行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

移民制限は米国の成長力を削ぐ

2017-09-08 11:49:57 | Weblog
先日、幼少期に親に連れられて米国に不法入国した若者(ドリーマー)を対象に強制送還を免除する措置「DACA(ダカ)」についてトランプ米政権が撤廃する方針を示し、IT産業が猛反発した。マイクロソフト、グーグル、ウーバー等名だたる企業のCEOはインドやイランからの移民だから、特にこの措置は競争力を失うとして即反発した。アップルには250人、マイクロソフトには38人のドリーマーがいる。
 
免除対象となってきたドリーマー80万人近くに影響が及ぶとみられ、ニューヨーク州など全米15州と首都ワシントンの司法長官は6日、決定の取り消しを求めて訴訟を起こした。ニューヨーク州のシュナイダーマン司法長官は、「移民はニューヨーク州にとっての活力源だ」と指摘。DACA廃止の決定は「残酷で非人道的だ」と批判した。
 
私は、米国経済の活力は毎年300万の移民労働者が源と聞いていた。当然競争が激しく、プア白人が生まれることは否定できない。トランプを支持した層だからこの措置には拍手を送っているだろう。しかし、米国で育った80万人の若者はIT業界では必要な人材だ。ハリケーン災害での人命救助の英雄もその対象と報じられている。
豪州もかつて白豪主義を取っていたが、国の活力がなくなると考え、70年代に方針転換、積極的にアジアからの移民を受け入れ、26年間不況知らずの成長を遂げている。
 
トランプ以上に移民制限をしている日本、人口減社会でどう活力ある社会を作るか思案のしどころだ。
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年金生活者今月のワイン

2017-09-06 22:51:13 | Weblog
1000円前後のカベルネソービニヨンはブログで何回か紹介した定番のオーストリア産イエローテイルがある。パリでもソウルでもスーパーに行けば売っている。同じ葡萄品種でもこうも味が違うかというワインをヨーカドーで見つけた。それはフランスのランドックルーションの小さな村?ペイドック生まれのカベルネソービニヨンだ。このロシェ・マゼは2015年産の若いワインだが、重さ、渋さ、バランスが取れており、まろやかで、フランスワインという香りがする。格付けはボルドーのような上級ワインAOPではなくワンクラス下のIGPだが、氏素性もはっきりしておりコスパは良くお得感がある。ロシェ・マゼ、カベルネソービニヨンは今月のワイン一押しだ。

注、フランスワインの格付けは2009年からはEUの規定の変更により、3カテゴリーに分類されなおした。以前のAOCはAOP「Appellation d'origine protégée」となり、訳すと「原産地呼称保護ワイン」で特定の産地で生産される上級ワインを指し、地域や品種など細かく定められている。以前のVin de PaysはIGP「Indication géographique protégée」、訳すと「地理的表示保護ワイン」となり、品種、地域などが定められている。一番大衆的な「Vin de table」は特定の生産地域の表示がないテーブルワインとなり、これは以前と変わりない。
 
白ワインはヨーカドーにメルシャン・ワールドセレクションシリーズでオーストラリア産シャルドネが登場した。シャブリを頂点とするシャルドネはワンコインで買えるチリ産も豊富でこのレベルではどれを飲んでも差はないが、このメルシャンシャルドネは537円にしては辛口で色はやや濃く、寿司に負けない味がする。
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企業の業績好調だが労働分配率の下げは止まらない

2017-09-04 23:06:39 | Weblog
財務省の4~6月の法人企業統計調査(資本金1000万円以上)によると、売上高は前年同期比で6.7%の伸びだが、経常利益は22.6%も伸び、四半期ベースで最高益だ。それなのに企業の利益のうち労働者の取り分を示す労働分配率が下げ止まらない。資本金10億円以上の大企業の分配率は43.5%(前年度平均で44.4%)だった。高度経済成長期だった1971年1~3月以来、約46年ぶりの低水準を記録した。人件費は前期比1.7%増と増えているものの、賃上げが少なすぎた結果だ。資本金10億円未満の中堅・中小企業の労働分配率は69.8%で、これも92年7~9月以来の低さとなった。
 
16年度の内部留保は400兆円を突破し、過去最高を更新してるがその勢いは衰えず、自己資本比率は42.7%と前年同期の41.5%を上回っている。経常利益率で資本金10億円以上の大企業は10.6%と特に好調で、1億円~10億円の企業は3.9%、1000万円以下の企業は4.4%と、いずれも前年同期の9.4%、3.6%、4.4%を上回っている。この統計では設備投資は製造業で前年同期比マイナス7.6%と最高益下で設備投資減という信じられない内容で、日本の経営者は何を恐れているのだろう?ゼロ金利下、貯め込んでも何も生み出さないし、景気は下降する。
 
注、労働分配率は付加価値額に対する賃金などの割合で表す。付加価値額は人件費や経常利益、減価償却費、支払利息等を合計した。季節性をならすため過去4四半期の平均をとっている。
 
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北朝鮮ミサイルとJアラート、政府の説明不足に尽きる

2017-09-02 23:21:38 | Weblog
Jアラートが北朝鮮ミサイル飛翔で当該自治体がJアラートを発信したが、Jアラートのシステム上、当然のことであってそのことを批判するは筋違いだ。対象住民は確かにミサイルの場合は地震と違って、どこへ逃げたら良いのか判らなかったし、私でも近くの避難場所である小学校へ行くか窓の小さい部屋に籠もることになる。
 
日経ビジネスで解説している専門家によると「①弾道ミサイル発射直後、まずは赤外線センサーを搭載した米軍の早期警戒衛星が、ミサイル発射に伴って発生した地表面でのロケットエンジンの熱源を感知し、「弾道ミサイルが発射された」という事実を速やかに米軍の指揮管制システムに伝達する。②米軍は日本に配備中の米陸軍のXバンドレーダーで宇宙空間に向かって加速を続けるミサイルの追尾を開始する。同時に弾道ミサイルの撃墜に必要となる詳細なデータを得ることができる。③また、近海に配備中の米海軍イージス艦もSPY-1レーダーにより追尾を開始する。これら米軍の情報は、日本の自衛隊とも共有される。④日本は、米軍から弾道ミサイルが発射されたという早期警戒情報を得た後、航空自衛隊の警戒管制レーダー(FPS-5およびFPS-3改)および近海に展開する海上自衛隊のイージス艦のSPY-1レーダーにより、当該弾道ミサイルの追尾を開始。撃墜のための射撃に備え、日本の自動警戒管制システム(JADGE:Japan Aerospace Defense Ground Environment)に目標情報を伝達する」
 
政府は少なくとも③の段階で、今回のミサイルは日本の上空500kmのところをミサイルが通過することと、津軽海峡はるか上空という進路を把握したのだろう。これは後の会見で日本が目標ではないことは判っていたので迎撃しなかったと発表したことから判る。軍事機密に属することだからか?マスコミが忖度して聞かないのか?アラートを鳴らしたときに政府は自治体に少なくとも「ミサイルは日本のはるか上空を飛翔するので、日本領土には落ちてこないが部品ぐらいは落ちるかも」ぐらいの情報は伝達すべきだった。そうすれば、住民の不安も大きくならなかった。説明不足のアラートは不安を煽るばかりだ。
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