7月4日、イランの映画監督アッバス・キアロスタミ氏が、
ガン治療のために滞在していたパリで死去した。
76歳だった。
1940年にイランの首都テヘランに生まれたキアロスタミ氏。
テヘラン大学芸術学部を卒業後、70年に監督としてデビュー。
プロの俳優ではない素人を起用するなど独特の手法で知られ、
ストーリーにそって登場する人々の自然な表情や動きは絶賛された。
87年発表の『友だちのうちはどこ?』で一躍脚光を浴び、
世界的な監督の一員となったキアロスタミ氏。
私も見たが本当に心動かされる作品でした。
もしかしたら最も好きな映画かも知れません。
※キューブリック監督の「博士の異常な愛情」とツートップだな…。
【友だちのうちはどこ?】 (1987年)
あらすじ
遅刻したうえ宿題を忘れて、先生に叱られた男の子。
主人公の少年は、ちょっとしたアクシデントで彼のノートも一緒に
持って帰ってきてしまった。
このままでは宿題も出来ず、隣席の子は明日も叱られてしまう。
先生は怖い。今日だって、その子は泣いていた。
同情した主人公は自分とはまるで反対方角に住む彼にノートを
届ける事にした。
しかし、夕闇は近づいてくる。人伝いに聞かないと彼の家は分からない。
少年の冒険が始まった…。
途中、職人の老人との遭遇もあり。
その会話からは文明批判のテイストも感じられた。
出演者は、みな素人。しかし自然な表情は白湯のように心に
染み込んでくる。
主人公と「ともだち」の交流。
ただただ染み入りましたよ…。
そして、「友だちのうちはどこ?」と一対を成す傑作とも言えるのが
【クローズ・アップ】 (1990年)…だ。
あらすじ
映画は、裁判から始まる。
主人公は犯罪者だ。しかし重い罪を犯した訳ではない。
これは実話を基にしたセミ・ドキュメンタリー映画で、
出演しているのは当事者なのだ。
※回想シーンも含む
若い失業者のホセイン・サブジアンは、
バスでたまたま隣り合わせた夫人に何気なく
有名な映画監督モフセン・マフマルバフと名乗ってしまう。
映画好きの夫人は、感激してニセのマフマルバフを自宅に招待するが
一家に歓迎され、もてなされたニセの名監督は、この家でロケしたいと
申し出る。
架空の映画製作が始まってしまった…。
回想終わり
夫人とその家族は嘆く。
「あの偽物は私達を騙した。もてなし、食事をついばんだ」と。
しかし彼とてマフマルバフの大ファンだった。
名も無き者、貧しき者の心を代弁してくれる、彼のようになりたかったのだ。
出所した彼を本物のマフマルバフが出迎えた。
あの家族にお詫びに行こう。自分が同伴する…と。
涙を流しながら「私は…」「私は…」と訴えかけるホセイン。
「騙すつもりはなかったのです…」
全てを理解したように肯くマフマルバフ。
お詫びの花を買い、バイクのタンデムで被害者宅に向かう2人。
車で追いながら2人を撮影するキアロスタミ監督。
肝心の会話がマイクのトラブルで聞き取れない…。
架空の映画の舞台となった家のドアをノックするホセイン。
扉は開かれた…。
(続く)
ガン治療のために滞在していたパリで死去した。
76歳だった。
1940年にイランの首都テヘランに生まれたキアロスタミ氏。
テヘラン大学芸術学部を卒業後、70年に監督としてデビュー。
プロの俳優ではない素人を起用するなど独特の手法で知られ、
ストーリーにそって登場する人々の自然な表情や動きは絶賛された。
87年発表の『友だちのうちはどこ?』で一躍脚光を浴び、
世界的な監督の一員となったキアロスタミ氏。
私も見たが本当に心動かされる作品でした。
もしかしたら最も好きな映画かも知れません。
※キューブリック監督の「博士の異常な愛情」とツートップだな…。
【友だちのうちはどこ?】 (1987年)
あらすじ
遅刻したうえ宿題を忘れて、先生に叱られた男の子。
主人公の少年は、ちょっとしたアクシデントで彼のノートも一緒に
持って帰ってきてしまった。
このままでは宿題も出来ず、隣席の子は明日も叱られてしまう。
先生は怖い。今日だって、その子は泣いていた。
同情した主人公は自分とはまるで反対方角に住む彼にノートを
届ける事にした。
しかし、夕闇は近づいてくる。人伝いに聞かないと彼の家は分からない。
少年の冒険が始まった…。
途中、職人の老人との遭遇もあり。
その会話からは文明批判のテイストも感じられた。
出演者は、みな素人。しかし自然な表情は白湯のように心に
染み込んでくる。
主人公と「ともだち」の交流。
ただただ染み入りましたよ…。
そして、「友だちのうちはどこ?」と一対を成す傑作とも言えるのが
【クローズ・アップ】 (1990年)…だ。
あらすじ
映画は、裁判から始まる。
主人公は犯罪者だ。しかし重い罪を犯した訳ではない。
これは実話を基にしたセミ・ドキュメンタリー映画で、
出演しているのは当事者なのだ。
※回想シーンも含む
若い失業者のホセイン・サブジアンは、
バスでたまたま隣り合わせた夫人に何気なく
有名な映画監督モフセン・マフマルバフと名乗ってしまう。
映画好きの夫人は、感激してニセのマフマルバフを自宅に招待するが
一家に歓迎され、もてなされたニセの名監督は、この家でロケしたいと
申し出る。
架空の映画製作が始まってしまった…。
回想終わり
夫人とその家族は嘆く。
「あの偽物は私達を騙した。もてなし、食事をついばんだ」と。
しかし彼とてマフマルバフの大ファンだった。
名も無き者、貧しき者の心を代弁してくれる、彼のようになりたかったのだ。
出所した彼を本物のマフマルバフが出迎えた。
あの家族にお詫びに行こう。自分が同伴する…と。
涙を流しながら「私は…」「私は…」と訴えかけるホセイン。
「騙すつもりはなかったのです…」
全てを理解したように肯くマフマルバフ。
お詫びの花を買い、バイクのタンデムで被害者宅に向かう2人。
車で追いながら2人を撮影するキアロスタミ監督。
肝心の会話がマイクのトラブルで聞き取れない…。
架空の映画の舞台となった家のドアをノックするホセイン。
扉は開かれた…。
(続く)