大相撲ファン待望の日本人横綱が誕生し、盛り上がった初場所、先ず稀勢の里におめでとう。相次いで横綱陣が負傷し、欠場で白鵬だけが頑張ったが、初顔合わせに2敗するなど調子は今ひとつだった。その中で稀勢の里の強さが目立ち、かつ元気の良い若手力士と稀勢の里と同年配の30代力士の活躍で初場所は何とか盛り上がった。
稀勢の里は風貌体つきがにくいほど強かった北の湖を思わせ、実際強いのだが、精神面と腰高で勝負に脆いところがあった。そのため、横綱昇進も最も遅い73場所でようやく実現した。この初場所では危ない場面も結構あったが落ち着いてさばき、精神面での強さが出てきた。優勝決定後、横綱昇進が協会筋から出たが、千秋楽で白鵬を破ることが必須条件だと私は思った。日馬富士、鶴竜の2横綱とは欠場してるのであたらず、白鵬に負けたら横綱を一人も倒さないことになるからだ。千秋楽の白鵬戦は立ち会いから全力を挙げて寄る白鵬を余裕で突き落とした。稀勢の里の強さが出た一番で新たな横綱誕生を見せつけた。30歳で横綱なのでどのくらい持つかということだが、同世代の現横綱が衰えを見せているので、次の若手横綱誕生まで頑張ってもらいたい。
今場所は稀勢の里だけでなく30代力士の活躍が目に付いた。30代場所と言っても良いくらいだ。玉鷲(9勝6敗)の馬力の強さ、豪風(10勝5敗)のうまさ、技能賞に輝いた蒼国来(12勝3敗)はかつて賭け相撲の嫌疑をかけられそこからはいあげって来た。33歳での初3賞受賞は歴史に残る特筆ものだ。馬力で横綱白鵬をやぶった貴ノ岩(11勝4敗)は殊勲賞を勝ち取った。これら30代力士の活躍がなければつまらない初場所になっていた。
これからは御嶽海(11勝4敗、技能賞)に代表される若手と30代力士の対決が楽しみだ。