似てるね。どんな枯野で死に腐ってってもいいかって、探してきたんだろうか、この人?」
 〈あの「浪速のことは夢のまた夢」とは、同じように辞世と言い、同じ「夢」という言葉が入ってもひどく違う〉、太一は瞬時にそうひらめきながらたずねていたのだった。
 一瞬間を置いて、加代子。
 「私は勝手に同類だと考えてるんだけどねぇ」
 コップをゆっくりと飲み干して、肘掛けに運んだ太一。

 加代子はこの時、心臓の一拍一拍が弾んでいると随分久しぶりに感じられ、半ば無意識にそこへ手の平を持っていきながら、続けていた。
 「太一くん、しばらく私の本家にでも居候して、花鳥風月なんかに遊ばせてもらってきたら?私のこの感じ方のずっと先へ行くかもしれないよ。太一の人生、まだまだ長いんだし」
 「花鳥風月って、風流の世界というようなことだろ。それと付き合えって?あれっ、この言葉、『エコロジー』に似てるね」、後半は、太一のほとんど独り言だった。
 「エコロジーって、よく聞くけど、何か分からない言葉だよ。どこが似てるんだね?」、落ち着いた、柔らかい声である。
 「人間も加えて、動物の環境の学問のこと。花鳥風月だってこんな感じもない?花を鳥が食べ、鳥を風が運び、風は雲も運んで月やお日様を見せたり隠したり、それでまた、花や鳥が喜んだり困ったり、どう?それに、エコロジーも花鳥風月も、人間だけが特別じゃないよ、自然が私だよという感じもあるし」
 「へーっ、太一には花鳥風月がそうなるのかね。でも、二つは同じ、本当のことだよ、きっと。それじゃ今晩、私らのエコロジーの歌、バージニアでも、向こうの三人にやってもらおうかねぇ」
 いつも人の目をまともに見ない太一が、祖母の目をもう一度見つめて、眩しくて顔をしかめるというように、微笑んだ。
 〈この間まで、よく泣いたし、おとなしいだけだと思ってた太一がねぇ。こんなことを言うようになったよ。はやいもんだ。案外、この子の問題もこの方向で解いてくかもしれないねぇ。太一の中からこの先、何が出てくるか私には全く分かったもんじゃないね〉
 加代子が心でそうつぶやき終わったとき、庭の一角がふっとその目に入ってきた。夕焼けがユキヤナギに当たり、その前の土の上で数羽の雀が何かをついばんでいたのである。

(終わり)

(注)この歌、J.A.Bland作詞作曲 ”Carry Me Back to Old Virginny”が、1997年1月28日、アメリカ・バージニア州上院議会で州歌廃棄となったという事実を筆者は承知している。「黒んぼ」と「ご主人様」の二語が人種差別用語だという理由らしい。当事者が「不愉快だ」と決めたのだから、部外者に言うべき事はないが、以下の理由でこういう歌を敢えて使わせていただいた。この歌が、人の晩年の、この世への恩讐を越えた懐かしさを歌っているように思うからである。なお、この歌の作詞作曲者が黒人の方であるということも付記しておく。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「歳々年々人同じからず」続き  文科系

2007年03月17日 22時10分04秒 | Weblog
 「昨夜あれから太一が私の部屋に来て、喋っていったんだよ、知ってた?」、二人それぞれの沈黙を、加代子の声が破った。
 「少しだけど聞こえてきた。どんな話だったの?」
 「去年、高校時代の友達が山で死んだらしくてね。それからずっと考え込んできたみたい。切り出しは、『生きる』って、ほら黒澤明のあの映画ね、どんな筋だったのかときくんだよ」
 加代子は覚えている限りのあらすじを話したそうだ。するといきなり、太一がたずねたというのだ。
 「死ぬってその人が永遠に無になるってことかなぁ」
 それで、加代子は答えたそうだ。そう考える人もいるし、心がそのまま残ると答える人もいるし、心は残るけどその入れ物が人間だけでなく他の動物になったりして、入れ物が替わる度に以前の記憶もなくなっていくと説く宗教もあるなどと。
 「家にはあんたたちの時代から仏壇も神棚もなかったし、霊魂のことなんかが頭をかすめる奴もいないし、太一もどっちかといえば『永遠の無』の方だろ?」
 省治がきいた。
 「うん、そうみたい。『俺にも永遠の無が来るとしたら、俺どうしようかなぁ』とか言ってたから」
 そして、加代子はこういうことをいつ考えたかともきかれたのだそうだ。
 「それで、どう答えたの?」
 「この頃になって初めてねとありのまま答えたよ」
 すると太一、一瞬だまった後に、「じゃーっ」とか言ってあっけなく出て行ったということだった。
 「あんた、あいつの『永遠の無』について、何か言ったった?」、省治は改めてたずねた。
 「きかれなかったし、きかれてもちょっと答えられないよ」
 「あの考え方が落ち着ける先って、土や草木、動物それに宇宙なんかへも、そういうものへの愛着のような問題じゃないかなぁ。俺なんかとてもそんなものは縁が遠いと観念しかけてるけど」
 
