行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

ISOで労働安全規格45001の新設

2015-05-26 18:38:35 | Weblog

国際標準化機構(ISO)は2016年秋にも、企業などが労働者の健康と安全を確保できる体制を持つことを認証する国際規格45001を新設する。との報道。ISOというと、品質管理のISO9001や環境管理のISO14001が有名で、その規格をとってない企業とは取引しないという公共企業体や国が多い。今回新たに設ける「ISO45001」は、「管理規格の労働環境版」と位置づけられ、労働者の働く環境を客観的に評価し、企業に安全や基本的人権の維持を促すなど、ISOの役割が広がる。

この背景には2年前におきたバングラデッシュのラナプラザの悲劇がある。2013年4月24日、バングラデシュ郊外のラナプラザビルが倒壊し1134人の労働者が犠牲となり、負傷者を含めると被害者は3600人に達した。このビルにはベネトンやカルフールといった有名ブランドの衣料下請け工場が密集し、倒壊すると危惧されながら非常口を閉めて生産を続けた結果、多くの犠牲者が出た。欧州企業が多かったことから非人道的な職場環境をなくそうと労使一体となった下請け工場の監査などが実施され、EUの中でISO45001の実現に向けた動きが出てきたのだろう。バングラでは遺族や負傷者の生活補償のためにラナプラザ信託基金を設立し、有名ブランドを含む世界の衣料産業から寄付を募ったが、目標の3000万ドル(約36億510万円)には、270万ドル(約3億2859万円)が未達となっている。

大企業が低賃金を求めてサプライチェーンを途上国に構築するとき、前提となるISO45001を途上国で実現すればラナプラザのような悲劇は避けられる。日本企業も自ら取得するだけでなくサプライチェーン全体で取得すれば労働環境の良い企業としてのイメージが出され、人材も集まる。

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