(2014年帝国劇場公演プログラムより)
「ベトナムの現在いま 『ミス・サイゴン』公演に寄せて 早稲田大学教授 坪井善明
★日越・米越関係の前進
逆に、越中関係が緊張したことで、近年ベトナムと日本、ベトナムと米国は急接近を遂げている。まず、日越関係を見てみよう。政治の面でも、日本とベトナムの結びつきは強い。1992年に政府開発援助(ODA)は再開されたが、21世紀に入ると、その額は年間1000億円を超え、現在では2000億円を超える額となった。ベトナムにおける政府開発援助はこの10数年に本が第1位を占めている。2000年、日本とベトナムは政治体制の違いを超えて、「日越戦略的パートナーシップ」を締結して、両国関係は強化された。2014年3月にはチュオン・タン・サン国家主席が国賓として来日し、「戦略的パートナーシップ」をより一段格上げした「拡張された日越戦略的パートナーシップ」の関係になることに合意した。防衛面での協力関係も進んでいて、ベトナムの国防省と日本の防衛省との定期協議も常設化され、海を守る巡視船の寄贈の話も進行中である。
ベトナム人の圧倒的多数が親日家であり、日本人に対する評価は高い。自動車はトヨタ、オートバイはホンダがベトナムでは車・バイクの代名詞になっている。食事も日本食に良く似ていて美味しい。従って、日本でもベトナムに関するテレビのニュースや番組も増え、ベトナム料理店の数も増している。ベトナム人が好むベトナム風うどんのフォーも日本人には親しいものとなってきた。
ヒトとヒトとの交流も活発化している。ベトナムに観光を含めて訪問する日本人は年間30万人を超えている。また、来日するベトナム人も留学生を含めて2万人を超えるまでになった。来年から、ベトナム人の介護士・介護人を日本は受け入れる予定である。
経済面でも、トヨタ、ホンダ、パナソニック、キャノン等の日本製品が日常的にベトナム人の家庭で使われているだけでなく、日系企業は反日ムードが強まる中国から避難する形でベトナムに進出している。さらにここ数年、隣国タイの政治状況が混迷している影響で、より政治状況が安定しているベトナムに工場を移転する日系企業が増加してきている。現在では一種の「ベトナム・ブーム」が起こっている。
米国とベトナムの関係も、対中関係の緊張に比例する形で、近年強化されている。2012年以来、ベトナムはTPP協定に参加する意思を表示して、米国の陣営に参加することを明確に表明した。それ以来、防衛面でも、協力関係が進んでいる。かつては旧ソ連の艦隊が使用していた中部ベトナムのカムラン湾を米国海軍が寄港する話も進んでいる。さらに、近い将来、海上における米越合同演習を行う予定も話し合われている。
このように、ベトナム戦争が終了して40年近くなって、日越関係も米越関係も劇的に変化している。ベトナムが近くなっているのだ。アメリカ人の父親クリスとベトナム人の母親キムとの間に生まれた混血児タムが、近い将来ベトナムで米越の架け橋となって活躍する日が来るかもしれない。そんな想像をしながら、「ミス・サイゴン」というミュージカルを楽しみたい。」
これから世界はどうなっていくのでしょうね。行ったことないけど、私のなかで何年にもわたってお馴染みだったベトナム。この世にいる間に一度は行ってみたいものです。今は翼を休めているベトナム航空、乗ってみたいですね。そんな世界がまた訪れることを心から祈りつつ・・・。



「ベトナムの現在いま 『ミス・サイゴン』公演に寄せて 早稲田大学教授 坪井善明
★日越・米越関係の前進
逆に、越中関係が緊張したことで、近年ベトナムと日本、ベトナムと米国は急接近を遂げている。まず、日越関係を見てみよう。政治の面でも、日本とベトナムの結びつきは強い。1992年に政府開発援助(ODA)は再開されたが、21世紀に入ると、その額は年間1000億円を超え、現在では2000億円を超える額となった。ベトナムにおける政府開発援助はこの10数年に本が第1位を占めている。2000年、日本とベトナムは政治体制の違いを超えて、「日越戦略的パートナーシップ」を締結して、両国関係は強化された。2014年3月にはチュオン・タン・サン国家主席が国賓として来日し、「戦略的パートナーシップ」をより一段格上げした「拡張された日越戦略的パートナーシップ」の関係になることに合意した。防衛面での協力関係も進んでいて、ベトナムの国防省と日本の防衛省との定期協議も常設化され、海を守る巡視船の寄贈の話も進行中である。
ベトナム人の圧倒的多数が親日家であり、日本人に対する評価は高い。自動車はトヨタ、オートバイはホンダがベトナムでは車・バイクの代名詞になっている。食事も日本食に良く似ていて美味しい。従って、日本でもベトナムに関するテレビのニュースや番組も増え、ベトナム料理店の数も増している。ベトナム人が好むベトナム風うどんのフォーも日本人には親しいものとなってきた。
ヒトとヒトとの交流も活発化している。ベトナムに観光を含めて訪問する日本人は年間30万人を超えている。また、来日するベトナム人も留学生を含めて2万人を超えるまでになった。来年から、ベトナム人の介護士・介護人を日本は受け入れる予定である。
経済面でも、トヨタ、ホンダ、パナソニック、キャノン等の日本製品が日常的にベトナム人の家庭で使われているだけでなく、日系企業は反日ムードが強まる中国から避難する形でベトナムに進出している。さらにここ数年、隣国タイの政治状況が混迷している影響で、より政治状況が安定しているベトナムに工場を移転する日系企業が増加してきている。現在では一種の「ベトナム・ブーム」が起こっている。
米国とベトナムの関係も、対中関係の緊張に比例する形で、近年強化されている。2012年以来、ベトナムはTPP協定に参加する意思を表示して、米国の陣営に参加することを明確に表明した。それ以来、防衛面でも、協力関係が進んでいる。かつては旧ソ連の艦隊が使用していた中部ベトナムのカムラン湾を米国海軍が寄港する話も進んでいる。さらに、近い将来、海上における米越合同演習を行う予定も話し合われている。
このように、ベトナム戦争が終了して40年近くなって、日越関係も米越関係も劇的に変化している。ベトナムが近くなっているのだ。アメリカ人の父親クリスとベトナム人の母親キムとの間に生まれた混血児タムが、近い将来ベトナムで米越の架け橋となって活躍する日が来るかもしれない。そんな想像をしながら、「ミス・サイゴン」というミュージカルを楽しみたい。」
これから世界はどうなっていくのでしょうね。行ったことないけど、私のなかで何年にもわたってお馴染みだったベトナム。この世にいる間に一度は行ってみたいものです。今は翼を休めているベトナム航空、乗ってみたいですね。そんな世界がまた訪れることを心から祈りつつ・・・。


