カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

今日のお題は『カーテン』『雨』『骨』です。

2014-04-15 22:07:57 | ついのべ三題ったーより
カーテンを開いて外を見ると、雨に打たれた人間らしい姿が骨を晒しながら崩れ落ちていく姿を目撃してしまった。どうやら昨今の酸性雨の威力を甘く見過ぎた結果らしい。
まだ自然とやらが人間を含めた生き物たちに優しかった時代を過ごして来た旧世代人は、どうにも用心が足りない人が多い。そう思いながらカーテンを閉めた僕は、処理班に連絡の通信を入れた。
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さよならのかわりに

2014-04-15 21:33:10 | 即興小説トレーニング
 遺跡はあるが、辿り着くのはとても無理だと地元民に忠告された。
 下調べをする限りでは確かに、通常の連中だったら命がいくつあっても足りない難所揃いの道程しか存在せず、それ故に古くから知られている割には手つかずのまま残っていたらしい。つまり、しばしば遺跡荒らしと揶揄されるトレジャーハンターにとってはお宝の山である可能性が極めて高い。挑戦してみる価値はありそうだと判断した俺は準備を整え、平穏とは言いがたい道中を経ながらも何とか遺跡に侵入したのだった。

 険しい山中に存在する崩れかけた遺跡。元々が何の施設であったのかを知る者は既に存在しない建物の隙間を縫うように調査を進めると、どうやら何らかの事情で破壊され、そのまま打ち棄てられたらしい建物内には至る所にお宝、つまり通常はジェムと呼ばれるエネルギー結晶体が多数存在していた。むろん、結晶をはめ込まれたエネルギーシステムから外し、無事地上に帰還してこそ俺の『仕事』が完成するわけだから油断はできないのだが、それでもここが上等の餌場であることは間違いない。
 そこらの同業者より遙かに有利なことに、俺は古代文明の遺跡から発掘されたエネルギーを探知できるゴーグルを所持していたので、面白いくらいあっさりと暫くは遊んで暮らせそうな量のジェムを採集できた俺は、調子に乗って更に遺跡の奥まで進んでいき、再びゴーグルを装着した時点で失明しかけた。
「な……、なんて光だ」
 思わず貴重なゴーグルを投げ捨てて自分の眼球を灼きかけた光のダメージが収まるのを待ち、なんとか視界を取り戻した俺は、恐る恐る光の根源を目指してみることにした。

 そこは、荒れ果てた遺跡の中でもかなり原形を留めている部屋だった。空気の流れもあることから察するに、奇跡的に維持システムが働いているのだろう。
「光の正体は、こいつか」
 部屋の隅にうずくまるように転がっている、それは二体の人形だった。既に着ている物はぼろぼろとなり、打ち棄てられて久しいことを示していたが、人形本体にはほとんど劣化が見られず、ぱっと見では眠っている人間の子供のように思える。
 栗色の巻き毛を持つ十歳くらいの少年を、まっすぐな青い髪の十四歳くらいの少年が抱きしめていて、青い髪の少年には極めて強い光を放つジェムが握られていた。よく見るとジェムはコードのような物と接続されていて、どうやら青い髪の少年はそれを己の胸部から引きずり出したらしい。
「一体、何があったのやら」
 どう見ても心中だよなこれはと付け加えながら更に観察を続けると、空恐ろしいことに青い髪の少年の体は未だ機能を停止していないように見えた。恐らく、ジェムを元の位置に戻せば再起動する可能性が高い。そして、本当に動けば金額などつけようもないほどのお宝となるだろう。
 さてどうするかと俺は少しの間考え、いつものように己の勘に従うことにした。
 俺は青い髪をした少年の手を取り、ジェムを取らぬまま栗色の髪をした少年の手のひらと重ね合わせた。
「こいつは少しばかり俺のポケットには大き過ぎるお宝のようだ」
 あんたらの邪魔をするつもりはないから、二人でゆっくり眠りな。そう呟いてから俺は二人に背を向けた。ジェムの収穫は十分すぎるほどにあったし、これ以上がっつくこともあるまい。
 それに。
 ガキの頃何度も聞かされたお伽話、青い髪をした死天使の話を、俺は思い出していた。
 年を取ることも朽ちることもないまま、ただこの世界を彷徨うことを定め付けられた永遠の少年。けして邪悪な存在ではないが、その力の強大さから、しばしば関わった相手に不幸をもたらす存在。
 もちろん眼前の人形がその少年である証拠など何もないが、俺は俺の勘に従うことにしているし、その見返りに俺の勘はしばしば俺の命を救ってくれているのだ。
 俺は別に地上最高のトレジャーハンターというわけでもないので、この遺跡はいずれ他の誰かが訪れることになるだろう。そのとき、この二人を見つけたそいつがどうするか、その時初めて俺の判断が正しかったのか、あるいはそうでなかったかが分かるだろう。
 だが、それは先の話だ。
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今日のお題は『ペナルティ』『原稿』『三日月』です。

