あるBOX(改)

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思い出の名勝負「プルデンシオ・カルドナvsアントニオ・アベラル」

2011年02月18日 | ボクシング
メキシコ・タンピコ タマウリパス・スタジアム
1982年3月20日
【WBC世界フライ級タイトルマッチ15回戦】

我等が大熊正二から、強打でタイトルを強奪していったアベラル。
初防衛戦では、これまた韓国で地元の英雄・金泰式を豪快に2RKO。
今回、自国での防衛戦。
30才のカルドナ(WBC4位)は6連勝中とは云え、勢いに乗る
アベラルに取って恐い相手では無かった。

しかし、5連続KO(オーランド・マルドナド戦を含む)を全て5R
以内で終わらせていたカルドナは絶好調。
虎視眈々と王座を狙っていたのだ。

第1R開始前。
開始ゴング前から軽い動きを見せるカルドナ。
コーナーに跪いて祈りを捧げるアベラル。

開始ゴング。
静かな睨み合いから15秒経過、カルドナがイキナリ長い左フックを振る。
王者のバックステップで空を切ったが恐いパンチだ。
褐色長身のコロンビアーノは、痩躯に似合わず思いきったブローを振り抜い
て来る。

1:16、またも左フック、アッパーで挑戦者が攻めたてる。
バッティングを気にするアベ。
1:34、またも挑戦者の波状攻撃。有効打こそ殆ど無いが、勢いがある。
ダックするアベを連打の中のアッパーで起こす。
1:48、これではマズイと思ったか、アベが出る。ワンツー、左フックで
前進。
2:10、再びカルドナの波状攻撃。
リング中央から連打を開始、右ストレートで王者の髪が激しくなびき、
ロープまで後退。あれよあれよと言う間に連打を浴びるアベラル、身体が
右に左に傾ぐ。両手がダラリと下がったかと思うと、そのまま気を付け
姿勢で前方に倒れてしまった!

「ゴツン」と云う音をマイクが拾った。アベラルは文字通り「ピクリ」とも
しない。レフェリーがカウントする中、セコンドが駆け寄ってくる。

電撃の1RKOだ!

はっきり言って「気を付け写真」を見た後だけに、「どんな物凄いKOパンチ
だったのだろう?」と期待ワクワクでビデオ観戦したのだが
「あれよあれよ」の間に「バッタリ」だったので、少々拍子抜けでした。

しかし後ほどスローで再生されたKOシーンでは、13連打目の左フックが
強打されており、強いパンチを連打するカルドナの能力に驚かされた。

WBCのフライ級は、この時期 猫の目のように王者が変わったが、決して
レベルの低い王者ばかりでは無いと思う。

プルデンシオ・カルドナは、兄である元Jフェザー級王者りカルドに続き
世界王者へ。
試合前の風邪によるコンディション不良を敗因に上げたアベラルだったが、
スロースターターの欠点を突かれた形でもあった。