イタリア ミラノ室内スポーツパレス
1984年2月22日
【WBA世界Jフェザー級タイトルマッチ15回戦】
王者は初の欧州遠征、4度目の防衛戦。ステッカは初挑戦。
予想はクルス有利。ここまで32勝無敗(1分)のステッカだったが、
強豪との対戦がなく(バレリオ・ナティに欧州Fe級タイトルマッチで
12R判定勝ちぐらいか)その上、Jフェザーは初体験。
実力者クルス(31才)に ステッカの若さ(23才)が、どこまで
通じるか?それだけが焦点だった。
しかし、唯一と言って良いステッカ陣営の希望材料・スピードが、
この試合の明暗を分ける事となった。
序盤からステッカの動きがイイ。
とにかく王者に較べてテンポが速い。じっくりと強打するチャンスを
狙うクルスに先制のジャブ。
身長は同じくらいの中肉中背。しかし上半身はクルスが大きい。
フェザーから落としたステッカだが身体では劣って見える。
クルスがジャブで応じるが、ステッカは足とボディワークでハズして
見せる。ステッカのビジーさが小気味いい。
クルクルと両手でリズムを取り、頭も良く動く。
うるさいジャブを殺そうと、クルスがクロスを狙っても、ハズして
逆ワンツー。
スピード差が歴然だから、クルスのカウンターに逆カウンターを返す
シーンが数発続く。
くっ付いても左アッパーを先制。これを上下に打つ。
クルスの左フックで出血するが、いきなりの右ストレートで反撃。
右左右のストレート連打も冴える。
よく見るとステッカは面白い体型をしている。
なかなか足が長く、胴が短い。そして腕が長い。この腕が良く伸びる
ストレートを生むのだ。
中盤クルスの左目が腫れ上がってきた。
イキナリの右が良く当たっているからだ。
第9Rにはクルスが勝負を掛けた。動くステッカをロ―プへ追い、
フック・アッパーで畳み掛けようとする。
ガードして回ろうとするステッカだが、やや弱々しい姿が垣間見える。
徹底したプレッシャーには弱いか?そのままズルズル倒されるのかと
思いきや、ラスト30秒で反撃。
ロープを背に左フック右ストレートを痛烈にヒット。
そこから力のこもった打ち合い!この試合のベストラウンドだ!
意外な事に採点上では王者リードで迎えた12R(私にはステッカ
ペースにしか見えないが)。
10,11Rと失速気味の王者を速いジャブで煽り、右ストレートを
ヒット。よろめいた王者に連打を仕掛けるステッカ。左アッパーを
突き上げると、王者はフラリと半身に。
レフェリーがここでストップすると会場は大騒ぎ。
久々にイタリアに好選手登場だ。
最後のシーンはアッパーが目に入ったのかと思ったが、スローで見ると
アゴにヒットしている。
見事な王座奪取。
若き王者の誕生に、イタリア人は長期政権を期待しただろう。
P.S.
一応当時の専門誌をチェックしたが、「逆転」となっている事に驚いた。
また、80~90年代では、イタリアと言えばナルディエロなどの負傷
判定・判定勝ち狙いのオソマツ王者の宝庫。
ジョバンニ・パリージなどの例外を除き、目も当てられない王者も
目立った。
そんな中、ロリス・ステッカは(結果こそ短命だったが)バランスの
取れた好選手だと、今回ビデオで見て改めて思いました。
それだけに弟のマウリシオ・ステッカ(金メダル→兄弟王者に)台頭には
心ときめいたが、当時はテレ東の海外ファイト撤退・RJサービス停止・
WOWOW設立前夜の、海外ファン暗黒時代。
遂に動く映像を拝む事は無かった。実に心残りです。
1984年2月22日
【WBA世界Jフェザー級タイトルマッチ15回戦】
王者は初の欧州遠征、4度目の防衛戦。ステッカは初挑戦。
予想はクルス有利。ここまで32勝無敗(1分)のステッカだったが、
強豪との対戦がなく(バレリオ・ナティに欧州Fe級タイトルマッチで
12R判定勝ちぐらいか)その上、Jフェザーは初体験。
実力者クルス(31才)に ステッカの若さ(23才)が、どこまで
通じるか?それだけが焦点だった。
しかし、唯一と言って良いステッカ陣営の希望材料・スピードが、
この試合の明暗を分ける事となった。
序盤からステッカの動きがイイ。
とにかく王者に較べてテンポが速い。じっくりと強打するチャンスを
狙うクルスに先制のジャブ。
身長は同じくらいの中肉中背。しかし上半身はクルスが大きい。
フェザーから落としたステッカだが身体では劣って見える。
クルスがジャブで応じるが、ステッカは足とボディワークでハズして
見せる。ステッカのビジーさが小気味いい。
クルクルと両手でリズムを取り、頭も良く動く。
うるさいジャブを殺そうと、クルスがクロスを狙っても、ハズして
逆ワンツー。
スピード差が歴然だから、クルスのカウンターに逆カウンターを返す
シーンが数発続く。
くっ付いても左アッパーを先制。これを上下に打つ。
クルスの左フックで出血するが、いきなりの右ストレートで反撃。
右左右のストレート連打も冴える。
よく見るとステッカは面白い体型をしている。
なかなか足が長く、胴が短い。そして腕が長い。この腕が良く伸びる
ストレートを生むのだ。
中盤クルスの左目が腫れ上がってきた。
イキナリの右が良く当たっているからだ。
第9Rにはクルスが勝負を掛けた。動くステッカをロ―プへ追い、
フック・アッパーで畳み掛けようとする。
ガードして回ろうとするステッカだが、やや弱々しい姿が垣間見える。
徹底したプレッシャーには弱いか?そのままズルズル倒されるのかと
思いきや、ラスト30秒で反撃。
ロープを背に左フック右ストレートを痛烈にヒット。
そこから力のこもった打ち合い!この試合のベストラウンドだ!
意外な事に採点上では王者リードで迎えた12R(私にはステッカ
ペースにしか見えないが)。
10,11Rと失速気味の王者を速いジャブで煽り、右ストレートを
ヒット。よろめいた王者に連打を仕掛けるステッカ。左アッパーを
突き上げると、王者はフラリと半身に。
レフェリーがここでストップすると会場は大騒ぎ。
久々にイタリアに好選手登場だ。
最後のシーンはアッパーが目に入ったのかと思ったが、スローで見ると
アゴにヒットしている。
見事な王座奪取。
若き王者の誕生に、イタリア人は長期政権を期待しただろう。
P.S.
一応当時の専門誌をチェックしたが、「逆転」となっている事に驚いた。
また、80~90年代では、イタリアと言えばナルディエロなどの負傷
判定・判定勝ち狙いのオソマツ王者の宝庫。
ジョバンニ・パリージなどの例外を除き、目も当てられない王者も
目立った。
そんな中、ロリス・ステッカは(結果こそ短命だったが)バランスの
取れた好選手だと、今回ビデオで見て改めて思いました。
それだけに弟のマウリシオ・ステッカ(金メダル→兄弟王者に)台頭には
心ときめいたが、当時はテレ東の海外ファイト撤退・RJサービス停止・
WOWOW設立前夜の、海外ファン暗黒時代。
遂に動く映像を拝む事は無かった。実に心残りです。