NHKで「AIに聞いてみた どうすんのよ!?ニッポン」という番組があったそうで、番組は見てないんだけど、公式ページにこうある。
←騙されるほうが悪いんですか!?
AIの分析結果から読み解いた提言
01 健康になりたければ病院を減らせ
02 少子化を食い止めるには結婚よりもクルマを買え
03 ラブホテルが多いと女性が活躍する
04 男の人生のカギは女子中学生のぽっちゃり度
05 40代ひとり暮らしが日本を滅ぼす
なかなか聞き捨てならない提言であるが…「40代ひとり暮らしが日本を滅ぼす」とか…いったいなんでそんなことが言えちゃったのかというと、AIくんは膨大なデータをインプットされ、
「見えてきたのは、思いもよらないデータどうしが連動し、日本を動かしていたという事実。」
要するに人間が気がつかないようなところにも相関関係を見出すことができるということ。
しかし、相関関係と因果関係は違うってのが統計を扱うときのイロハのイであって、たとえば
「ある病気の死亡者数と、その年のアイスクリームの売り上げに相関関係があった」という場合に
じゃ、アイスクリームの製造販売を禁止したらその病気を防げるのでは!?
とか思うと、単に夏が暑い年はアイスクリームも売れるしその病気も流行る、なんてことであればアイスクリームを禁止しても別に効果はないわけだ。まぁそんな感じ。
天下のNHKさんはまさかそこいらへんを勘違いしているのか?? と思うとどうもそうではないらしくて
「AIは、残念ながら因果関係は提示してくれません。このネットワーク構造を人間が読み解き議論することで、社会問題の背景を考え、解決の糸口を探ろうというのが番組の趣旨です。番組で紹介した"AIの提言"は、このような形で、AIが出してきた分析結果を人間が読み解き平易な言葉で表したものです。」
人間が「読み解き」って、結局のところNHKさんが勝手にセンセーショナルな言葉で因果関係方向にミスリードする提言をでっちあげただけじゃないすか。ほんと人騒がせな。上記のような断り書きを入れておいたからって免罪されると思ってんの?? 実際、番組中、東京都荒川区の行政担当者に取材して、40代ひとり暮らしを減らすにはどうしたらいいと思うかみたいなコメントを取ったりする映像を流せば、そりゃ変な誤解する人も大量発生するだろう…っていうか明らかに狙ってますよね?
論文なら査読があって、あんまりな展開だと突っ込まれるけれど、マスコミがこういうことやってもノーチェックで、どんだけの人が誤解しようが責任取らない。それにしても、NHKが風評を流すことになんの利益があるんだ。何がしたいのかわからん。番組がおもしろきゃいいのか?? そんな態度の癖に受信料で運営する意味あんの??
とにかく、世の中、統計を使ってもっともらしく人々をだまそうとしている人はゴマンといるので、やはりどうしても基本的なリテラシーとして、「相関関係と因果関係は違う」ってことくらいはよーくよーく理解しないと義務教育終わらないくらいにしてほしいものだ。
図書館で先日借りた本「がん検診の大罪」(岡田正彦)は、タイトルがなんかトンデモ本っぽい雰囲気だけど(^^;; 中身はすごくまじめな本だった。
まず最初の一章まるまる使って、統計で確かなことを言うためにはどう調査してどうまとめなきゃいけないか(というか、統計で人を騙す手口)について詳しく語り、そのあと「メタボ検診」「薬」「がん検診」の各章に入っていく。
そういった実際的な問題になると、上記のアイスクリームくらいの話よりもっとずっと複雑で、いろんな「嘘のつき方」が入り混じってくるのだけど、いろいろな論文の元のそのまた元に当たり、どの調査がどのくらいちゃんとしていたか丁寧に検討されていてたいへん興味深い。実際のところ、どのがん検診を受けるべきかとかは直接読んでいただくとして、なかなかややこしいなと思った事例をひとつご紹介。
うちの子たちが赤ん坊のときもあったけど「神経芽腫検診」って、おしっことって送るやつ。
簡便な検査だから検査そのものの害、というのはないけど2003年に中止になってます。
あれは幼い子どもがかかるがんで、これを手遅れにならずに見つけられるならイイ話。
大規模に検診をやってみたらば、推定されてた患者数の倍くらいの早期がんがみつかった。
なんで倍もみつかるんだ、といえば放置すると勝手に治ってしまい気づかれないものが混ざってる、と思えば別に不思議ではなく、その人たちに利益はないが、それでもほっとくと死ぬケースが助かるならいいよね。
ところがいくら検診をやってもなぜか死亡率は低下せず、いったいなぜ??
というと、神経芽腫を起こす遺伝子に二種類あり、
・片方は自然に治るタイプ
・片方は悪性度が高いタイプ
だが、尿中に異常な物質が出る(検査にかかる)タイプは前者だったという笑えないオチ。
うちの子たちはスクリーニングでひっかからず、おしっことる以外は何もしてないから問題なかったけど(ほとんどの人はこれ)、たまたまひっかかって不必要な検査や手術をした人には大きな害があった(病気では死なないのに手術で死ぬ場合も)。
つまり、何人に検査したら何人にがんが見つかったよ、というだけではその検査が役に立つとまでは言えず、特にその検査自体に害がある(放射線を浴びるなど)場合はちゃんと得がなくちゃ受けたくないわけで。
たとえば何か症状があって(高血圧とか何か)、それを抑える薬があって、確かにそれは効いている(血圧が下がるとか)けど、実は副作用もあって総死亡率が下がらないとか。
話が「薬」とかの場合は、前述のNHKとは違って明確に経済的動機があるので、「騙し」にもさらにリキが入ってきたりする。自分の身を守れるのは自分だけ。騙しのテクニックについてはしっかり勉強しておくのが吉です。しかしいちいち元論文にあたるとかやってるほど誰も暇じゃないんだよね…
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「はじめての中学受験 第一志望合格のためにやってよかった5つのこと~アンダンテのだんだんと中受日記完結編」ダイヤモンド社 ←またろうがイラストを描いた本(^^)
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01 健康になりたければ病院を減らせ
02 少子化を食い止めるには結婚よりもクルマを買え
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04 男の人生のカギは女子中学生のぽっちゃり度
05 40代ひとり暮らしが日本を滅ぼす
なかなか聞き捨てならない提言であるが…「40代ひとり暮らしが日本を滅ぼす」とか…いったいなんでそんなことが言えちゃったのかというと、AIくんは膨大なデータをインプットされ、
「見えてきたのは、思いもよらないデータどうしが連動し、日本を動かしていたという事実。」
要するに人間が気がつかないようなところにも相関関係を見出すことができるということ。
しかし、相関関係と因果関係は違うってのが統計を扱うときのイロハのイであって、たとえば
「ある病気の死亡者数と、その年のアイスクリームの売り上げに相関関係があった」という場合に
じゃ、アイスクリームの製造販売を禁止したらその病気を防げるのでは!?
とか思うと、単に夏が暑い年はアイスクリームも売れるしその病気も流行る、なんてことであればアイスクリームを禁止しても別に効果はないわけだ。まぁそんな感じ。
天下のNHKさんはまさかそこいらへんを勘違いしているのか?? と思うとどうもそうではないらしくて
「AIは、残念ながら因果関係は提示してくれません。このネットワーク構造を人間が読み解き議論することで、社会問題の背景を考え、解決の糸口を探ろうというのが番組の趣旨です。番組で紹介した"AIの提言"は、このような形で、AIが出してきた分析結果を人間が読み解き平易な言葉で表したものです。」
人間が「読み解き」って、結局のところNHKさんが勝手にセンセーショナルな言葉で因果関係方向にミスリードする提言をでっちあげただけじゃないすか。ほんと人騒がせな。上記のような断り書きを入れておいたからって免罪されると思ってんの?? 実際、番組中、東京都荒川区の行政担当者に取材して、40代ひとり暮らしを減らすにはどうしたらいいと思うかみたいなコメントを取ったりする映像を流せば、そりゃ変な誤解する人も大量発生するだろう…っていうか明らかに狙ってますよね?
論文なら査読があって、あんまりな展開だと突っ込まれるけれど、マスコミがこういうことやってもノーチェックで、どんだけの人が誤解しようが責任取らない。それにしても、NHKが風評を流すことになんの利益があるんだ。何がしたいのかわからん。番組がおもしろきゃいいのか?? そんな態度の癖に受信料で運営する意味あんの??
とにかく、世の中、統計を使ってもっともらしく人々をだまそうとしている人はゴマンといるので、やはりどうしても基本的なリテラシーとして、「相関関係と因果関係は違う」ってことくらいはよーくよーく理解しないと義務教育終わらないくらいにしてほしいものだ。
図書館で先日借りた本「がん検診の大罪」(岡田正彦)は、タイトルがなんかトンデモ本っぽい雰囲気だけど(^^;; 中身はすごくまじめな本だった。
まず最初の一章まるまる使って、統計で確かなことを言うためにはどう調査してどうまとめなきゃいけないか(というか、統計で人を騙す手口)について詳しく語り、そのあと「メタボ検診」「薬」「がん検診」の各章に入っていく。
そういった実際的な問題になると、上記のアイスクリームくらいの話よりもっとずっと複雑で、いろんな「嘘のつき方」が入り混じってくるのだけど、いろいろな論文の元のそのまた元に当たり、どの調査がどのくらいちゃんとしていたか丁寧に検討されていてたいへん興味深い。実際のところ、どのがん検診を受けるべきかとかは直接読んでいただくとして、なかなかややこしいなと思った事例をひとつご紹介。
うちの子たちが赤ん坊のときもあったけど「神経芽腫検診」って、おしっことって送るやつ。
簡便な検査だから検査そのものの害、というのはないけど2003年に中止になってます。
あれは幼い子どもがかかるがんで、これを手遅れにならずに見つけられるならイイ話。
大規模に検診をやってみたらば、推定されてた患者数の倍くらいの早期がんがみつかった。
なんで倍もみつかるんだ、といえば放置すると勝手に治ってしまい気づかれないものが混ざってる、と思えば別に不思議ではなく、その人たちに利益はないが、それでもほっとくと死ぬケースが助かるならいいよね。
ところがいくら検診をやってもなぜか死亡率は低下せず、いったいなぜ??
というと、神経芽腫を起こす遺伝子に二種類あり、
・片方は自然に治るタイプ
・片方は悪性度が高いタイプ
だが、尿中に異常な物質が出る(検査にかかる)タイプは前者だったという笑えないオチ。
うちの子たちはスクリーニングでひっかからず、おしっことる以外は何もしてないから問題なかったけど(ほとんどの人はこれ)、たまたまひっかかって不必要な検査や手術をした人には大きな害があった(病気では死なないのに手術で死ぬ場合も)。
つまり、何人に検査したら何人にがんが見つかったよ、というだけではその検査が役に立つとまでは言えず、特にその検査自体に害がある(放射線を浴びるなど)場合はちゃんと得がなくちゃ受けたくないわけで。
たとえば何か症状があって(高血圧とか何か)、それを抑える薬があって、確かにそれは効いている(血圧が下がるとか)けど、実は副作用もあって総死亡率が下がらないとか。
話が「薬」とかの場合は、前述のNHKとは違って明確に経済的動機があるので、「騙し」にもさらにリキが入ってきたりする。自分の身を守れるのは自分だけ。騙しのテクニックについてはしっかり勉強しておくのが吉です。しかしいちいち元論文にあたるとかやってるほど誰も暇じゃないんだよね…
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