先日いつもお客が来るときに貸してもらってる駐車場、管理してる不動産屋から地主がアパートを建てるので利用できないと言ってきた。聞くと大手不動産が建て、入居借家人は保障するから地主は安心だという。調べてみると、マイナス金利の効用の一つに銀行が融資を促進し、設備投資が増えるということがあったが、こうした住宅投資も含まれるのだ。なるほど2015年の新設住宅着工戸数は90万9299戸と前年比で1.9%増になったのに続き、2016年は96万7237戸と前年比で6.4%増と大幅な伸びだ。ところが、持ち家となる一戸建て住宅は3.1%しか増えていないのに対し、貸家となるアパートなどの集合住宅が10.5%と大幅に伸びている。
相続税対策ということのようだが、人口減少社会でこんなに建設して借り手がいるのだろうか?幸い先の近所のアパートは全戸入居済らしいが、埼玉県羽生市では空室率が10年で倍になり当てにしていた税金も入らず、下水道の管理費がかさみ、建築制限も視野に入れているとの報道もある。
日銀の統計では金融機関の不動産への新規融資は16年で12兆円に達し、あの土地バブルの89年を上回ってる。あのときのように地価は暴騰してないが、逆にアパートの空室率が高まり、ローン返済が滞り、銀行が不良債権を抱えるリスクが大きくなっている。相続税対策が逆回転し、家主も負債を残す結果となり、負債は相続放棄できるが、肝心の相続財産が消滅する。
米国のサブプライムローンから発した金融危機リーマンショックを画いた映画「マネーショート」を思い出した。