昨年来円高に振れた後、トランプ効果で一挙に円安に振れ、我が国ではもっぱら円ドルの交換レートに話題が集中した。株価がそれに連動しているから止む得ないことかもしれない。あまり注目されないニュースで通貨に関わるものがインドにおける高額紙幣の突然の廃止、中国におけるビットコインの急激な普及、そしてアフリカにおける電子マネーの普及がある。国際危機が勃発すると円が買われ、円高になる。
こうした通貨の現象は通貨を発行している又は価値を裏付けている国の信用が大きく関わっている。日本は又は日本人に対する信用が円の価値を今のところ世界で認められている証だ。インドのルピーの場合、富裕層が税金のがれで、高額紙幣を退蔵していることからモディ首相が強権を発動したわけだが、両替に長蛇の列が出来、両替の紙幣が不足したため、高額紙幣所有者が損して社会問題化している。経済成長にマイナスの影響が多少出ているが、もっと大きな影響は将来にわたりルピーへの信頼が毀損されたことだ。中国でのビットコインの普及は元の価値が昨年は下がり続け、国民が自国通貨に信頼を置けなかったことが原因だ。中国人は通貨に対し敏感で、インドと並んで金を所有することが好まれてきたが、金は通貨としては使い勝って悪く、使い勝手が最も良いビットコインに人気がでたのだろう。今年は世界一のビットコイン保有国になる可能性がある。
アフリカやアジアの途上国でカードによる電子マネーが普及しだしたのは、偽札防止でお店の方が電子マネーを選考し、消費者はおつりの心配もなく勘定が簡単だからだろう。この場合は通貨の価値や信用にはあまり問題ない。日本ではスマホ決済に見られるように電子マネーの普及は今年飛躍的に伸びるがあくまで円という通貨で決済される。一部の大手銀行では独自のネット上で決済できる通貨を考えているようで、通貨の価値を如何に保障できるかが鍵だろう。
日本の円も、1000兆円を超える国の借金がある以上何時価値が下がるか判らない。中国人のように、通貨を分散して持つことも考える時代がくるかもしれない。
良いニュース
昨日の安倍首相の新年挨拶で「今年は働き方改革断行の年だ。正規と非正規労働者の不合理な待遇の差は認めない」に答え、経済3団体の新年祝賀会などでは、長時間労働是正といった働き方改革に意欲をみせ、改革は「経営者の責務」とテレビインタヴューで答える経営者がいた。問題は実行できるかどうかだろう。伊勢丹三越は来年の元旦営業をやめると発表したが、3が日は休んで欲しい。朝ドラでは昭和25年が舞台だが、当時の商店街はきちんと正月は休んでいる。
米国CES(家電製品展示会)での発表製品でAIを組み込んだアマゾンの「Echo」や、グーグルの「Google Home」を注目したい。「ネット情報との連動」や「ワイヤレススピーカー&マイク」を組み込み、朝起きた時や出かける前に声をかけると、スマホを手にしなくても、天気や気温、交通情報などを確認できる。その日に欲しい買い物を声かけし、ボタンを押せば配達してくれる。もちろん助けてといえば警察にも連絡可能だ。スマホが使えない高齢者には良いニュースだ。
悪いニュース
オスプレイの墜落事故原因が究明されないまま、飛行再開し、かつ危険な空中給油訓練をするというニュース。安倍さんがどんなに立派なことを言ってもこれでは日本の主権国家としての面子はどうなるのか?かつての反米運動が芽生えるかも。
日本のマスコミはどうしてオスプレイの実態を報道しないのか?オスプレイは飛行機とヘリコプターの長所を組み合わせた複雑なシステムであるから、操縦にも高度な技術が必要となる。オスプレイは開発段階で4回、正式配備後は4回の重大事故を起こしており、計36人が死亡している。開発当時は「未亡人製造機」と呼ばれていたほどだった。私も一度飛んでいるのを見たが名前鷹「ミサゴ」の通り威圧感と騒音が印象的だ。近くの横田基地にも10機配備予定なので気になる。
どちらになるか判らないニュース
日本老年学会と日本老年医学会は5日、現在は「65歳以上」とされる高齢者の定義を「75歳以上」に引き上げるべきだとする国への提言を発表した。心身が健康な高年齢者が増えたためで、65~74歳は「准高齢者」とし、社会の支え手として捉え直すべきだとしている。私は准高齢者という分類になるが、自分の体力からすると賛成だが、機能年齢は10歳ぐらい幅があるので一律に扱えない。シルバーシートは65歳以上を続けてもらいたい。
例年通り、拝島大師に初詣、今年はやや人出が少ない。天気は快晴、富士山も真っ白に見えたが2017年はこれまで以上に見通しがはっきりしない。慣例の専門家元旦予測が紙面を賑わしていたが、専門家の予想もトランプ占いのごとく、20日のトランプ新大統領就任後の政策しだいで世界情勢が変わるので、明確な予想がしづらいようだ。為替レートにしても昨年は専門家の予想は120円~125円のバンドが最も多かったが、見事にはずれ円高にふれた。もしトラで、円高は加速すると専門家は予想したが、これもはずれ米国の金利上昇で11月中旬より円安になってる。
今宵、ウィーンからのニューイヤーズコンサートを聴いたが、この175年の伝統を持つウィーンフィルは世界70カ国でライブ放送している。”トランプ”占いがどうなろうと関係なく超然として毎年演奏される。優雅で平和に満ちたこのコンサートはまさにオーストリアの強力なソフトパワーで、日本でも毎年、ウィーンのどこかの管弦楽団がニューイヤーズコンサートを各地で開催している。オーストリアの音楽産業は国の大黒柱であり、観光産業も支え、トランプの政策とは関係ない。
ワルツ「美しき青きドナウ」を聴きながら、トランプ占い騒ぎを乗り越えるヒントがあると気付いた。