第一線で活躍している記者を招いての勉強会、アベノミクスの検証がテーマだが、前座ではレベルの低い国会議員の不倫報道がひとしきり話題になった。7日の昼間の民放は多くのコメンテーターを迎えて競って報道していた。こうした議員を税金で雇っていると思うとやりきれない。
しかし、本題の方は北朝鮮のミサイルに劣らず怖い話となった。アベノミクスが5年経っても財政ファイナンスで支えられて何とか持っているが、日銀所有の国債残高は466兆円に達し、更に毎年80兆円国債を買い続ける状況だ。お金を刷れば成長するという「ブードゥー経済学」は破綻している。また支えてきた日銀の異次元緩和は2%インフレの実現も先が見えないことを黒田総裁も認めざるを得ない。日本の国債残高はGDPの229.8%に達している。当初、アベノミクスに賛同していたノーベル経済学賞受賞ポール・クルーグマンも日本のような人口減少社会では不可能と兜を脱いだ。
問題は、これからどうなるかだ。経済学者を含めてこのことにはっきり言い切っているのはモルガンスタンレーでトレーダーをしていた藤巻参議院議員で、多くの著作で日本経済の崩壊と円の大暴落を主張している。講師のA氏によれば、今のままではいずれ日銀が買い支えている日本国債の暴落に始まり、円の大暴落、輸入品の暴騰からハイパーインフレになる。持っている国債は紙くず、預貯金も大幅に目減りする。メガバンクは既に国債を日銀に売り、海外債を大幅に買い込んでいる。
実はこれと同じことが70年前に起きた。1930年代後半、軍事費調達のため国債を大量発行して日銀に引き受けさせた。1945年には政府の債務は200%を超える状態であった。敗戦をむかえるや、国債は暴落、紙くず同様になり、ハイパーインフレの結果、新円切り換えで預貯金は大幅ダウンに。国民の財産は一瞬にしてリセットされてしまった。
米国、欧州は中央銀行が出口戦略で量的緩和の縮小に手を付け始めた。日銀は出口戦略については口を固く閉ざしている。