カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

骨董品に関する物語・イギリス製のモノクル

2023-10-15 00:36:35 | 突発お題

 子供の頃に暮らしていた屋敷で働く執事は片眼鏡を嵌めていた。その姿が不思議で何度も見詰めていた僕の視線を彼は極めて儀礼的に無視しながら職務を行っていた。だから僕の父が破産して屋敷を出て行く日、彼が最後にと外した片眼鏡を僕に手渡して元気でと微笑んだ時、初めて泣いた。

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