 サザンカがきれいな時を過ぎ、開きすぎて汚れた花が木や地面をおおっていた。その横でヨメナ群落の、枯れ残った残骸が揺れていた。それらの手前にある丈高い白木蓮の古木や、その根元近くで伸びたままのようなボケ二株にはつぼみがあるだろう。輝いている空気の中のそれらすべての草木が、薄暗い部屋の中にいるせいばかりではなく、省治の目に眩しいように入って来た。省治はしばらくベッドの横の椅子に座り、母の言葉を待っていたが、加代子はもう話さなかった。あいかわらず顔の下半分を布団で隠し、今は、目も閉じている。
 「行くよ」
 「うん」
 省治はゆっくりと母の部屋を出た。

(三) 
 〈昨夜お祖母さんから、「例の問題」をヒアリングした。彼女は、最近までリアルタイムをフルパワーで生きてきてそんなことを考える暇はなかったと語り、俺の今の心境にも半信半疑みたい。ただし、今はかなりマジだ。歎異抄とか『死に方のこつ』なんて本が枕元に置いてあったから。俺の質問にも、いろいろダイジェスト的に応えてくれたが、俺にとってのヒントはなかった。「永遠の無」を認め、その上でそこから「ノープロブレム」を求めていこうというコースではないようだ〉
 太一の深夜の日記だが、若さは一途に駆けて行く。

