「何だその態度は!馬鹿にしているのか小僧!」
これは明らかに勘違いしているようだと判断したハリーが、いつもの癖で左手を覆う革製の手甲に右手をやりながら口を開きかけると、それよりも早く、今の今まで無言のままハリーの背後で道を塞いでいた大男が、やかましく喚き散らす優男に向かって言った。
「おい、ギリアム」
「何だザロン!こんな礼儀知らずの小僧に情けは無用だぞ!」
「”小僧”では、ないと思うのだが」
「ああ?帯剣してりゃ立派な男だとか、そんな意味で言ってるのか?」
「いや…… 普通は年頃の娘子を”小僧”とは呼ばないと思うのだが」
「娘子?」
一瞬だけ呆けたような表情になってから、ギリアムと呼ばれた優男はまじまじとハリーを眺め回し、ようやく自分の間違いに気付いたように顔を真っ赤にして叫んだ。
「小娘が紛らわしい格好してるんじゃねえよ!」
小僧の次は小娘呼ばわりしてくる相手の発言に、普段は滅多に怒らないハリーも流石に腹に据えかねて、その青い瞳で優男を真っ直ぐに見据えて名乗りを上げることにする。
「小娘ではありません、私は辺境自治領ローランドの第一公女、ハリエッタ。
普段はハリーと呼ばれておりますので、そう呼んで下さっても結構です」
「誰が呼ぶか!この小娘!」
これは明らかに勘違いしているようだと判断したハリーが、いつもの癖で左手を覆う革製の手甲に右手をやりながら口を開きかけると、それよりも早く、今の今まで無言のままハリーの背後で道を塞いでいた大男が、やかましく喚き散らす優男に向かって言った。
「おい、ギリアム」
「何だザロン!こんな礼儀知らずの小僧に情けは無用だぞ!」
「”小僧”では、ないと思うのだが」
「ああ?帯剣してりゃ立派な男だとか、そんな意味で言ってるのか?」
「いや…… 普通は年頃の娘子を”小僧”とは呼ばないと思うのだが」
「娘子?」
一瞬だけ呆けたような表情になってから、ギリアムと呼ばれた優男はまじまじとハリーを眺め回し、ようやく自分の間違いに気付いたように顔を真っ赤にして叫んだ。
「小娘が紛らわしい格好してるんじゃねえよ!」
小僧の次は小娘呼ばわりしてくる相手の発言に、普段は滅多に怒らないハリーも流石に腹に据えかねて、その青い瞳で優男を真っ直ぐに見据えて名乗りを上げることにする。
「小娘ではありません、私は辺境自治領ローランドの第一公女、ハリエッタ。
普段はハリーと呼ばれておりますので、そう呼んで下さっても結構です」
「誰が呼ぶか!この小娘!」