アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

フィギュアスケーターの中で最もショパニスト

2023年12月13日 | ピアノ
題名のない音楽会「フィギュアスケートの見方が変わる音楽会」というのがあったのですがご覧になりました?

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たいへん興味深い回でした。フィギュアスケートの名演技を題材に、それに合わせて「生」演奏をするという趣向で、浅田真央さん、町田樹さん、羽生結弦さん、荒川静香さんの演技が取り上げられていました。

フィギュアスケートによって音楽を表現するというのは、「拍子に合わせて動きがある(いわゆる「拍子をとる」)」というだけのことではないんです。もっと…音楽の流れ、あるいは思想や感情までもがそのまま形になって表れたような…まぁもちろんたいへん優れたフィギュアスケーターが滑ったら、ということですが。素人が演技を見ているとき、つい目にとまるのは手・腕の動きのほうだったりしますが(それも重要ですが)、第一には「滑った軌跡、形」が音楽の表現であります。まさにフィギュア。



番組で取り上げられた一つ目の演技は浅田真央さんの
ショパン/ノクターンOp.9-2
でした。

ショパンは、音楽は他の芸術と結びつくことなく音楽だけで独立すべき(絶対音楽)ということにこだわった作曲家だといわれていますが、ショパンでもこのスケーティングならいいねといってくれるのでは? と思うほど自然に音楽に沿って滑らかな、この有名なノクターンそのものの動きに見えました。

町田樹「浅田さんはフィギュア界のショパニスト」

フィギュアスケートは芸術であると同時に採点競技でもあるので、ジャンプとかスピンとか、難易度の高い技を組み込んでいかなければいけないわけですが、そういった要素であっても音楽の流れを邪魔することなく、滑らかに挿入されていて音楽が引き立つというところがほんと素晴らしいです。準備して準備して…せーの、よいしょ!! あぁ飛べたー!! ってのとは次元が違うのです。

次元が違うといえばまさに羽生結弦さんの演技は音楽との合い方がありえんレベルになっています。羽生さんは特に、ピアノの音のアタックより後の「伸び」の部分(よくいわれる「母音」)を表現するのがうまいと町田さんがコメントしていました。表現の細やかさ緻密さが際立っていて、浅田さんの演技とはまた少し方向性が違うように思いましたが、とにかく滑らかなスケーティングと、そこに馴染んで繰り出される技が表現を支えている点は浅田さん羽生さんに大きな共通点がありますね。

ただ、番組をみていてちょっと思ったのですが、なにしろ演技に合わせてピアノ演奏をする趣向なものですから、ショパンのノクターンならゆったりした曲で合わせやすい(ごくわずかなずれは見えにくい)からともかく、羽生さん演技の「秋によせて」のほうでは、音楽とスケーティングにごくわずかのずれ、違和感がありました。ほんとにごくごくちょっとしたものなのですが、羽生さんの演技ではその違和感はまったく感じないので、たぶん曲をかけて競技している最中の羽生さんの「合わせ精度」はこんな…今回の番組中のピアニストが映像に合わせて弾くような…レベルのものではないのでしょうね。


四人のフィギュアスケーターによる「音楽表現」を見ていてあらためて思ったのですが、私が昔、レッスン中、「どういうふうに弾きたいの」と問われて答えに窮していたような具体的な妄想などではなくて、フィギュアスケーターが描く弧線のようなイメージが持てていれば「音楽表現」としては十分な…聞いてて退屈ではない演奏ができるのではないでしょうか? 素晴らしいスケーターの演技を見ていたらたぶん、平板でない演奏をする助けになるんじゃないかな。そういう意味で参考になるほどクオリティの高い演技は数が限られると思うけれど。

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