 それにしても、人はなぜ、こんなはっきりしたことを知らないふりして生きてるんだろう。この前の秀吉のテレビ、彼の辞世の歌、「露といで露と消えゆく命かな 浪速のことは夢のまた夢」とかいうやつをやとった。あんな「生きる」なんて映画もあって、かなり昔から「ゴンドラの歌」、今の大人みんなが歌ってきたんだ。大昔でも始皇帝のヘイバヨウ。この世で持ってた威力を死後へも持ち込もうと、ものすごい準備じゃないか。宗教や哲学でも、死が最大の問題となっとるのに。なんかみんな、馬鹿じゃないのか。お前らもやがて永遠の無で、その前の一度しかない命なんだぞ、分かっとるのか!おいっ!!
 確かに俺も、あいつのことがなければ今でもちゃらちゃらやっとったろう。あいつの「永遠の不在(俺にとっての)」、信じられんかった、どこへ行ったんか、もう謎だった。でも、そこからちょっと考えてったら、「俺の永遠の無」に出くわした。そして、ものすごい焦燥感だ。居ても立ってもおれん、身の置き場がない。あれだけ入れ込んだテニスも、パッカーンとサービスエースを決めたそのリアルタイムに、「これを人間が『ナイス、上手い!』と、勝手に決めたんだなぁ、と醒めとるようになっちゃったもんなぁ。「永遠の無」が解けぬうちは、すべてが、どうでも良い言うならば「人工的問題」になっちゃったんだ、俺の中で。
 ところで、みんなだって、身近な者の一人や二人、「永遠の不在」は経験しとるだろうに。なのに何だ。やっぱり、馬っ鹿ばっかりだ!
 この日本、例えば東京の地下鉄は、世界一のブランド物展覧会場だと外国人が言うそうだ。「私だけに分かるこの良さ」とか「コーディネイトでさりげなく」などの「内面的個性」で「ブランド物人生」を言い換えてみたって、他国から見れば世界一の成金趣味国の一員に変わりない。さすが、金ぴか秀吉の末裔だね。
 女が大好きな「ブライダル人生」と「貴方任せ人生」。男は「金儲け人生」か「お山の大将人生」ってとこか。貴方の行きたい先はビル・ゲイツですか、秀吉や始皇帝ですかってきいたりたいもんだ。そういう奴に限って、秀吉みたいに間際になって慌てる。「露」だってさ。自分でそれを選んだんだ、初めから分かっとるこったろう。「人間五十年   」秀吉はぁ、御大将のこのリピートを聞いてきたんだしぃ、修練の覚悟ができてたんじゃないの、そう笑ったりたいよ、ホント。
 それにぃ、例え死後の世界があったとしてもぉ、二人ともあれだけ殺してきた、キラーだ。まず地獄ですよ、ヘルですよ。あっ、そうか、地獄の執行権力を蹴散らす?そのためのヘイバヨウなんだ?確かめてみたいもんだね、ホント、全く。
 「死後が無だからこそ好きなことをやるんだ、今の俺はそういう選択をしとるんだよ」、訳知り顔にこう開き直っとる奴も、確かにおる。そういう奴には言ったりたいね。「そのお前の『好きなこと』が、死ぬまで『露』にならないという保証はどこにあるかね?」と。それに、「好きなこと」と言えばそれで何か主体的な一貫性があるようだけど、人間、昨日赤が好きで、今日黒が好きに変わることなんてしょっちゅうだよな。ならば、「好きなこと」をやるって、知らんうちに自分の混乱をまき散らしとるだけじゃないか。そんな奴がえらそうに「露」でないなどと言ってくれるな、ホント、恥ずかしい!!
 さて、いま言ったすべての奴らとはちょっと違うかも知れんけど、「本当の生きがいは歴史の方向に沿って生きること」なんて説教しとる奴もおったな。例え万一歴史があの説教屋の言うように進むもんだとしてもぉ、何でそれに沿って生きなならん?それで「永遠の無」が解けるか?この問題を考えたこともないような奴がぁ、わざわざ時間とらせて余分なことを説教しに来るなってんだ!忙しい俺にぃ!
 さて、こういう奴ら全部含めて、「奴らが死んだって、祭ったるな。そんな死者はそしれ」、俺の唯一大事なことを何も教えてくれない人生には、俺は少なくともそう言うしかないね。

 この調子で、太一の日記はまだまだ続いていく。
 そして、ほとんど眠れなかった夜も明けて、さらに、正午近く、透明な日差しを厚いカーテンで遮断して、スタンド明かりの下で、太一はこの文をもう何度読み直した事だろう。正気なのか、若い、眠れぬ一途が狂気に近づいたのだろうか、日記を打っているワープロの端が、随分前から、落ちた涙で濡れていた。

(終回へ続く) 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中編小説「歳々年々人同じからず」  文科系

2007年03月16日 21時37分25秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 歳々年々人同じからず

