行政刷新会議で小宮山厚労相は国民年金、厚生年金の支給額を2012年度から段階的に引き下げる方針を示した。前回の年金改革で公的年金は物価にスライドさせると決めたが、00年から3年間、物価が下がったにも拘わらず支給額を下げなかった。現在の受給者は私も含め2.5%多い年金をもらっている。このもらいすぎの金額は何と7兆円にも達するという。
この20年間、民間の賃金は下がり続け、それに合わせ公務員の賃金も減額しようとしている。現役の勤労者がこういう状態ならば年金生活者も合わせるべきだろう。厚労省の減額案は毎年1.1~1.2%程度で、国民年金を満額(66000円)受け取っている人で月700円、厚生年金は標準的な世帯(23万円)で月2500円の減額と試算している。厳しいデフレが続く時代だが、何とかしのげる減額だ。
政治家は選挙を意識して増税とか、年金減額にはとりあえず反対するが、国家百年の計を考えてもらいたい。きちんと説明し訴えれば日本人は判ってくれる。この年金減額にしても年金生活者が最も嫌うインフレ時には物価スライドで生活を守ると明確に示すことが重要だ。
大衆迎合(ポピュリズム)は高成長の時にはつじつまが合うが、名目経済が縮小しつつある時代では馬脚が現れる。その見本がギリシャだろう。
但し、7兆円の年金減額は増税と同じで個人消費の減少につながり、デフレ脱却を難しくする副作用があることを為政者は心すべし。