行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

高プロ制度に換わるトヨタの提案

2017-08-10 21:45:48 | Weblog
政府は今秋の臨時国会に「脱時間給制度」を盛り込んだ高度プロフェッショナル制度法案を提出するとし、これに対し、連合は年104日以上の休日取得を企業に義務づけることに加え、労働時間の上限設定、終業から始業まで一定の休息を確保する「勤務間インターバル制度」の導入、2週間連続の休日取得を盛り込もうと動いた。この動きをマスコミは連合が高度プロフェッショナル制度を容認したと誤報道し、混乱が生じ、連合はこの修正を撤回した。この高度プロフェッショナル制度の対象は年収1075万円以上の金融ディーラーなどが対象としているが、経団連などは総務・経理などに範囲を拡大することを課題としており、制度が導入されれば対象はいずれ拡大する。
 
トヨタはホワイトカラーの働き方改革で新制度を労組に提案した。報道によればこのトヨタ案こそが高度プロフェッショナル制度政府案より多くの点で優れていると思う。その骨子は残業時間に関係なく毎月45時間分の手当を支給するほか月45時間を超えた分の残業代も支払う。これなら「脱時間給」残業代ゼロ法案とは全く異なる。
トヨタの新制度では残業時間に関係なく月17万円(45時間分の残業代に相当)を支給する。月17万円の支給額は一般的な主任職の現行裁量労働手当の約1・5倍、一般的に残業代を追加支給しない裁量労働制とは違い、新制度は会社が勤務実績を把握し月45時間を超えた分も支払う。法律が定める裁量労働制の業務よりも幅広い事務職や技術職の係長クラス7800人を対象としている。

トヨタ労使で結んだ「36(サブロク)協定」では原則「月45時間、年360時間まで」だが、繁忙期の超過を認める特別条項付きの36協定を結んでおり、新制度はこの範囲で運用する。繁忙期に備え残業の上限時間を月80時間、年540時間に広げる方向で組合と協議する。
問題の過重労働対策については、対象者には夏季休暇や年末年始などの連休以外にも平日に5日連続の休暇取得を義務付ける。未達成の場合は翌年から対象から外れる。残業時間が一定水準を超えた場合は健康診断も受けさせる。
 
最終的な制度は今後のトヨタ労使の協議によって決まるので、これはあくまでも会社側の提案であるが、所定労働時間を守っていれば週に2時間以上出社すればよく、在宅勤務も可能とのことで、個人の自由裁量拡大が生産性向上に結びつくのではないか。
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