(一)
 明るいベージュ系でまとめたボックスのようだが、部屋の全てがかび臭かった。小さなステージは真上に回る赤っぽいミラーボールに照らされ、そこで千草が口を大きく開けて歌っていた。太目の長い脚がぐんっと伸びて、今の加代子には気圧されるような大学一年生である。その千草の大口の形から首の傾げ方まで、彼女にもどこか心覚えがあり、部屋に入って初めての声をやっともらした。肩をすぼめ、隣に座っている息子の省治にいっそう身体をくっつけながら。
 「テレビによく出てくるグループの歌手に全部似てるわね」。「うん。ドリカムって言うの、ドゥリィムズ・カム・トゥルー。曲は『ラブ・ラブ・ラブ』。お祖母ちゃん、聞こえた?」、太一が、他人が聞いたらどなっているとしか感じられないような声で、応えた。加代子は耳が遠いのである。「夢が、ホントに、来る? ああ、正夢になるってこと」とつぶやく加代子。「きっと、そういうことでしょうね」、恵子が、あごでリズムを取り、選曲リストに見入りながら、これも大声で相づちを打つ。
 「ちょっと不思議な良い曲だけど、リズムは難しいし、半音はいっぱいだし、音を取るのが大変だこと。チーちゃん、よくこんな音が取れるわね。やっぱり音楽専攻だ、ねぇ恵子さん」。恵子は、高校音楽過程の講師をずっと勤めてきたらしい加代子の言葉だと思いながら、大きくうなづき返した。
 「お祖母ちゃんも母ちゃんも、歌、決めた?早く決めんと、千草、ずっと歌っとるぞ」。わざとのようにおっくうそうにリストをくりながら、太一がボソッと催促した。その言葉にあわてさせられたという表情で、八十三歳の祖母は本をのぞき込む。「私の知ってる歌が、あるかねぇ」
 省治は、それとなく母を視野に入れ、自分もリストをくって彼女の歌えそうな曲を探しながら、心でこうつぶやいていた。〈うん、よしよし、一度カラオケボックスに連れて来たかったんだ。それにしても、即座に「行く」とよく応えたもんだ。それも、例によって「面白そうね」って感じだったなぁ〉
 その間に、太一の「ユー・ワー・マイン」が始まった。兄妹はもちろん、家族中が好きな久保田利伸の歌で、カラオケ家族リサイタルの定番である。省治も数年前、千草に頼み、彼のライブを二人並んで聴きに出かけたことがあったが、このテレビにも積極的に出ようとはしなくて、アイドルにもほど遠い猿顔の小男のために、八千の会場がいっぱいだったのには驚いたものだ。それも、二日間の券が発売二時間で売り切れたのだそうだ。
 〈こんなくそ難しいリズムを太一も上手く歌うもんだ。俺が、千草に採譜を頼み、その楽譜に数日首っ引きで必死になってやっと覚えた歌なのに、その俺のが負けとる〉、省治が改めて内心喜びつつ恵子の方を振り向くと二人の目が合った。恵子はあごをさらに大きく、ちょっと下手くそに前後に出し入れしながら、同意するように笑った。加代子はあいかわらず、各ページを丹念に見つめていた。
 「歌いたいやつ、あった?」、省治がたずねた。「知らないのばっかりで、それも多すぎて、目が回りそう」と、加代子。「あんたが何を知ってるか、あんまり分からんもんなぁ」
 「『ゴンドラの歌』ならあるんじゃない?」、恵子が準備してきたように横から口を出した。「いーのちーみじーかしー、でしょう?それ、あるの?」加代子の目や頬のあたりが見るからにゆるむ。〈良かった、好きな歌らしい〉、省治の口許もゆるんだ。
 やがて、その歌が始まった。加代子は、既にイントロから背筋を伸ばし、肩から頬にかけて力が入り、その加代子に、孫の大学生兄妹が時折目だけを動かすようにして、視線を流していた。ところが、歌が始まると兄の視線がぴたりと固定した。両膝にのせた左右の肘が上半身を支え、背中は丸めて顔だけをぐっと持ち上げ、加代子を真っ正面から見すえている。その顔は全く無表情だが真面目そのものだ。恵子も省治も横目でそう認めた。省治はさらに、この姿勢に込められたものに心当たりがないでもないと考え込んでいたのである。

 「人間、すぐに死ぬんだ、もっと燃えよう、そんな歌なんだね、お祖母ちゃん?」
 冷えてきた帰り道に、太一の強い声が唐突に響く。
 一瞬、間を置いてから、加代子。「うん。昔、『生きる』という映画があってね、あの歌がテーマだった。末期癌を告げられた定年近い公務員が、自分の最後の生き方を求めていくという筋で、ほんと考えさせられた映画だったよ」
 「ふーん、『生きる』かぁ。聞いたことはあるなぁ」
 省治は、二人のやり取りに心を暖められながら、太一と肩を並べて歩く加代子の後ろ姿のそこここに、老いが人間を破壊していく力というようなものを探していた。数年前に亡くなった父のリハビリなどにつきあう中で彼が発見してあっけにとられた力であり、その力の前で自分がだんだん無力感に捉えられていったものだ。

