カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

春の創作怪談・色付く布地

2021-05-03 17:25:43 | 名探偵の解答

 自分で図案を描いたはいいが、あまりの難しさに挫折して刺繍枠にセットしたままだった刺繍が何故か日ごとに進んでいる。ただ、最近の私は殆ど外に出ない生活を送っているので、その刺繍が生きている人間の仕業とは思えなかった。それでも気を取り直してよく観察してみると配色は微妙だが針目は丁寧に揃っている。間違いなく熟練者の手蹟だと判断して実家に電話で心当たりを尋ねると、恐らくは若くして亡くなった色覚異常持ちだが刺繍が趣味だった大叔父だろうと言われた。それなら完成が楽しみだ。

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