たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

星組『鎌足-夢のまほろば、大和し美しー』_思い出し日記(3)

2020年06月07日 10時04分37秒 | 宝塚
2020年6月5日:星組『鎌足-夢のまほろば、大和し美しー』_思い出し日記(2)
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/6638d0af5eb288c13c9980b680214f2c

断片的な自己満足の備忘録の続き。


天寿光希さん演じる船史恵尺(ふねのふひとのえさか)にぞくっとなる場面。

 鎌足と中大兄皇子が蘇我入鹿を討ち果たし、新しい大和朝廷がはじまった2幕。入鹿は鎌足にとって、学塾でいじめられていた自分をかばい、大和をよい国にしようと肩を組んで志を誓い合った盟友でした。その入鹿討った事実は消えない苦しみにさいなまれる紅ゆずるさん演じる鎌足に対して、蘇我氏から中大兄皇子へと主人を鞍替えした恵尺(えさか)が編んだ歴史書には入鹿の名前がないという場面。与志古と夫婦になり、中大兄皇子に仕える身となった今、中臣の名はふさわしくない、中臣にかわる名前がほしいと望んだ鎌足に対して恵尺(えさか)が冷ややかに迫ります。

恵尺が蘇我蝦夷に完成させるよう命じられていた「国記(くにつふみ)」は

鎌足「完成したのか」

恵尺「完成などとても、だいたい歴史は続いているというのになにをもって完成したなどと言えるでしょう」「ご覧ください、鎌足様、あなたさまはちゃんと記されております、ほらここに」「鎌足様、中大兄様、蹴鞠の会でのめぐり逢い」

鎌足「まて、入鹿は?蘇我氏は?なぜ書かれていない?」

恵尺「消しました」

鎌足「なにゆえ消した?」

恵尺「なにゆえ残す必要がありますか?」
「鎌足様、中大兄様、お二人による改新のすすめを帝がおききいれになられた」
「実にうるわしい宮替わりです」

鎌足「いいやちがう、わたしたちが入鹿を討った、血が流されたのだ、何故正しく伝えない?」

恵尺「正しい歴史などないのです、死人に口なし、歴史とは生き残った者、勝者だけが語れるもの、歴史はつくられるものなのです」
「負けたものは居場所はない~♪」
「起きたことをなかったことにできる~♪」

鎌足「なかったことにできない、思い出は消せない~♪」

鎌足「なんと呪わしいことなのだ、お前の狙いはなんだ?」

恵尺「歴史を綴り続けることです、勝利したものの歴史を」
「それにしてもずいぶんと蘇我入鹿にごちゅうしんのようですな」

鎌足「入鹿はかつてはわたしの友だった」

恵尺「まさか入鹿を討ったことに胸をいためておられるのでは」
「そのような考えはあらためられた方がよろしい」「あなたのあるじは中大兄様」「そのようなことではあらぬ疑いの種となりましょう」
「鎌足様、歴史から消えることのないようくれぐれも気をつけられよ」

 このあと鎌足は、皇極天皇からの讒言により鎌足の忠誠心を確かめようとする中大兄皇子から与志古をめとることにしたと告げられるのでした。


 背景には占星術的な星々が散りばめられていました。演出効果も高い場面でした。



『鎌足』、オンデマンド配信で視聴できるかぎりにおいてまだまだやめられません。