(二)
 次の朝、十二月後半の空気が静かだがきらきらと輝いて早春のような日曜日、省治は、毎朝の習いで加代子の寝床にコーヒーを運んだ。まだベッドにいる彼女が入れ歯を外した口を布団の端に隠し、両手を幾度か滑らせて白髪をなでつけながら、ぼそぼそと言ったものだ。早く醒めて何か考え事をしていた、その話らしい。
 「私は、傲慢な人間だったとつくづく思うわ。世の中に気弱な人がいるなんて考えたこともなかった。そんなことは全く見えず、ただ自分の前だけ見て、生きてきた」
 たいそうな言葉だが、この頃の二人の普通の会話だ。
 「なにぃ、また『老いて初めてわかったこと』の話?」
 「うん。お祖母さんの『欠け湯飲みの話』も、この頃初めてあんたが説明して来たとおりだと思うようになったよ」
 「『欠け湯飲みの話』ねぇ。やっぱりお祖母さんがひがんでたと思うんだろ?」と省治。
 『欠け湯飲みの話』というのは、こういうことだ。加代子の母、サヨさんが晩年の病床でお茶を注文したときに、長兄の嫁、ハルカさんが持ってきた湯飲みが少し欠けていたということがあった。
 「ハルカは欠け湯飲みを出した。乞食にでも出すように」
 サヨさんは死ぬまで何度、加代子にこう愚痴ったことか。そして、この話を加代子から初めて聞いたとき省治はこんなふうに応えたものだ。
 「サヨさんがあれだけ褒めてたハルカさんなんだから、悪意はなかったよ、きっと。弱い立場に慣れてない人が自分が何もできないと認めたときに急に人を悪く取り始める、ひねくれるということの一つじゃないかなぁ」

 「うん、ひがんでたんだと思う。お祖母さんも元気なころならそんなこと笑い飛ばしたよねぇ。身近な人が自分を粗末に扱うなんて考えたこともない人だから」
 今、加代子はそう応えた。
 「あんたも同じだろう?エライ人だったからなぁ」
 そう、確かに加代子は八十前後までは省治らにとってエライ人だった。明治生まれの共稼ぎの走りで、男と全く同じ仕事をして同じ給料を稼ぎながら、四人のこどもを育てた母だった。洗濯機も炊飯器も冷凍庫もない時代から、四人の子どもに家事をほとんどさせずに。
 〈寝付いたのを見たこともないし、身体も類い希に丈夫だったんだろうな。車が買える時代に入って、家族で最初に運転免許を取ったのも、五十頃のカヨコさんだった。しばらくして、家にダットサンの中古が来たんだったなぁ〉
省治は今、こんなことも懐かしんでいた。しかも加代子は、これらの苦労一切を子どもが気にとめる必要は全くないことと強く言い聞かせていたから、微笑みながら片づけることができたようなのだ。もっとも、このことが子どもに良いことだとは省治は今でも思っていないが、世事に長けた子どもは勉強向きの頭がなくなると加代子は考えていたらしい。『孟母三遷』の母、それも、共稼ぎの孟母である。
 またこの孟母は、母を務め終えてはるか後にも、こんなエピソードを持った人だった。省治が何かの折りに苦笑い混じりでたしなめたことがあった。「そんなことー、八十のお婆さんが手を出してみるというようなことじゃないでしょう!」。これに対して加代子、抑えた声だが、唇も顔も震わせて返してきたのだった。
 「そういう言い方はないでしょう。私のどこが八十のお婆さんに見える。言ってみなさいよ」
 この言葉に省治、本心から返答できなかったという覚えがあったのだ。

〈こういう人が、八十を超えて間もなく全く逆の性格に変わっちゃったんだ。そしてもう、自分の得意なことでさえ、恵子の一挙手一投足まで観察し、自分を譲るようになってるものなぁ。そう言えば、「歳をとったら嫁に文句があっても言うだけ損だよ」と言った人がいるとか俺に話したことがあるけど、あれが今精いっぱいの抗議なのか。あれは何の話の時だったかなぁ?   老いるとはこういうこともありなんだ〉

(続く)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

赤旗の浅野批判についての実証的反論。②  東本高志 

2007年03月15日 23時47分40秒 | Weblog
 4)同上
 http://www.shii.gr.jp/pol/2003/2003_02/2003_0223_01.html

