子供のいない夫婦が小さな揺り籠のペンダントを手に入れた。ある日妻が何の気なしに揺り籠の蓋を開けると黄金色に輝く赤子が納まっていたので反射的に蓋を閉めた。やがて子供を身ごもった妻が再び蓋を開けた時に赤子の姿はなくなっていて、やがて私が産まれたと母は微笑んで言った。
子供のいない夫婦が小さな揺り籠のペンダントを手に入れた。ある日妻が何の気なしに揺り籠の蓋を開けると黄金色に輝く赤子が納まっていたので反射的に蓋を閉めた。やがて子供を身ごもった妻が再び蓋を開けた時に赤子の姿はなくなっていて、やがて私が産まれたと母は微笑んで言った。
これで宝物を探そうと目を輝かせながら鎖の付いた水晶を私に見せてきた彼は、神妙な表情で鎖を垂らして水晶の動きを目で追う。すると水晶は揺れ出し、やがて大きく回り始めた。けれど、何かがあるとその場を掘ってもワクワクするようなものは何も見つからず、その度に落胆する彼だったが、私と一緒に宝探しをすると何故か必ず水晶が回るのだ。
例え道端の石ころであろうと、自分が似合うと思うのならこの宝石箱に収めればいいと母は言った。ただし、このちっぽけな棺にも似た空間に相応しいのは決して埋葬される事の無い不死と永遠を体現するもの、時を経ても尚その姿を変える事を拒むもの、人の暦では測れない時を刻むものであると。
最近は秘密結社と言っても結社の存在そのものが秘密なのではなく、組織内の重要儀式が門外不出の秘伝とされているだけだと彼は言い、私は元よりそう言う事を気にしないので彼がそんな結社の一員だと聞いても気にせず結婚した。そもそも、きっと誰だって自分の中に何らかの秘伝を隠している。