行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

2024年問題、サボりの責任をすり替えている

2023-11-10 17:59:18 | 労働

働き方改革関連法で5年間猶予されていたトラック運転手などの残業時間の上限規制が2024年4月から始まることにより、人手不足や配送の遅れが懸念されるという問題、マスコミも行政も大騒ぎで「1人あたりの運転時間が制限され、企業は追加雇用や配送量減などを迫られる。一方労働時間が減るドライバーも、働きやすくなる一方で収入が減る懸念がある」と連日の報道、何かおかしい。

働き方改革関連法で世の中一般は世界でも長い労働時間を改善したが、長距離輸送など長時間労働が常態化している運送業では早期の対応が難しいことから5年間適用を猶予していた。つまり、5年間の間に企業も労働組合も対策しなくてはならなかった。それが猶予が終わると大変だと騒ぎ、更に猶予を求めている。つまり自分たちがさぼった責任を放棄している。

2024年4月より、残業の労働時間上限は年960時間、これでも月平均80時間の時間外勤務となる。併せて終業から始業までの休息時間(勤務間インターバル)を8時間以上から9時間以上にする。働き方改革で人間らしい労働に一歩近づく、しかし欧米の組合なら一蹴するレベルだ。

建設業や医師でも同時に上限規制が始まる。建設業は残業時間の上限は年720時間までで、災害復旧時は特例的に月間の上限を撤廃する。医師も残業時間の上限は年960時間となるが、地域医療の維持などの理由があれば最大で年1860時間まで残業が可能だ。

EUの労働法ではトラック運転手の労働時間は
①1日の運転時間は原則最大9時間まで (但し1週間内で2日は最大10時間まで可能)
②1週間の運転時間は最大56時間まで
③2週間通算の運転時間は最大90時間まで

 

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UAW異次元の賃上げ、4年間で25%増、初任給でも年収720万円

2023-11-01 14:29:22 | 労働

全米自動車労働組合(UAW)は28日、フォードに続き、クライスラーの親会社であるステランティス、30日にはGMとも労使交渉で合意に達し、9月からの1ヶ月半にわたる長期ストは終了した。

3社ほぼ同じ内容での合意、フォードとUAWの労働協約で暫定合意には、労働協約の全期間における25%の時間給引き上げが含まれ、時給最高額は40ドルを上回るとされている。年間労働時間1600時間とすると、年収は960万円に達する異次元の賃上げだ。
具体的には4年間で25%(批准後直ちに11%)の昇給、生計費調整(COLA)の復活によって組立工の賃金は最高で30%の昇給(時給は40ドル超となる)。初任給は68%の増加とこれも異次元のアップだ

その上、GMは新労働契約に基づき、退職者に2500ドル約37万円の一時金を支払う。初任給は生計費調整額と合わせて70%増え、時給30ドル(約4500円)以上になるという。年間労働時間1600時間とすると720万円という初任給となる。

UAWの今回の成果は2007年以来の総賃上げ額を上回る史上最大。

 

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床屋談義、ようやく週休2日制

2023-10-20 11:12:30 | 労働

いつもの床屋での話、この床屋子供の頃から通っていて、現在は2代目が継いでいる。小中と同窓なので共通の知人も有り、昔話によく花が咲くが、昨日は「来年から月火と休みます」という張り紙で、中小自営業の労働時間を考えたことも無かったのではっとした。「古希になるのを機会に遅ればせながら週休2日制にさせてもらいます」との店主に「長い間ご苦労様、少しゆっくりして下さい」と答えたが、床屋に限らずパパママストアーの労働時間の厳しさに気付いた。

理容組合では月曜日が定休だが、全体では週休2日制にはなっていない。美容院などもその類で、従業員が多くいる大手の場合を除き、夫婦二人の経営だと夏休みとか年始のみぐらいしか長期の休みが取れない。日本はようやく年間の労働時間が1600時間、週休2日制になったようだが、、労働基準法の労働者に該当しない自営業者は自分たちで決めるしか無い。従って取り残されている中小自営業がいる。ドイツなどは昔からのギルド(職業別同業者組合)できっちりと休暇や労働時間は決められている。

厚労省の調査では、自営業のものは有るが、パパママストアーの労働時間調査は無い。「自営業者の業務に関連したストレスや悩みの原因」という調査では「収入の低さ」45.5%に次いで「休日・休暇の少なさ」22.9%、「長時間労働の多さ」20.1%と労働時間関連が併せて43%となっている。
働き方改革は運転手など2024年問題がマスコミを賑わしているが、中小自営業にも注目して欲しい。

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国税庁発表、昨年の民間年収給与実態、正社員523万円、それ以外201万円

2023-10-10 16:23:30 | 労働

いろいろな統計があるが、対象者は事業者に税金を天引きされているので、より正確な実態だろう。ちなみに源泉徴収により所得税を納税している者は 4,360 万人で、その割合は 85.9%と高い、働いてる人は殆ど税金をキチンと納めている。また、その税額は 11 兆 7,742 億円で、納税者の給与総額に占める税額の割合は 5.41%で前年より0.19ポイント増えている。