また、上記の演説で志位氏は、宮城県の「一人当たりの民生費、つまり福祉費は六位、最下位です」とも言います。しかし、志位氏の言う「一人当たりの民生費」は「県・市町村財政合計」から算出したものです。「県財政」から算出した「民生費割合」では宮城県は2000年度で2位の位置をキープしています。共産党は宮城県政のあり方を問題にしているのですから、算出の基礎とすべきは「県財政」の方でしょう(「県・市町村財政合計」からの算出では、市町村の福祉のとりくみが低調であれば、県全体の数値も下がらざるをえません)。

※なお、「民生費割合」(県財政)と県としての「一人当たりの民生費」はほぼ同値です。「民生費割合」(県財政)を見れば、県としての「一人当たりの民費」もわかります。県民の1人当たり民生費(県財政)の算出式は以下のとおり。

1人当たり住民税×県人口)×民生費割合)÷県人口=1人当たり民生費

【民生費割合(単位:%)】(県財政)
(民生費=社会福祉費+老人福祉費+児童福祉費+生活保護費)
http://www.pref.akita.jp/tokei/xls/001404508200210000004.xls
     1990  1995  2000
青森 6.50 6.32 7.46(1位)
岩手 6.00 5.44 6.17(5位)
宮城 5.11 5.19 7.13(2位)
秋田 6.42 6.30 6.74(3位)
山形 4.50 4.82 5.65(6位)
福島 4.40 5.72 6.70(4位)
※カッコ部分は便宜のため筆者が挿入しました。

(5)同上
http://www.shii.gr.jp/pol/2003/2003_02/2003_0223_01.html

さらに、上記の演説で志位氏は、宮城県の「教育費も六位」と浅野県政を批判します。しかし、これも違います。「教育費割合」(県財政)によれば、宮城県は教育費については「六位」どころか1位です。
(「教育費割合」(県財政)と「一人当たりの民生費」(県・市町村財政合計)
の違いについては(4)参照)

【教育費割合(単位:%)】(県財政)
http://www.pref.akita.jp/tokei/xls/001404508200210000004.xls
     1990  1995  2000
青森 25.31  23.50  19.47(5位)
岩手 24.92  22.41  19.98(4位)
宮城 25.43  25.11  26.37(1位)
秋田 21.08  19.09  18.04(6位)
山形 22.24  19.32  20.34(3位)
福島 25.60  25.19  24.66(2位)

(6)同上
http://www.shii.gr.jp/pol/2003/2003_02/2003_0223_01.html

衛生費についてはどうか? これも事実とは異なります。「六位」ではなく、5位です。もちろん、5位だからよい、という話ではありません。批判は正確な事実に基づいて行うべきだという延長の話として「六位」と5位の違いを問題にしているのです。
(「衛生費割合」(県財政)と「一人当たりの衛生費」(県・市町村財政合計)
の違いについては(4)参照)

【衛生費割合(単位:%)】
http://www.pref.akita.jp/tokei/xls/001404508200210000004.xls
     1990  1995  2000
青森 3.10   3.05   2.92(4位)
岩手 4.37   5.17   4.52(1位)
宮城 2.73   2.54   2.27(5位)
秋田 1.90   4.37   2.15(6位)
山形 3.45   4.19   3.97(2位)
福島 2.61   3.13   3.21(3位)

以上、上記「赤旗」記事中、福祉費に絞って事実関係を見てみました。
上記に見たとおり、事実に基づかない(統計指標の意図的な混同と歪曲)共産党の「浅野批判」は目を覆うばかりのものです。共産党とは、正確な事実関係に立脚して理論を構築する政党ではなかったのか? 
私たちは、共産党への支持、不支持に関わらず、そうした信頼感だけは共産党に対して抱いてきました。それがどうしたことか?

