2015年 1-3 月期のGDP成長率が1 次速報値において、実質 0.6%(年率 2.4%)、名目 1.9%(年率 7.7%)となった。実質成長率、名目成長率ともに 2 四半期連続のプラス成長となったと各紙が派手に報じている。同時に発表した14年度の実質成長率マイナス1.0%、名目1.4%に比較すれば年率2.4、7.7%という数値はようやく景気は回復してきたと感じたくなる。
ところが中身を吟味してみると、予断は許せない。実質GDP成長率に対する内外需別の寄与度を見ると、国内需要は 0.8%とプラスに寄与した一方、外需は▲0.2%とマイナスに寄与した。内需のプラス寄与の内訳は民間最終消費支出と民間企業設備については、実質 0.4%増とふるわず、民間設備投資はようやく 4 四半期ぶりの増加となり、甘利経済相は記者会見で企業はもっと設備投資をと要請したくらいだ。特にソフトウェア投資の減少が気になるところ
民間住宅については、実質 1.8%増と 4 四半期ぶりの増加となリ、唯一の明るい材料だ。
今回注目したいのは民間在庫品増加で、GDP寄与度については、実質 0.5%とプラス寄与となった。まだ流通在庫及び 1 次速報値では基礎統計の不足から統計的な補外推計となるので判断は難しいが、仕掛品在庫が増加に寄与した一方、製品在庫が減少に寄与したという内容だ。仕掛品を増やしたことは先行き良しと見たと考えれば明るい方向だが、売れ行きが悪ければ一転GDPにはマイナスの影響を与える。
国内民間経済は輸出の伸びが落ちていることから、消費や設備投資の回復がかぎを握っている。