時代が変わったのだと思わせる記事が先日報道された。「東京の時給分布を見ると、07年には前年度の最低賃金719円に近い時給800円未満の人は7万2000人にすぎなかった。10年後の17年。前年度の最低(932円)に近い時給1000円未満の人は27万5000人と、4倍近くになった。最低賃金が上がるのにつれ、「壁」に張りつく人が増えている」記事では最賃が底上げされ、最賃適用者が増えていることを壁に張り付いたと表現しているが、最賃の影響力が大きくなったのだ。
1990年代、産業別最賃など上げても影響を受ける人は10%前後だったと記憶している。産別最賃より低い最賃は上げても影響を受ける人はパート、アルバイトなど少数だった。最近では全国レベルで最賃の影響力は13.8%になった。非正規労働者が増え、4割近くを占めるとなると、俄然最賃の影響力が大きくなった訳だ。生産性を上げるためにも最賃を上げろという専門家(デービッド・アトキンソン氏)が注目を集めている。最賃が経済政策の重要項目に入ってきたと言える。私はこのブログでは欧米と比較して日本の最賃の低さを問題視してきたが、最賃をテコに生産性を上げる工夫をと経営者に迫っている。
ここへ来てもう一つの時代の変化は外国人労働者の導入促進策で、見習い、教習生も全て最賃が適用されるので影響力は益々大きくなるだろう。最低賃金審議会の動向を見ると、今年も3%増と一般の賃金増2%台より上げ幅は大きくなる。内閣の方針も1000円を目指すということなので、中小企業や小売り、サービス業などはそれを前提に省力化投資増など、工夫が必要だ。基本は従業員教育で一人ひとりのマンパワーアップが要諦だ。最近の日本企業は教育不足が指摘されている。働け、早くしろといったかけ声だけでは空回りするだけ