私は、改めて共産党に反省を促したいと思います。もう一度繰り返します。
共産党はそうした反省ができる「党」のはずです。その上で、共産党はいま、「石原3選阻止」のために何をなすべきなのか。そのことを真剣に問い直していただきたいと切に思います。まだ遅くありません。まだ時間があります。
いま、「石原3選阻止」のために何をなすべきなのか、を再度検討していた
だきたい。是非。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

赤旗の浅野批判についての実証的反論。①  東本高志 

2007年03月15日 23時32分50秒 | Weblog
東京都知事選挙の告示まであと10日を切りました。選挙が迫るにつれ、共産党の「浅野批判」が一段と激しくなっています。しかし、その共産党の「浅野批判は、統計指標を意図的に混同して、あるいは歪曲してつくりあげた、いわばでっちあげた「事実」に基づく批判というべきであって、それはもう「批判」という名にも値しないしろものといわなければなりません。きわめてアンフェアなものです。これまで共産党が「反共主義者」等々に対して批判してきた同じ手法を今度は共産党自身が用いているのです。共産党には真摯に反省していただきたい、と私は思います。
共産党はその反省ができる「党」であるはずです。

以下、例証を示します。

(1)「しんぶん赤旗」、2007年3月2日記事。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-03-02/2007030202_03_0.html

この日「赤旗」は、「政治の中身は自民党より自民党型」と浅野前県政を厳しく
批判する志位委員長の見解を発表しました。この日は、浅野史郎氏が東京都知事選に事実上の出馬表明をした日でもあります。
上記で志位氏は、浅野前県政は、「福祉切り捨てではそれまで以上に冷酷さが際立った」と糾弾し、その「冷酷さ」の例として、「前県政では国保証取り上げがゼロだったが、〇五年には二千三百三十世帯になった」と述べました。そして、「こうした政治は、石原都知事が革新都政時代につくられた福祉の施策を根こそぎ切り捨て、巨大開発に湯水のようにお金を注ぎ込んできたものと同じ中身だ」と浅野前県政を再び糾弾します。

(2)「しんぶん赤旗」東北版、2003年3月8日付記事。
http://www.shii.gr.jp/pol/2003/2003_02/2003_0223_01.html

志位氏は上記でも同じようなことを述べています。すなわち、「国保証の取り上げも、ずいぶん冷たいやり方をやっています。(略)短期保険証が七千五百八世帯、資格証明書が九百四十七世帯。この一年間で資格証明書は二十六倍です」と。

事実はどうか?

上記の記事(志位氏の記者会見と演説)の根拠となったと思われる数字が以下にあります。全国保険医団体連合会(略称、保団連)が厚生労働省調査をもとに作成した「被保険者資格証明書交付世帯数(市町村国保)」。

【被保険者資格証明書交付世帯数(市町村国保)】
http://hodanren.doc-net.or.jp/news/iryounews/070223kokuho2.pdf
    2000年 2001年  2002年    2003年  2004年 2005年 2006年
青森   0     0  1,981(1981倍)   2,938 3,491  3,787  4,316
岩手   3    29   714(24.6倍)   2,058   1,624  1,377  1,288
宮城   0    36   942(26倍)     1,205   1,879   2,330  2,932
秋田    40   22   887(40倍)     1,480   1,766   1,757 1,785
山形    19    113   589(5倍)     863   900   1,011  1,071
福島  424    443  2,046(4.6倍)     3,435 4,339   5,283  6,070
※カッコ部分は便宜のため筆者が挿入しました。

まず(1)について。

志位氏の言う「国保証取り上げ」とは上記資料の「被保険者資格証明書交付世帯数」のことを指しているでしょう。同資料の宮城県の05年「資格証明書交付世帯数」2330件と志位氏のいう「〇五年には二千三百三十世帯」は一致します。そうであれば、次のことがいえます。

宮城県の2000年度「資格証明書交付世帯数」0件は浅野県政の時代のものであり、「前県政」のものではありません。浅野県政は1993年の初当選から3期目任期満了で退任した2005年11月20日まで続いているのですから。
2000年度0件の当時は浅野県政2期目のことになります。「前県政では国保証取り上げがゼロだった」という志位氏の発言は明らかに誤りであり、その誤った前提でもって「福祉切り捨てではそれまで以上に冷酷さが際立った」とまで断罪する。あまりのことだといわなければなりません。

ちなみに国保料滞納者に資格証明書の発行が法律で義務づけられ、それが施行されるようになったのは2000年4月以降のこと。浅野氏が知事に就任する1993年以前の「前県政では国保証取り上げがゼロだった」としても決して不思議ではありません。その時点では、法律で義務化されていなかったのですから。志位氏は、義務化以前と以後を作為的に無視し、ことさらに浅野前県政を貶めています。こうした態度はフェアといえるでしょうか?

