行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

アジアからの観光客増の背景

2016-09-10 23:19:27 | Weblog
ここのところ、インバウンド消費が減少し、大手百貨店の売上げが落ち、地方店を撤退する動きが出てきた。この原因はごく当たり前だが、中国での関税アップもあるが、わざわざ重い土産(荷物)を持って帰るより、通販で買えるようになったということが大きい。観光客は減っていないどころか記録を更新して増えている。1~7月で見ると前年比26.7%増で、韓国、中国、マレーシア、フィリピンからは3割を超えた。
 
今後もアジアを中心とした観光客が増えることを念頭に長い目で対策を考えた方が良い。その背景は歴史的な転換期にあるということだ。はるか歴史を遡ぼって世界のGDPの比率推移を見ると,1830年頃まではアジアが長期間世界のGDPの50%を占めていた。アヘン戦争が起きた1841年ぐらいを境に欧州列強の植民地支配が強まり、欧州がGDP比率50%弱でアジアの比率30%前後を上回った。1950年以降第2次世界大戦で疲弊した欧州に変わり、米国がトップに躍り出たが、アジアの発展で2010年では欧州39%、米国33%、アジア29%と拮抗してきた。2015年には欧州30%,米国31%、アジア33%とアジアは復権し、2050年には欧州18%、米国23%、アジア52%と予想され確実にアジアの時代が再来する。
 
経済発展に従って、所得の中間層が増え、2020年には中国では9億人、インドネシアでは1億65百万人にもなると予想され、彼らは海外旅行を好む層であるが故に需要をどう取り込むかという競争になる。数字で見る限り今は日本が旅行先としてもてはやされているが、アジア諸国でも、インフラを整備し当然観光客を呼ぼうという動きになる。リピーターを如何に増やすか、知恵を絞る時代に入る。
 
今年スイスに旅行したとき、毎年スイスに来るという夫妻に会った。もちろんアルプスという絶対的な観光資源が主要因だが、安心して旅行できるインフラとサービスが物価の高い国へ毎年訪れる要因でもある。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

半年経ったマイナス金利の効果

2016-09-08 22:18:15 | Weblog
マイナス金利の狙いは円安にあったが、逆に1ドル120円が115円、106円になり,今では102円前後とこれだけ見れば失敗だった。このブログでも預金金利の低下が庶民の懐を直撃とか銀行の対抗策で各種手数料の値上げ、保険業界の業務縮小などに触れ、デフレ脱却に水をさしているのではと書いた。
 
もちろん住宅ローンの借り換えで恩恵を受けている人もいるし、近所の地方銀行では無担保で500万ならすぐ融資と宣伝し、需要喚起にマイナス金利政策が効果を生み出している。ここへ来て,20,21日に政策決定会合を開催する日銀にマイナス幅を深掘りせよという論も出てきた。黒田総裁も米国での講演でそれを否定してない。
 
しかし、マイナス金利による低金利と潤沢な異次元緩和による資金は米国でのサブプライムローンによる不動産バブルと同じような現象が見られ出した。都内では3000万円もするワンルームマンションが売れていて、売り出すとすぐ完売とのことだ。これまでワンルームマンションは相続税対策としてもてはやされていたが、今や30~40代のサラリーマンがオール借金で買っているとの報道に衝撃を受けた。動機はリタイア後の生活に不安をおぼえての対策とのことだ。大手不動産会社もワンルームマンションに参入しだし、まさにミニ不動産バブルが起きている。
 
資産運用でワンルームマンションを買っておいても、20年後、30年後まで確実に借り手がいて、相当の家賃が保証されればリタイア後の生活に活かされるが、人口減少、低成長下、大量に増えるワンルームマンションに借り手がいるか疑問だ。その場合、固定金利で借りてれば返済も可能かもしれないが変動金利だと金利が20年後にどうなっているか、老後生活が破綻するリスクが大きい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ホテル予約サイトの口コミ

2016-09-06 22:43:34 | Weblog
夏も終わり、旅行の思い出に浸っている人もいるだろう。旅行ではホテルが重要な位置を占めている。ホテルがひどいとせっかくの楽しい旅行も台無しだ。私も含めて泊まるホテルの設備だとか清潔度など、最近はホテルの予約サイトの口コミをネットでチェックすることが普通になってきた。
 
私が利用するホテル予約サイトは、Booking.com、Hotels.com、トリップアドバイザー、エクスペディアといったところだ。たいていのホテルサイトには口コミが付属している。いわゆる利用者の書き込みだ。私もよくこの口コミを読むが、最近この内容鵜呑みにできないことがあった。
 
