日本をというより世界を代表するエレクトロニクスの雄2社が挫折している。パナソニックは今通期4000億の赤字を予想、ソニーもテレビ事業の赤字体質からサムソンとの液晶パネル事業の合弁を解消するという。いずれも家電の代表テレビでの挫折が原因だ。
原因はいろいろ挙げているが、端的に言って、パナソニックの場合はプラズマにこだわり巨額の投資を新工場建設に向けたこと、ソニーはリスク分散をした安心感から、サムソンとの合弁で巨額の液晶新工場を建設したことが原因だ。いずれも経営者の判断ミスと言わざるを得ない。薄型液晶テレビのコモディティ化で予想をこえる液晶パネルの価格低下、とプラズマの競争力低下があったとはいえ、リスクを伴う巨額の投資には慎重であるべきだった。
何故、この2社が巨額の投資に踏み切ったのか?世界をリードしているという自負がプライスリーダーたり得るという奢りにつながったのではないか。大量の生産能力をバックに他社を蹴落とせると思ったのではないだろうか。ところが自分たちの予想以上にパネルの市場価格が下落し、赤字覚悟で生産せざるを得ないところまで追い詰められ、リストラをしなければならなり、また多くの労働者が辛い目にあうことになる。経営者の責任は大きい。
参考までに2007年にパナソニック(当時は松下)の発表内容の一部を掲載する。
「松下電器産業株式会社(社長:大坪文雄)と東レ株式会社 (社長:榊原定征)は、プラズマディスプレイパネル(以下、PDP)の新たな生産拠点として、両社の合弁会社である松下プラズマディスプレイ株式会社(以下、MPDP社)の第5工場を、兵庫県尼崎市(現工場隣接地)に建設し、世界最大の量産体制を更に拡大します。
新工場は、2007年11月に着工し、2009年5月に第一期の稼動を開始する予定です。投資額、約2,800億円で月産100万台(42型換算)を生産する世界最大のPDPの量産工場となり、投資生産性についても第1工場比で5倍以上と世界最高の投資効率となります。圧倒的な生産規模とコスト力で、世界における薄型大画面市場をリードします」
今後の大型液晶テレビ事業は他社が追随できない技術力のある製品か、パネルや部品を市場から最低価格で調達して組み立てに徹するか2つの道しかないだろう。