民間の給与所得者数は 5,967 万人、内1年を通じて勤務した給与所得者は5078万人、その実態が明らかになった。年収は 458 万円(前年比 2.7%増)男性 563 万円(前年比 2.5%増)、女性 314 万円(同 3.9%増)で若干格差が縮まった。

正社員は523 万円( 前年比 1.5% 増)、正社員以外 201 万円( 同 2.8% 増)格差は倍以上ある。内給料・手当部分は 386 万円、前年比 2.4%増で、政府が目指した3%には達しなかった。内男性 472 万円(前年比 2.3%増)、女性 270 万円(同 3.4%増)で賞与部分は 72 万円(前年比 4.2%増)、男性 92 万円(前年比 3.5%増)、女性 44 万円(同 7.6%増)男女間の格差は縮まりつつあるが、特に賞与部分が大きい。

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最低賃金10月改定、政府目標の1000円に、

2023-09-09 21:10:55 | 労働

2023年10月からは平均43円最低賃金が引きあがる見通しで、最低賃金の全国加重平均額は1,004円(昨年961円)となり、政府目標は達成出来るようだ。次の目標について岸田首相は「30年代半ばに1500円」と「新しい資本主義実現会議」で7月末表明している。それには2030年代半ばを2035年とした場合、毎年3.4%の引き上げが必要となる。

今や、日本の非正規労働者は約4割、最賃の引き上げで影響を受ける労働者はこの10年でおよそ4倍になり、影響率は、30人未満の事業所で22年度に19.2%だった。日本経済へのプラス面の影響も大きくなっている。

ただ、労働政策研究・研修機構によると、最賃額は、為替により変動するが、英仏独が1800円前後、豪州は2000円超だ。米国は連邦政府の最賃は低めだが、半数以上の州が連邦最賃より高く設定しており、2500円を上回る地域もある。円安の影響で日本は韓国よりも低い。また、時給1000円だと、1日8時間で月20日間の160時間働いても年収は200万円未満、シングルマザーの場合だとワーキングプア家庭だ。2030年半ばまでとは言わず、インフレに対応する意味でも早急に最賃1500円実現が必要だ。

 

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在宅勤務形勢逆転、ZOOMまで出社要請

2023-08-12 17:24:40 | 労働

日本生産性本部の7月調査によるとテレワーク(在宅勤務)の実施率は前回の16.8%から15.5%に減少し、過去最低となった。特に1,001名以上の大企業では前回34.0%から 22.7%に減少し、全体の実施率低下に寄与しているという。コロナ下の20年では大企業では5割が実施していたが、2割強に減っている。テレワーカー自身は同調査で、自宅での勤務で「効率が上がった」「やや上がった」と回答した割合は前回の66.7%から71.6%に増加し、過去最高となり、評価は高いが、企業側からは上司や同僚との意思疎通の難しさなどの事情から出社を促している。

本家本元の米国でもその傾向は強くニューヨークタイムズによると、
テレワークで業績を伸ばしたZOOMでも、7,400人の従業員の多くにオフィスに出社するよう求めている。同社は先週、オフィスから80マイル以内の全従業員に対し、パートタイムで対面で働くよう要請し、この計画は8月と9月に展開するとズームは発表した。

この春から夏にかけて、多くの企業が労働者にオフィスへの復帰を呼び掛けた。ディズニーは週4日と発表、グーグルは大半の従業員に週3日オフィスに出勤するよう求めている

アマゾンは米従業員の一部に対し今週、最低週3日のオフィス勤務という会社の期待に応えていないと記した電子メールを送付した。オフィス勤務を避ける従業員に厳しい姿勢を取っているのはアマゾンだけではない。米IBMのアービンド・クリシュナ最高経営責任者(CEO)は5月、オフィスで勤務しない従業員は昇進がより困難になると述べている。

いったん味わった自由な働き方、子育てにも便利なテレワーク、多少昇進が遅くなってもオフィスには行きたくないという人も出て来るだろう。

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最低賃金、30年ぶりの上げ幅、景気下支え

2023-07-29 17:59:39 | 労働

厚生労働省の中央最低賃金審議会の小委員会は28日、最低賃金(時給)を全国加重平均で41円(4・3%)引き上げて1002円とする目安をまとめた。過去最大の引き上げ額となる。岸田政権が景気対策の一環とした政府目標1000円を超えた。6月の消費者物価が3.3%と物価高で家計が厳しくなっていることから4%以上の引き上げは必須だった。

マスコミ報道で1000円が踊っていることから全国で1000円上がると勘違いするむきもあるが、目安は47都道府県を経済情勢に応じて分けたA~Cのランクごとに示し、今回は41~39円で、昨年1000円以上になっている東京、大阪、神奈川に加え、今年は新たに埼玉、千葉、京都、愛知、兵庫が1000円以上になる。10月に目安を参考に各都道府県の地方最低賃金審議会で実際の引き上げ額を決める。

