事故で左眼を失った伯母様と再会した日、とても精巧な義眼が左眼に嵌っていたので、その眼は視えるのですかと馬鹿なことを尋ねてしまった。すると伯母様は微笑みながら、この瞳で再び視えるようになったのは私ではなく、今まで存在していた私の瞳を見失った周りの人々なのよと言った。
よく目は心を映し出す鏡と言われるけど、義眼を見ても明確な意志を感じないのは人間の眼窩に嵌っていないからかな、などと不気味な事を彼は言ったが、そもそも鏡に明確な意志は無い。映るのは鏡を覗き込んだ己の姿でしかなく、そこに化け物が映っていたら後はもう狂うしかない。