行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

高速増殖炉もんじゅ運転再開には相当の覚悟を

2010-02-11 23:15:25 | Weblog
3月末までの運転再開を目指す日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」(敦賀市白木)は、経済産業省原子力安全・保安院が10日に運転再開を容認し、今後は内閣府の原子力安全委員会での審議とともに、機構と県、敦賀市との事前協議が焦点となる。敦賀市長は再開に前向きな発言をしている。

高速増殖炉は使う燃料がそれ以上の量の燃料を生み出しながら発電をするというまさに夢の原子炉で、SFの世界では宇宙の惑星で人間が死滅しても高速増殖炉は動いて発電をしているという話があった。しかし、もんじゅは14年前の事故でもあったように極めて危険で難しい原子炉だ。

もちろん世界で実験炉でも動いている実績はない。全くの未知への道へ乗り出そうとしている。原子炉技術の先進国フランスでは高速増殖炉に国運をかけ、フェニック炉、スーパーフェニックス炉を開発したがもんじゅと同じ冷却用金属ナトリウム漏れがおき火災事故が発生した。リヨンからスイス国境に近い同サイトを運転停止中に訪問したが冷却水に替わる金属ナトリウムの扱いにくさと危険性に強い印象を持った。その後フランス政府は検討した結果、フェニックスの巨大な施設と計画を放棄せざるを得なかった。

原型炉もんじゅの運転再開で年間150億円はかかり、年末の仕分けでもその実用性に疑問が呈されたが文科省の強い要望で残された。未知の世界だからいつ実用炉ができるかも不明だ。原子力発電は安全性と低コストが何よりも必要で、アブダビでの国際入札で韓国が初めて受注したことで新しい局面を開いた。

温暖化対策での風力や太陽光などソフトエネルギーに対抗するには安全性の向上が何よりと韓国では原子力発電を構築する膨大な部品の品質管理に力を入れだした。

もんじゅの再開は国際的な流れから離れた孤高の選択、相当の覚悟が必要で、場合によっては八ッ場ダムのような決断が必要だ。
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