最低賃金が大幅に引き上げられると、影響する労働者は増加し、2割以上の時給労働者の賃金が4%以上上がり、消費の落ち込みを支えると政府は期待している。

世界的に見てこれでようやく韓国に追いついたが、欧州では1600円~1700円、米国カリフォルニア州では2000円とかなり差がある。

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日本人の働き方に変化のきざし

2023-07-25 16:02:38 | 労働

最近の各種調査によると日本人の働き方に変化が見られる。やはり少子高齢化による働き手の不足が背景にある。就業構造基本調査によると、特に女性の有業比率が25歳~39歳で8割を超え、有業比率だけを見ると世界のトップ水準となった。かつては「寿退職」という言葉があったが、今や死語で29代後半から30代にかけて有業比率が低下するいわゆるM字型カーブは無くなった。しかし育児離職(女性141000人)、介護離職(女性80000人)では圧倒的に女性が多く、まだ課題は多い。

もう一方の高齢者、この10年順調に有業比率は増加しており、60代で5割、70代で3割を上回った。厚労省の調査では自立して生活出来る「健康寿命」は女性で75.38歳、男性72.68歳と延びており、有業比率の増加の背景といえる。企業の方も労働力不足対策(40年には1100万人不足-リクルートワークス)として60代社員の現役並み処遇にという動きも活発だ。定年を65~70歳まで引き上げると同時に処遇も改善する動きだ。

以前岸田政権が上場企業の女性役員比率を上げるよう経団連に要請したとブログで紹介したが、最近の報道では女性役員比率の高い企業ほどPBR(株価が1株当たり純資産に対して何倍まで買われているかを示したもの)が高いとされ、ディズニーランドを経営するオリエンタルランドの女性役員比率が16%と高く、PBRは11倍と高株価と紹介されている。女性の有業比率を高めると同時に非正社員→正社員化といった質も高めることが求められている。

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米国ビッグテックの解雇 日本の労働慣行では問題だ

2023-04-26 21:27:48 | 労働

アルファベット(グーグル)の決算が昨日発表され、内容はそれほど悪くないのに1月に人員整理を全世界で12000人行うと発表している。この内容は1月26日のブログで書いた。アマゾンやツイッターなどもすでに大量解雇を行っている。決算内容は「アルファベットの売上高は697億6000万ドル。リフィニティブがまとめた予想の689億5000万ドルを上回った。純利益は150億5000万ドル。前年同期は164億4000万ドルだった。諸項目を除いた1株利益は1.17ドルで、市場予想の1.07ドルを上回り株価も上がった。アルファベットは景気後退懸念の中、コストの厳格管理を目指しており、1月には約12000人員削減を決定した」との報道。

膨大な利益をあげているのにAIなど新規の開発のために、不採算部門から人員削減を行うとしているが、日本では通用しない労働慣行だ。

日本の解雇には普通解雇、整理解雇、懲戒解雇があるが、アマゾンのケースは整理解雇に近い。以下の理由で裁判になったら会社側は負けるだろう。
ウエブサイトのリーガレットによれば
整理解雇については、その有効性判断において以下の4要素が考慮されることになります。
①経営上の必要性
②解雇回避努力
③人選の合理性
④手続の相当性

①経営上の必要性は、債務超過などの高度の経営上の困難から人員削減措置が必要とされることをいいます。
②解雇回避努力は、希望退職の募集等の解雇を回避する努力をしていることをいいます。
③人選の合理性は、客観的かつ合理的な基準が作られていて、それを公正に適用して解雇する人を決めていることをいいます。
④手続の相当性は、労働者や労働組合との間で十分に説明・協議をしていることいいます。

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春闘、これまでまずまずの回答

2023-04-07 22:55:12 | 労働

連合が5日、これまでの春闘回答をまとめた。3月の集中回答で金属労協の電機、自動車では満額回答が続出して労組は喜んでいるが、電機などは4%程度の要求だったので、要求が低かったとの見方もできる。JALのように要求以上の回答が会社から出たという珍現象も、笑ってしまう。

連合の回答集計では平均賃金方式で回答を引き出した 2,484 組合の加重平均は 11,114 円・3.70%(昨年同時期比 4,795 円増・1.59 ポイント増)、うち組合員1000人以上の大企業は11,559円・3.74%(同5,033円1.61ポイント増)、組合員 300 人未満の中小組合 1,528 組合の加重平均は 8,554 円・3.42%(同 3,429 円増・1.36 ポイント増)となった。いずれも、比較可能な 2013 闘争以降で最も高い。

この結果を、最低賃金の上昇に繋げるかが今後の課題だ。今や働く人の4割は時間給を基本とする非正規雇用者で最賃が上がれば即影響する比率は21年度は16.2%と12年度から11ポイント超上がっている。雇用者数は約6000万人内約2400万人が時間給対象とすると、388万人の時間給が増えることになる。岸田首相も最低賃金の全国加重平均を22年度の961円から4%高い1000円に引き上げる目標に言及した。国内景気に与える影響は大きい。

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