暇なときに口コミに参加した時だ。ほめる情報は問題なく掲載されるが、サービスや設備が悪い点を指摘すると掲載されない。先日の例だと、トリップアドバイザーにシャモニーのホテルの感想を書いたが、書き直しを要求された。もちろん断ったが、内容は「ホテルアルピナの部屋に入ったら電球が2つ切れていて、朝フロントに言っておいたが、夕方に戻っても直ってない。またフロントに直せと言ったら明日の朝(出発の日)にとの噴飯もの回答、値段は高いけど昨日までのスイスのサービスの良さを認識した」といった日本だったらありえないサービスを指摘したのだが。
 
ホテルと旅行会社は持ちつ持たれつ、口コミだとか言っても差し障りのないものだけを載せている。今日の朝ドラ「とと姉ちゃん」を見て思い出した。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

不透明なアフリカ開発

2016-09-04 22:27:10 | Weblog
1993年に始まった日本主導のアフリカ開発会議(TICAD)が初めてアフリカで開催された。この種の会議はODAつまり税金をどのように配分するかということを綺麗な宣言でまとめている。今回は民間企業の投資が重きをなしつつあるが、各国が狙うのはインフラ整備だろう。しかし、日本のこれまでのODAの効果をこの機会に国民にもっと知らしめる必要があるが、その努力が足りない。私のJILAF(国際労働財団)での援助経験では今回も謳われているが人材の教育が目立たないが最も効果がある。
 
アフリカ特にサハラ以南の諸国はかつて欧州各国の植民地で、独立したときには資源を掘った穴を残し、統治機構や人材育成はゼロ状態とアフリカの人々は嘆いていた。教師を教育し学校を創り、職業訓練を施し、技能技術レベルを上げることをしてこなかったために民間企業の投資はのぞめなかった訳だ。かつては穴ほりだけだったのが今では石油の井戸を掘ることに投資が集中され外国に富が逃げているナイジェリアのような例をなくすことが必要だろう。サウジの統治機構がすぐれているとは言いがたいが、同じ石油産出国でも王家がしっかりしてた故に国民は富の分配に預かり、豊かな生活を享受してきた。最近は弊害も出ていて、若者がサービス業など仕事のえり好みをするため、失業率は40%をこえると贅沢な悩みとなっている。
 
アフリカの最大の国、南アフリカは希望の星で、ODAやJILAFも含め、多くのNGOが支援を行ってきた。金やプラチナの鉱山開発、アフリカでは珍しく自動車組み立て産業、ワイナリーなどバランス良い産業の発展で1人当たり国民所得は1万ドルを超えた。しかし現場の労働者とエリート層との格差はかつての白人黒人の格差以上になってきている。政府の中心部にいるANC(アフリカ民族会議)やそれを支える労働組合の高級幹部など富裕層と3割近くの失業者との格差は大きく、アパルトヘイトはなくなったが教育格差から貧富の格差となり、マンデラが苦労して組織したANCも国民の信頼を失いつつある。
 
いずれにしろ課題は多く、ODAの使途など透明性をどう確保できるかだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ルセフは何故弾劾されたのか?ブラジルの闇

2016-09-02 23:08:37 | Weblog
ルセフ大統領が議会の弾劾裁判で失職した。国民が選んだ大統領を少数与党の議会が弾劾をしたが、どのような不正が大統領にあったのか明確に報道されないままだ。議会のクーデターという見方もでき、マスコミを含めた旧体制勢力が貧民や労働者といった下級勢力を駆逐した疑いがぬぐいきれない。ブリュッセルに本部があるITUC(国際労働組合総連合)は次のように大統領を弾劾して自ら大統領になったテメル新大統領を非難している。

腐敗した議会によってジルマ・ルセフ大統領は弾劾され、これから企業の貪欲さが表に出て来ることを危惧する。ルセフ大統領が停職中、あまり知られてないテメル副大統領が最初にやったことは女性や人種平等、人権を担当する閣僚の罷免、そして家内労働者への賃金・年金保障と不当解雇制限を盛り込んだ2014年労働法を覆したことだ。白人だけの内閣で予算削減計画を作成していた。
テメルと24人の閣僚の内15人は腐敗の疑惑で刑事告発に直面していた。ルセフ大統領はその腐敗調査を中止することを拒んでいた。
 
新政府による政府支出や社会保障支出の制限は貧民層の生活を直撃することになる。テメル新大統領は労働法の改定や、年金制度を停止すれば今後20年間耐乏生活を強いられる。ブラジルは政治危機に直面し、政府は大企業と腐敗した富裕層以外からは信を失う。石油価格の下落で始まった経済危機も解決できない。ブラジルの全ての労働組合は労働法を弱める動きに反対する。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする