伊藤比呂美さんという詩人をご存知でしょうか? 私、ふだん詩とか読まないのになぜこの人が馴染み深い気がするのかといえば…
←これがわかればだいたいオッケー(←雑)
「おなかほっぺおしり」という育児エッセイがありまして、昔、愛読していたんですよ。
自分の子供が小さい(というか赤ん坊)のころに、そういう子供を育てているエッセイを読む、というとこちらとしてはなんだか同時代的な気持ちを持ってしまいますが、執筆から出版まで多少のタイムラグがあるわけですから、実際には伊藤さんのほうが私より少し上の世代ということになります。
久々に懐かしい名前を見つけて購入したのが
「ショローの女」
というエッセイ。伊藤さんの六十代前半の生活を綴ったものです。伊藤さんももうそんなお年なのねぇ。「予習」にちょうどいいか、そんな感じです。
ちょっと驚いたのですがこの中に、ピアノの教室に通った話が出てくるんです。え、音楽好きな方でしたっけ
…実は、伊藤さんは音楽好きな方であって、時期によって聞く音楽のジャンルは違うけれども、一日中聞きまくっていたりしたのだそうだ。知らなかった。知らないのもそのはず、「音楽についてなんにも書けない。書いたこともない。」だけど、なぜ書けないのか、それがずっと心にわだかまっていたそうなのだ。
それが、60歳を過ぎて一念発起して、教室に通い始めた。これだけでもすごいんだけど、また驚くことに、ピアノ教室に通いながらまったくピアノを弾くつもりがないという…えっなにソレ
「間違えたり、うまく弾けなかったりして、緊張したり、まごついたりするのはもうこりごりなんです。さんざんやってきたんで、この年になってまでやりたくないんです」
だけど音楽の「きほん」が知りたいと。先生も困るだろうけど…
しかしその先生は、バッハのインベンションとかを題材に教えてくれたそうだ。テーマごとに同じ色のえんぴつで線を引いたりして、それが互いに被さってくる…また同じ色が出てくる…そうやってみると、聴いて知ってたインベンションとはずいぶん違っていて、「まるで古い語り物やもっと動的なもの、たとえばダンス音楽、といえばズンバだが、踊る肉体や踏むステップ、あるいは表情や手振りでキレよく語られる落語、そんなものを見ているように思えた」
構造、仕組み、そんな話を聞くことで、これまで何度も聞いたことのある音楽でも、聞こえ方が変わってくる。よりおもしろくなってくる。
それなら、ピアノが弾けるようにならないにしても、人生の豊かな学びといえるでしょう。先生、いい仕事してます。
特に、伊藤さんが「度肝を抜かれた」というのが、「この音は終わりたがっている」と先生がいったとき。
たぶんだけど、ここを今読んでいるみなさんはすべてこの言葉の意味が既にわかっていますよね? でもそれって当たり前のことではないし、なんならピアノ(の弾き方)をちょちょっと習っていても、当たり前ではないのかもしれない。
私も、このことがわかった…単に知ったのではなく実感して「ウォーター!!(←ヘレンケラーの逸話にあるやつ)」になったときの感動をしっかり覚えている。
(過去記事参照「妄想しなくても表現はできる」
または「和声がわかるとピアノがどうイイ感じになるのか説明してみた」)
教室に通ったのは一年ほどだそうだけど、これからまだ長い(たぶん)人生の中で、宝物のひとつになったことでしょう。せっかく、音楽聞くのは元々好きなんだから。
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「おなかほっぺおしり」という育児エッセイがありまして、昔、愛読していたんですよ。
自分の子供が小さい(というか赤ん坊)のころに、そういう子供を育てているエッセイを読む、というとこちらとしてはなんだか同時代的な気持ちを持ってしまいますが、執筆から出版まで多少のタイムラグがあるわけですから、実際には伊藤さんのほうが私より少し上の世代ということになります。
久々に懐かしい名前を見つけて購入したのが
「ショローの女」
というエッセイ。伊藤さんの六十代前半の生活を綴ったものです。伊藤さんももうそんなお年なのねぇ。「予習」にちょうどいいか、そんな感じです。
ちょっと驚いたのですがこの中に、ピアノの教室に通った話が出てくるんです。え、音楽好きな方でしたっけ
…実は、伊藤さんは音楽好きな方であって、時期によって聞く音楽のジャンルは違うけれども、一日中聞きまくっていたりしたのだそうだ。知らなかった。知らないのもそのはず、「音楽についてなんにも書けない。書いたこともない。」だけど、なぜ書けないのか、それがずっと心にわだかまっていたそうなのだ。
それが、60歳を過ぎて一念発起して、教室に通い始めた。これだけでもすごいんだけど、また驚くことに、ピアノ教室に通いながらまったくピアノを弾くつもりがないという…えっなにソレ
「間違えたり、うまく弾けなかったりして、緊張したり、まごついたりするのはもうこりごりなんです。さんざんやってきたんで、この年になってまでやりたくないんです」
だけど音楽の「きほん」が知りたいと。先生も困るだろうけど…
しかしその先生は、バッハのインベンションとかを題材に教えてくれたそうだ。テーマごとに同じ色のえんぴつで線を引いたりして、それが互いに被さってくる…また同じ色が出てくる…そうやってみると、聴いて知ってたインベンションとはずいぶん違っていて、「まるで古い語り物やもっと動的なもの、たとえばダンス音楽、といえばズンバだが、踊る肉体や踏むステップ、あるいは表情や手振りでキレよく語られる落語、そんなものを見ているように思えた」
構造、仕組み、そんな話を聞くことで、これまで何度も聞いたことのある音楽でも、聞こえ方が変わってくる。よりおもしろくなってくる。
それなら、ピアノが弾けるようにならないにしても、人生の豊かな学びといえるでしょう。先生、いい仕事してます。
特に、伊藤さんが「度肝を抜かれた」というのが、「この音は終わりたがっている」と先生がいったとき。
たぶんだけど、ここを今読んでいるみなさんはすべてこの言葉の意味が既にわかっていますよね? でもそれって当たり前のことではないし、なんならピアノ(の弾き方)をちょちょっと習っていても、当たり前ではないのかもしれない。
私も、このことがわかった…単に知ったのではなく実感して「ウォーター!!(←ヘレンケラーの逸話にあるやつ)」になったときの感動をしっかり覚えている。
(過去記事参照「妄想しなくても表現はできる」
または「和声がわかるとピアノがどうイイ感じになるのか説明してみた」)
教室に通ったのは一年ほどだそうだけど、これからまだ長い(たぶん)人生の中で、宝物のひとつになったことでしょう。せっかく、音楽聞くのは元々好きなんだから。
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