90年代以来、賃金の改善が進まないことは米国も日本と変わらない。米国労働者の半分が年収260万円以下で、生産性向上を考えると中間層の年収は400万円くらいになっているはずであった。失業率の低下や住宅投資の回復で景気の回復が見えだした米国ではようやく所得格差がクローズアップされ、マックやウォールマートの低賃金が労組から指弾されている。
景気の行方を左右するのは個人消費であることは日本も米国も変わらない。オバマ大統領は大統領選の公約で最低賃金の改善を取り上げ、先週、連邦法上で1時間あたり最低賃金を現行の725円を10ドル10セント、1100円とする法整備を支援し、インフレにつなげたいと述べた。既にカリフォルニア州とマサチューセッツ州は、最低賃金を1時間10ドル、1000円とすることを決めた。更にワシントン市はこの数週間に、1時間12ドル50セント1250円とする内容を可決するとみられる。
我が国でもアベノミクスの成否をになうのは今後、賃金引き上げが幅広く行われ、日本でも最低賃金が1時間当たり1000円程度になるかどうかだろう。それには、これまでのごとく賞与の引き上げでお茶を濁すようなことがあってはならない。仮に2%の物価上昇率が実現したとして、賃金の引き上げがそれを上回らなければ、そして労働者の4割弱を占める非正規労働者の賃金を左右する最低賃金の改善が不充分なら、日本経済が失速することになる。
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