2014-04-14 13:23:22 | ついのべ三題ったーより
原稿も書かずにうっかり昔の時代小説を読みふけっていたら、眉間に三日月傷を持つ主人公が活躍する話が思いの外面白かった。が、〆切はどうしたと追及されたので、とりあえず本の題名を当ててみろと開き直ったら「月光仮面?」と答えて来たのでペナルティーとして思い切り笑ってやった。
当然のように、思い切り罵倒された。
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今日のお題は『赤』『シャボン玉』『カーテン』です。

2014-04-13 16:33:21 | ついのべ三題ったーより
宇宙のような無重力空間で戦闘機内の人間が大量出血すると、まるで赤いシャボン玉が機内を飛び回っているように見えるという話が本当だと知った時、奴は外界と己の意識の狭間にぶ厚いカーテンを引き、奴にとっては「向こう側」であるこちら側、つまり現実世界の存在を拒否してしまったらしい。
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今日のお題は『プール』『通信』『黄』です。

2014-04-12 15:10:37 | ついのべ三題ったーより
 土産は何がいいかという質問に、「山吹色の菓子」と答えが返って来たので黄金が欲しいのかと通信を打ち切ろうとしたら、そういう名の菓子が本当にあると言う。
 調べてみたら交際費という名目でプールしてある金額で充分購入可能だった。そんな訳で、土産を渡す時は奴に「越後屋と悪代官ごっこ」を仕掛けてみよう。
「そちも悪よのう」
「いえいえお代官様には敵いません」
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今日のお題は『マナーモード』『カーテン』『頭痛』です。

2014-04-12 15:05:28 | ついのべ三題ったーより
 マナーモードで受信したメールを開くと、相変わらず電波としか称しようのない頭痛を伴う内容が字数限界まで綴られていた。いい加減付き合いも長いので奴が俺を遊びに誘っている事は読み取れたので、ただ一言「承知」とだけ返信する。
 カーテンを開くと絶好の行楽日和。騒動の予感を覚えつつ俺は身仕度を始めた。
 そして結局のところ、予感通りに発生した騒動は予想以上の規模に発展したが、それは別に俺のせいでも、多分、奴のせいでもないと思う。
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今日のお題は『赤』『書簡』『モデル』です。

2014-04-09 19:01:10 | ついのべ三題ったーより
 マグリットの絵に「赤いモデル」という作品があるが、描かれているのは灰色の空間に置かれている裸足と同化した靴だ。
 この靴の持ち主が赤い、例えば過激(ルージュ)な人間かどうかは会って話をしてみなければ判らない。そんな書簡を寄越した友人は顔も知らないメル友に会いに行って二度と戻らなかった。
 駆け落ちしたのか埋められたのか、そこまでは知らない。
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今日のお題は『ミカン』『チェス』『リスク』です。

2014-04-08 19:27:25 | ついのべ三題ったーより
とりあえず、レートはみかん一房という事で始めた賭けチェスは、何しろお互いにルールブックを片手に駒の動きをいちいち確認する、初心者とも呼べない二人には手が余った。しかし、代わりに始めたオセロで有るだけのみかんを全部巻き上げられた身として、賭けのリスクはチェスの方が低いと思った。
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4月7日

2014-04-07 18:06:29 | ついのべ三題ったーより
レビューサイトに掲載予定の録画ビデオが溜まり過ぎて、それこそドーピングでもしなければ処理出来ない量になってしまった際にぶっ通しでビデオを観ていると、決まって途中に録画した覚えのない全く知らない作品がモニターに映し出される。大概は隠れた名作なのだが、何故か一回限りしか観られない上、誰もそんな作品を知らないと言う。
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4月5日

2014-04-05 20:30:45 | ついのべ三題ったーより
春菜をまとめて購入しようと地元の農産物直売場に行ったらミカンが売られていた。この地方では作られていない予側外の作物は愛媛から海を越えて直売されているらしい。
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