先日、このブログで企業小説みたいだと書いたが、ついに露見した。登場人物はワンマン前会長と財務担当役員、告発した英国人社長、舞台はケイマン諸島、協力した投資ファンド群、1000億円以上の損失額の飛ばし、まさに事実は小説より奇なりだ。原因は20年前のバブル期の財テクの失敗で、長い間よくも隠しおおせたものだ。天網恢恢疎にして漏らさずこれから司直の手で全てが明らかになる。
日本企業特有の内々で何とか処理をして、臭いものには蓋という手法は国際的にひんしゅくをかい、信用を失墜する。日本の企業統治機構に何らかの欠陥があることが認識されるがそれ以前に問題は人にある。オリンパスを担ってきた代々の役員達は株主、顧客、従業員に対し責任を有するとの自覚がなく、自分の保身が会社を守ることにつながると勘違いしたことだ。
株価は4分の1になり株主は怒り、従業員は会社存続への不安をいだき、いったん失った信用を顧客から取り戻すことは容易ではない。オリンパスという企業をここまで貶めた犯罪者達は実刑を逃れられないが、それで済むことではない。生活がかかっている従業員や関連企業のために、早期の再建が望まれるが、経営の透明性と企業行動規範をどう実現するかが再建の鍵を握る。
不祥事が起きると、よく社外取締役を入れろという声がでるが、オリンパスのような場合正論を唱える社長でさえ解任されるのであるから社外取締役では歯が立たなかった。かたちばかりに大物を社外取締役にむかえている企業もあるが、ご意見を聞くだけのことだ。
企業統治機構を大胆に変えることも考えられる。例えばドイツ型では執行役員会の上に監査役会を置き、監査役会は株主と従業員代表から構成され、執行役員の選任、解任を含む大きな権力を持つ。
今回、オリンパスの監査役は何の役にも立たなかったし、監査法人も臭いものを指摘した監査法人は契約解除され、引き継いだ監査法人は今のところノーコメントだ。