次に(2)について。

志位氏は「この一年間で資格証明書(注:国保証の取り上げ)は二十六倍」。
「ずいぶん冷たいやり方」です、とここでも浅野前県政を断罪します。しかし、東
北6県のうち同じ時点で秋田県は40倍、岩手県は24.6倍、青森県にいたっては1981倍。表を見れば、 2002年度には、東北6県のすべてで「資格証明書交付世帯数」が前年度より急激に膨張していることがわかります。また、前年度の実績との比較で膨張率も異なることがわかります。なぜ、ことさら浅野前県政のみが非難されなければならないのでしょう?

※宮城県だけでなく、2002年度に東北6県のすべてで「資格証明書交付世帯
数」が前年度より急激に膨張したのは、資格証明書の発行を義務づける法律が2000年4月から施行されたことに大きな原因があります。浅野前県政のみを非難するのはどう見ても片手落ちです。

そもそも、国民健康保険料の1年以上滞納者について保険証の代わりに資格証明証を交付するのは県の業務ではなく、市町村の業務です(国民健康保険法9条)。それを浅野前県政の責任のように言うのは、共産党らしからぬ三百代言の論法といわなければなりません。

※下記は、浅野氏が知事として在任中の2004年度の「都道府県別国保滞納世帯数等」(厚生労働省資料より作成)。
http://gate.ruru.ne.jp/tochigikyoukai/siryo2.html

上記の表から資格証明書交付率(資格証明書交付数÷滞納世帯数)を算出してみると、浅野知事在任中の宮城県の同交付率は47都道府県中低い方から8位。全国的にみても国保の取り上げは少ない方の自治体といわなければならないでしょう。

(3)「しんぶん赤旗」東北版、2003年3月8日付記事。
http://www.shii.gr.jp/pol/2003/2003_02/2003_0223_01.html

「総務省が出している『統計でみる県のすがた』という行政水準の比較があります。私は、東北六県の比較をしてみました。そうしますと、宮城県は一人当たりの住民税は、六県中一位です。みなさんは一番税金を払っていらっしゃる。
これは、ぜひ覚えておきたいことです」(志位委員長)

ここにもまたまやかしがあります。志位氏は、「宮城県は一人当たりの住民税は、
六県中一位です。みなさんは一番税金を払っていらっしゃる」と言います。

ほんとうにそうか?

下記は、『統計でみる県のすがた』に見る東北6県の住民税の1990年度から2000年度までの5年単位の推移です。上記の志位氏の発言は2003年2月のものですから、志位氏が参考にしたのは下記のうち2000年度の住民税の数字でしょう。

【人口1人当たり住民税(単位:千円)】(県・市町村財政合計)
http://www.pref.akita.jp/tokei/xls/001404508200210000004.xls
     1990  1995  2000
青森 55.4   61.0   61.3
岩手 59.4   65.9   65.4
宮城 86.1   88.0   81.8
秋田 56.9   63.8   61.2
山形 64.0   68.9   67.3
福島 70.6   72.5   69.6

上記の表を見れば、確かに宮城県の住民税がダントツに高い。東北6県のうち宮城県の住民が「一番税金を払って」いるということはいえます。しかし、ご承知のとおり、住民税は均等割と所得割とからなっており、そのうち均等割の税率は全国一律です。宮城県が特別高いというものではありません。
また、所得割の標準税率も全国一律であり、これも宮城県が特別高いということはできません。

では、どうして宮城県の住民税がダントツに高いのか? いうまでもなく、東北6県の中で宮城県の個人所得水準が一番高いからです。所得割の税率が全国一律であるならば、個人所得水準の高い県の住民税が高くなるのは道理です。それを志位氏は、「みなさんは一番税金を払っていらっしゃる」と、あたかも宮城県の税率が他の東北5県に比して一番高いかのように言う。これも為にする「浅野県政」批判というべきです。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする