AIIBは中国版列島改造計画?
今の若い人には日本列島改造論といってもピンとこないかもしれない。善し悪しは別として1972年日本の歴史に輝く田中角栄元首相が唱え実際実行したインフラ投資で、日本列島に新幹線網、高速......
華々しく発足したが1年間でアジア投資銀行(AIIB)の決定した融資はシルクロード鉄道、パキスタンなど9件、総額17億3000万ドル(約2000億円)と、日本主導のアジア開発銀行(ADB)の10分の1以下で、しかも単独案件はたったの3件、合計4億6600万ドル(約500億円)しかない。その他の6件はAIIBの単独プロジェクトではなく、ADBか世界銀行と組んで実行している。原因は中国からの資金が流出していることもあるが思うように資金が集まらないのと国際プロジェクトをこなす人材が集まらないことにあるようだ。
そして難問はトランプ大統領の貿易政策だ。ダボス会議に出席した習近平席は「世界はテロや難民問題などに直面し、不確実性が増している。しかし、金融危機も含め、問題のすべてを経済のグローバル化がもたらしたわけではない、保護主義に反対する。貿易戦争をすれば、結局は双方が負けることになる」と強調し、「アメリカ第一主義」を掲げて保護主義的な姿勢を見せるトランプ次期大統領をけん制したとのNHKの報道。これに対してニューヨークタイムスは国内でインターネットの規制を強化し、市民を締め付け、それを擁護しようとする弁護士を拘留し、司法の独立を否定している国の指導者が自由貿易を唱えるとはと皮肉っている。こうしたおっかない状態ではAIIBの本部北京で働こうという金融マンはいないだろう。
習近平中国にとって台湾問題がむしかえされ、最大の貿易相手国しかも最大の外貨を稼ぐ相手トランプ政権とどう接して行くのか、20日以降最大のピンチをむかえる。