25日の東京債券市場で、長期金利の指標となる新発10年物国債の流通利回りが上昇(価格は下落)し、前日比0.035ポイント高の1.03%と約3週間ぶりに1%を上回った。欧州債務危機が深刻化する中、日本国債は資金の逃避先として買いが集まり、18日には約1年ぶりに0.94%まで流通利回りは低下していた。
原因はドイツ国債が23日、期間10年の国債の入札で、60億ユーロ(約6200億円)に対して応札額が約39億ユーロにとどまる「札割れ」が起こり、落札利回りは1.98%となり、流通市場の価格を上回ったことにある。
ドイツのような財政健全な国の国債までもソブリン債危機という信用不安が波及したことは、財政悪化が深刻化している日本国債にも連想売りが膨らんだ。これまで先進国のソブリン債(国債)は最も安定していたため、グロソブ投資信託が人気を集め、年金生活者の資金運用の柱であった。信用不安というのは人間の心理が作用するため、ギリシャ、イタリアに発したソブリン債危機は、格付けがトリプルAでも信用不安が増幅する。信用不安とは人間の心に住む妖怪のようだ。
欧州ソブリン債危機が収まらないと、日本の国債へ信用不安が更に波及し、価格が暴落することも考えられ、イタリア国債のように流通利回りが7%をこえるともはや発行は困難になり、今の財政を考えるとデフォルトの危機もあり得る。
グロソブ投資信託もイタリア国債を売却したというが、国が信用できないとなると各自が何らかの対策を考えておくしかない。戦時下でもないのにこれまた想定外のことが起きそうだ。