ここのところ、インバウンド消費が減少し、大手百貨店の売上げが落ち、地方店を撤退する動きが出てきた。この原因はごく当たり前だが、中国での関税アップもあるが、わざわざ重い土産(荷物)を持って帰るより、通販で買えるようになったということが大きい。観光客は減っていないどころか記録を更新して増えている。1~7月で見ると前年比26.7%増で、韓国、中国、マレーシア、フィリピンからは3割を超えた。
今後もアジアを中心とした観光客が増えることを念頭に長い目で対策を考えた方が良い。その背景は歴史的な転換期にあるということだ。はるか歴史を遡ぼって世界のGDPの比率推移を見ると,1830年頃まではアジアが長期間世界のGDPの50%を占めていた。アヘン戦争が起きた1841年ぐらいを境に欧州列強の植民地支配が強まり、欧州がGDP比率50%弱でアジアの比率30%前後を上回った。1950年以降第2次世界大戦で疲弊した欧州に変わり、米国がトップに躍り出たが、アジアの発展で2010年では欧州39%、米国33%、アジア29%と拮抗してきた。2015年には欧州30%,米国31%、アジア33%とアジアは復権し、2050年には欧州18%、米国23%、アジア52%と予想され確実にアジアの時代が再来する。
経済発展に従って、所得の中間層が増え、2020年には中国では9億人、インドネシアでは1億65百万人にもなると予想され、彼らは海外旅行を好む層であるが故に需要をどう取り込むかという競争になる。数字で見る限り今は日本が旅行先としてもてはやされているが、アジア諸国でも、インフラを整備し当然観光客を呼ぼうという動きになる。リピーターを如何に増やすか、知恵を絞る時代に入る。
今年スイスに旅行したとき、毎年スイスに来るという夫妻に会った。もちろんアルプスという絶対的な観光資源が主要因だが、安心して旅行できるインフラとサービスが物価の高い国へ毎年訪れる要因でもある。